ポケットモンスター Galaxy - 第一章 不思議な力を持つ者たち
2-2 ピカソの家族
 ピカソが戦場に立つ半年前、彼は、妹のリナと母のリンナ、そしてポケモンたちと、リーカ星の、とある田舎町で静かしに暮らしていた。
「お母さん、これどうやるの?」
「かき混ぜるのこうやって」
 リナは、母から料理を教えてもらっていた。この頃、からリナの料理の腕前は、相当なものであったが、それを上回る母に、さらに料理を学んでいた。
「あいつ、もう料理うまいのに、まだ教わるんだってさ」
「ポチャァ?」
 ピカソは、相棒たちと共に、自分の部屋でくつろぎ、ポッチャマの頭を撫でながら話す。
 寝転がっていたベットから机に場所を移し、座るとそこに置いてある写真を取る。
「父さんも、兄さんも、無事なんだろうか?」
 写っていたのは父と兄で、二人は今、宇宙に出ているのだ。
「全部、戦争が悪いんだ。早く終われば...」
 この時から、宇宙では、大規模な戦争が行われており、父と兄も、ラフター連合軍に徴兵として参加することになった。
 最近にかけて、音信不通になってしまい、安否がわからなくなってしまったのだ。
[材料は、小さじ一杯よ]
[小さじ一杯っと、入れたよ]
[よし、あとは、ここに乗せて]
 リビングでの、母と妹の会話が、耳からではなく、ピカソの脳内に直接、聞こえた。
 彼は、生まれつき遠くの声を、聞き取れる能力を持ち、こうなった経緯は、今のところ分からない。
 それだけではなく、人の心の声やポケモンの声も聞こえる、不思議な少年である。それ故に、他人からは敬遠され、また、本音と建前が分かってしまう、嫌な能力だ。
 訓練により、心の声だけは聞こえることは、防げたものの、それ以外は聞こえるのだ。
「料理は、女の作業だから関係ないや」
 本を取り勉強する彼。彼は、知りたい事は自分で調べ、分からないことは自分で調べる、人に頼らない性格である。
 自分が、世間から煙たがれていたので、そうなったのだ。

「お兄ちゃぁ〜ん!ご飯出来たよぉ〜!」
「うん!今いくよ!!」
 そして、本を閉じて棚にしまい、電気も消す。
「二人とも、行こう」
「ポチャ〜」
「リンク」
 部屋を出て、階段を降りてリビングへと入る。テーブルには、たくさんのご馳走が用意されていた。
「おぉ!これは、美味そうだなぁ」
 ピカソは、すぐに料理へと手を出そうとするが...
「ダメ!」
 妹のリナに、止められてしまう。
「まず手を洗ってから、それに"いただきます"も言ってないよ」
「そうよピカソ、そこはちゃんとしないとね」
「分かったよ」
 言われるがまま、ピカソは手を洗うため、お風呂場の洗面所に向かう。
 それをじっと見ていた、ポッチャマとコリンクも
「あなた達もよ、デデンネとニンフィアもちゃんと手を洗ったんだからね」
 正確には、ニンフィアは触角を洗ったのだ。そして、残り二匹も手を洗いにいく。コリンクの場合は前足である。
 そして洗い終え、再びリビングに戻ると、既に二人は座っていた。
「あっ、終わった?」
「ああ、ようやくご馳走だぁ」
 ピカソは椅子に座り、二匹も自分のポケモンフーズの前に座る。
「それじゃ、いただきます!」
 みんな、仲良くご馳走を楽しんだ。

サーン帝国星(火星)
 その頃、皇帝ザルクが玉座に軍の幹部を集めて、ある計画を、推し進めようとしていたのだ。
「リーカ星の進撃作戦は、完了したな?」
「はは!既に攻撃機の準備は完了しており、いつでも出動できる、状態でございます」
 それを聞いた、ザルクは玉座から見える、外の景色を眺める。
「"あの"力を手に入れれば、我が軍の軍配も上がるのだ。全員、すぐさま出撃開始だ!」
「すぐにですか?」
 突然の司令に、驚きを隠せない幹部たち。
「そうだ!"あの"力を集めて、我が軍の兵器にする。それには、一刻も早く事を進める必要があるのだ。」
「了解しました!セーロ部隊に、出撃命令を出します。」

 一時間後、十人のセーロ部隊が集められ、全員戦闘機に乗り込み、出撃を開始した。
『いいか、目標はリーカ星だ!そこにいるポケモンを出来るだけ捕まえ、人間は、邪魔するものならば殺しても構わん』
「了解!」
 セーロ部隊の隊長であるギラが、指揮官との無線を切ると、不気味な笑みを浮かべる。
「フハハ、邪魔しなくても殺してもやるよぉ!」
 戦闘機、十基は目標のリーカ星に向かうのであった。

 リーカ星では夜が明け朝になっていた。ピカソはリナと共に、街の近くにある森に来ていた。
「みんな〜!来たよぉ!」
 リナが木々に向かって叫び、それに反応したのか、森に暮らす野生のポケモンたちが、次々と現れた。
 二人は、この森によく遊びに来ており、毎日、ポケモンたちと仲良くしていた。
「お兄ちゃん、パチリスはなんて言ってるの?」
「えっ...この前、知らない木の実を取ってきてくれてありがとうだってさ」
「そうなの、どういたしまして♪」
「チュパァ〜」
 そして二人は、夕方になるまで森のポケモンたちと、一緒に遊んだ。

 日が暮れ、遊ぶのをやめる二人。
「じゃあね」
「また明日なッ!」
 ポケモンたちも自分の住処に、帰っていく。
「帰ろう」
「ああ」
 そして二人も、家に帰るため一直線に街へと歩く。すると、二人がいる所に数基の飛行機らしきものが、上空を猛スピードで、街の方角へと飛んでいった。
「アレって...戦闘機!」
 それを見たピカソは、何か嫌な予感がして仕方がない。
「リナ、急いで街に...」

ドーーン!!

 突然、街の方からものすごい爆音が起き、ポケモンたちは、それに驚き反対の方角に逃げていく。
「お兄ちゃん!」
「とりあえず行こう!」
 二人は、街まで走り出す。街の方からは既に"赤色の景色"が広がっていた。

 そして、街が見えてきた時には、さっきの戦闘数基によって、既に火の海と化しており、それでも爆撃をやめようとはしない。
「母さん!」
 この光景を見て、真っ先に思いついた言葉、そう母の安否である。
「リナはここで待ってろ」
「私も...」
「ダメだ!危険すぎる、だからここで待ってるんだ」
 ピカソは燃えている街に入っていき、それを見守るリナは祈った。
(どうか無事で...)

 街に入ったのはいいが、燃え広がる炎によって、中々前に進めない。
「軽率だったか...でも母さんがッ!」
 ピカソはモンスターボールからポッチャマを出す。
「ハイドロポンプで周辺の火を消してくれ」
「ポチャ!」
 ポッチャマは言われたとおり、ハイドロポンプを繰り出し、周りの炎を鎮火されていく。
 
「よし、これで前へ進める」
 ポッチャマをモンスターボールに戻して、進み出す。しかし、戦闘機たちは容赦なく、街に爆弾を投下し続けていき、ピカソもそれを避けがら家に突き進んでいく。
[た...たすけてくれぇ!]
[父さん!母さん!]
[いゃぁぁぁぁぁぁぁ!]
 ピカソの脳内には、住民たちの叫び声が恐ろしく聞こえてくる。
「やめてくれ、聞きたくないんだ!」
 両耳をふさいでも声は、頭に直接、聞こえるため意味がない。
 必死に抑えつけて、ようやく聞こえなくなった。

「母さん!」
 無事、家に到着したピカソだったが既に家が爆発のせいで倒壊していた。
 まだ火が燃え広がっていなかった為、ピカソは必死に瓦礫をどかして母を探す。
「母さん、いるんだろ!返事してくれよ!」
 そして、母を瓦礫の下から見つけることが出来たが、瀕死の状態で足が引っかかって動ける事ができなかった。
「しっかり!」
「ピカ...ソ...逃げ...なさい」
 母はもう無理だと悟ったのか、ピカソにそう言うのだった。
「なッ!何言ってんだよ、母さん!」
 しかし、戦闘機のうち一基は旋回して、真っ直ぐこちらに近づいてくる。
「早く逃げなさい!それからこれを...」
 母は、ピカソにニンフィアとデデンネのモンスターボールを渡す。戦闘機は、もう間近まで迫ってきた。
「うッ...!」
 ピカソは母を置いて、少し離れた場所に避難する。そして、戦闘機が爆弾を落とす。
「あッ!母さぁーん!」
 着弾して、近くにいたピカソもその衝撃で吹き飛ばされる。
 怪我をして頭から血を流しながらも、すぐに起き上がり家を見ると
「あっ...え?」
 我が目を疑った。爆弾は自分の家に落ちたのだ。家やその周りは、激しく燃えてしまっていた。
「うッ...うわぁぁぁぁぁぁ!」
 母さんが死んだ、それを悟ったピカソはその場で跪き、激しく泣き叫ぶのであった。

toeistars ( 2015/06/25(木) 01:34 )