第1話 山奥の遺跡で
スフィアにある小さな田舎街パロスは、今日も快晴な朝を迎えた。そして、とある家から少年が勢い良く飛び出してきた。
「早くしないと、あいつもう着いてる頃だろうな…」
少年は、走る。何キロ走っても、大して息切れしない持久力を身に着けている。
「あ〜ぁ、まだ眠いや」
走りながら、のびのびとあくびをする少年。ちなみに現在の時刻は、朝の5時であり大半の人は、まだ寝ている時間帯である。
「でも折角見つけた、アレを解くまでは…」
そう言って少年は、走るスピードを上げる。少年が言うアレの所まで、一直線に向かうのであった。
街から少し離れたところにある山。少年は、その森のど真ん中にいる。
「もう待ちくたびれてる頃かなぁ?」
少年の目の前に、それなりに高い崖が姿を現す。少年は、それを難なく登っていき、あっという間に頂上にたどり着いた。
頂上に着くと、すぐ目の前に古びた建物のような物が姿を現した。
「おっ!やっと来たか、待ちくたびれたぞ!」
「ごめんごめん」
建物の近くに、もう一人の少年が立っていた。待ちあわせをしていた少年は、彼のことであるようだ。
少し遅れてた事に友人に謝罪して、本題に入るのであった。
「いいかライ、今日こそこの遺跡の秘密を解くんだ。」
「ああ、分かってるよソウ」
二人は、古びた建物を見上げる。どうやら建物は、遺跡らしい。
「でも、どうやって扉を開けるんだ?まずそこからだろ」
後からやって来た少年ライは、友人のソウに疑問を投げかける。二人は、建物の入り口を開けることが出来ず、入れずにいたのだ。
「そうなんだよなぁ、とりあえず扉の前まで行こう」
二人は、遺跡の入り口である扉まで向かう。遺跡の周りは、様々な建物の残骸が残されていた。
「ありとあらゆる手段を使ったけど…ビクともしねぇ」
この遺跡を発見して以来、二人は、開けるために色々してきた。鍵穴を探したり、他に入れる所を探したり、さらには強行突破する方法も考えたが、どれも失敗に終わった。
「学者に調べるのは…」
ライは、独断で調べるのは無理だと思ったのか、この案をソウに出す。しかし
「それはダメだ!折角見つけた俺達の秘境なんだ。俺達だけで秘密を解くんだ!」
ソウは、遺跡の謎を自分たちで解こうと必死になっている。
「ソウ…やっぱりあの事が…」
「…」
ソウの必死な伝え方に、ライは、ある事を彼に問い、ソウは黙り込む。
「それよりも他に入れるところがないか確かめようぜ」
「お…おう」
二人はその後、遺跡のありとあらゆる場所や、周りを徹底的に調べるが、結局以前と同じ結果となった。
「もう日が昇ってきたぞ」
「ああ、今日は帰るか…チクショー!何もなしかよォ」
ソウは、悔しそうな顔をしながら地面にあった石ころを蹴る。ライも不満な顔をしながら帰り道を歩き出す。
そして一度、遺跡の方に振り向く。すると
「おいソウ!」
何かを見つけたライは、先に進んでいたソウに声をかける。
「なんだ?」
「扉の左側の壁に変なのが浮かんでないか?」
「えっ!?」
ソウは、ライが指差した方を見てみる。確かに何かが浮かんでいるのが、ハッキリと見えるのだ。
二人は、走ってその浮かび上がっている所の手前までいってみた。
「何か、文字みたいなのが見えるな」
「さっきまでこんなの無かった…そうか!」
ライは、古代文字みたいな印と、後ろで輝いている朝日を双方で見てある事に気がつく。
「きっと朝日が当たると見えるようになるんだ!」
「なるほど…今まで日の出前に帰ってたからな」
両親になるべく気が付かれない為に、これまでも朝早くからこの遺跡を調べていたのだった。
「見つけたのはいいけど、読めないなこんなの」
刻まれた古代文字なんて二人に読めるはずもなく、腕組みをしながら考え込む。するとライは、ある考えを思いつく。
「あの人に聞けばいいんじゃないかな?」
「え?」
「ほら、いつも一人で噴水の公園で鼻歌うたってる、気難しい爺さんだよ」
どうやら、これに詳しい人に心当たりがあるようだ。
「あの人、昔は考古学者だったて言うし。」
街の住民の中には、かつて学者だった者や、引退して余生を過ごしている者がたくさん住んでいる。この地方には、古代の遺跡などが多いからだ。
その中でも、話に出てきた考古学者だったと言う老人は、昔は、知らないものはいないと言われるほどの天才学者だったと聞く。
「結局、学者頼りか…」
ソウは、少々悔しそうな顔をして下を向くのであった。
「気持ちは分かるけど、こればかりは僕達にはどうしようもないよ…」
「分かったよ、現役の奴らよりかはマシだろ」
ソウには、何とか理解してもらった。朝日は、更に昇っていく。
「早く帰ろう、段々日が昇ってきてるぞ」
こうして二人は、新たな手がかりを見つけ出し、今日はここまでにして、二人共家に帰るのであった。
To be continued…