第一章 不思議な力を持つ者たち
1-1 少年よ宇宙(そら)に立て!
 ラフター星雲の宇宙空間。そこでは、侵略を目論むサーン軍と、それを阻止しようとするラフター連合軍が、戦っていた。両軍、多くの犠牲者を出しながらも、戦いは依然、続いている。
 そこに、ラフター軍側に一人の少年兵が、駆り出された。その名はピカソ・ルーイン。若干11歳ながら、素質を見出され、今、ここにおり、彼には特殊な能力を、持っていたのだ。
「ゼーラさん!後ろから敵が!」
「まかせな」
 戦闘機の戦いでもピカソは、優秀パイロットであり、多くの敵を、討ち取っていた。
 ゼーラという女性に、背後の敵を任せてピカソは、前にいる敵戦闘機に向かう。
「一基だけで、何ができるか!」
 敵がミサイルを撃ち、ピカソは、余裕のまま避ける。
「そんな遅い玉、当たるもんか、鈍いんだよッ!喰らえェッ!」
「そんなバカなッ...!」
 ピカソは、敵に容赦なくレーザー砲を攻撃し、かわす間もなく命中する。
 敵の戦闘機は、パイロットと共に儚く、宇宙で大爆発を起こし散っていった。
 そして、休む間もなく、また別の敵、戦闘機が現れた。
「おのれぇ、よくも俺の友を!」
 敵は、同じレーザーを、ピカソに向けて撃つが、あっさりかわされた。
「僕だって...」
 そして、ピカソは、怒りの表情をあらわにし、連続でミサイルやレーザーを、敵に攻撃する。
 敵は、ことごとくかわすが、最後の一発がエンジンに命中した。
「バカな!俺はここなんかで...うぁあ!」
 敵、戦闘機のエンジンは、爆発してコントロール不能になり、近くの星の重力に、引かれていく。
「母さん!今いくよ!」
 断末魔を残し、戦闘機は、星に墜落し爆発した。

『ピカソ君、そっちは終わった?』
 無線で、ゼーラから、連絡が入ってきた。
「はい。ゼーラさんも?」
『ええ、私は...きゃああ』
 叫び声と共に、突然、無線が途切れてしまう。
「ゼーラさん!どうしましたか」
 何回、やっても、応答がなかったので、ゼーラの場所へと向かい、十数秒で到着したが...
「ゼーラさん!」
 来た時には、既にゼーラの戦闘機は、敵にボロボロにされていた。そして
「ピカソ!生きなさい!」
 その言葉を遺して、戦闘機は破壊され、ゼーラは宇宙に放り出されてしまう。
「消えろ」
 ゼーラを襲った戦闘機は、生身の彼女にレーザーを撃ち、彼女は粉砕し、塵となって消えていった。
「そんなぁ...あっ...あっ」
 彼女の最期を、直に見てしまった彼は、戦意を喪失してしまい、何もできなかった。
「お前も、死ぬが良い」
 ゼーラを、残酷に殺した敵は、ピカソをも殺そうと、ミサイルを撃つ。
 ピカソは、呆然としたままで、避けることもしなかった。そこに、味方の戦闘機がやって来て、そのおかげで、運良く難を逃れ
「チッ!邪魔がぁ!」
 敵は、ピカソを助けた戦闘機に、ミサイルを連続で撃つが、反撃で味方が格上の、スーパーキャノン砲を、撃ってきた。
「そんな!」
 キャノン砲は、ミサイルをすべて破壊し、真っ直ぐに、敵に命中した。
 敵の戦闘機は、爆発して破片は、宇宙空間に散っていった。
「ユツさん」
『馬鹿野郎!ここで、何もしなかったら、死んでたぞ』
 彼を、助けたのは、ユツという20代ぐらいの青年、であった。
「ごめん...なさい。」
『何故謝る!ゼーラの事か...ゼーラは、本望だったんだ。戦って死ぬことを、あいつは承知してたんだ。お前が気に触れることじゃない分かったか!』
 ピカソを慰めて、一旦彼を戦場から退却させ、この戦争はしばらくして、決着のつかないまま、終わることになった。

サーン帝国星
 皇帝ザルクが、この星、全体を収める軍事帝政国家。恐怖政治や、専制政治や、個人崇拝などによって、宇宙レベルでも、屈指の超大国に成り上がった。ちなみに場所は、太陽系の、今の火星であり、ここからラフターまでは、数億光年、離れている。
 地球とは、いがみ合っているが、まだ争ってはいない。しかし、ザルクは、宇宙征服を夢見ており、いつかは侵攻しようと目論んでいる。
 玉座では、皇帝ザルクとその一番部下が話し合っていた。
「結局、勝負つかずじまいか」 
「ラフター連合軍には、エース級の戦闘員が、いるとの事で、最前線の部隊は全滅...」
「そうか、だが、早めに手をうたなければ、宇宙には新たな秩序が必要だ。そして、それをサーンが実行する」
「その皇帝様の素晴らしい思想、感激いたします。」

リーカ星
 ラフター星雲の一つであり、ピカソの生まれ故郷、であるのだ。先ほどの、戦闘によって、ピカソはユツにより、この星の基地に、連れ戻された。
 ピカソは、非常に暗い表情をしながら、戦闘機を降りる。
「ユミコさん...」
「ピカソ...大丈夫よ...気にしないで」
「ユミコさん!」
 そして、ピカソは、ユミコという20代の女性に、抱きつき涙を流す。相当ショック、だったのだろう。
 しばらくして、落ち着きを取り戻し、他の仲間が集まる部屋に、入った。
「リンリンク」
「ポッチャマ」
 出迎えてくれたのは、ピカソの相棒の、ポッチャマとコリンクの、二匹だった。この二匹は、5歳くらいから、一緒にいる、家族に等しいのだ。
「ピカソ、無事で良かったよ」
「バロンさん、でも...」
 彼の前に、現れたのは、この基地の隊長である、バロン・シーラン(50)である。
「気にするな、ユツも、言ってただろう」
「はい...」
 この部屋には、他にも、同じ戦闘員である、マルト、サキカ、イーリン、ジョン。上官で、指揮担当のマホー、キド、などがいる。
「元気、出しなさい、あなたらしくない」
「そうだそうだ」
「うん、ありがとう」

 仲間たちと話し合い、しばらくして、相棒二匹を連れて、部屋を出た。そのまま、基地を出て、向かった先は...
「ただいま、リナ」
「おかえりなさい」
 無事、自分の家に、帰ってきたピカソの前に、妹のリナ・ルーインが、出迎えた。
 彼女は、七歳であるが、非常にしっかりもので、抜け目のないところは、兄をも上回る。
「ご飯、用意したんだけど」
「ありがとう、後で食べるよ」
 二匹を連れて、自分の部屋に、入るとカバンをベットに置き、部屋を出て、リビングに入る。
「はい、どうぞ」
「いただきます。」
 妹は、料理も得意であり、今日は、シチューを出した。ピカソも、美味しそうに食べ、ポケモンたちも、特製のポケモンフーズで、満足そうに、食べていた。
「おいしいよ!」
「お母さんに比べたら...あっ」
 お母さん、という言葉によって、一気に暗い雰囲気に、なってしまう。
「...」
「...」(父さん、姉さん、なんで帰ってこないんだよ)
「リン...」
「ポチャ...」
「デネデネ...」
「フィア...」
 四匹も、二人の表情を見て、不安そうにする。



 ここは、惑星ランサ。ラフター星雲から、少し離れた所にある星で、既に、サーン帝国に、支配されていた。
 ランサにある基地では、一人の美青年が、やってきた。名は、チャロで年齢は、23歳であり、若くして中佐という、ベテランの将校であり、この基地や、周りの星を、管轄している。
「中佐、例の捕虜兵は、いかがなさいますか」
「上に、報告してないんだな」
「はい。」
「解放させてやれ」
「しかし、それでは、敵勢力の...」
「記憶は消せ、あと、持っている道具も、没収だ。このまま、連れて行かれても、ギロチンの挙句、首塚だからな」「了解しました」
 チャロは、戦闘服に着替え、自分用の戦闘機に、乗り込み発進、離陸した。
『中佐、一体どこへ』
「ラフターの、レイタ星に、用があるからな」
 そして、チャロは宇宙へと、飛び立っていった。

 夜、ピカソは風呂も入り、ポケモンたちの毛並みの手入れも済ませ、モンスターボールには入れずに、一緒に寝た。
 隣は、リナの部屋になっており、リナは悲しそうな顔をしていた。
「お兄ちゃん、どうして...どうして戦うの」
 ベッドで、横になりながら、家族の写真を、見ていた。
「あいつらが来る前は、こんなんじゃ無かったのに...」
「デネ」
「フィァ...」
 リナのポケモン二匹も、悲しそうな顔を、するのであった。

 翌朝、ピカソは、朝食も摂らず基地に、向かった。
「いってくるよ」
「ちょっと、お兄ちゃん、ご飯は」
「急いでるんだ」
 そして、二匹ともに、走り去っていった。
「もう、せっかちなんだから」
 完全に、兄の姿が見えなくなると、リナは、空を見上げる。
「こんなんじゃ無かったのに、"あの日"からか」
 彼女は、"あの日"の事を、思い返すのであった。 

次回は、その"あの日"のお話。ピカソは、何故戦うことになったのか次回で判明します。

toeistars ( 2015/06/18(木) 00:46 )