第四幕 クロガネシティの波乱万丈
あれから、私は何とか苦労しながらもクロガネシティまでたどり着いた。
ガコン…シューー
「やはり炭鉱の町だけあっていろいろな機械が多いな…」
私は色々なものを見ると熱中してしまう。
そのせいで人がすぐ近くに来ていることを知らなかった。
「きゃあ!」
「うわ!」
「いったーい…大丈夫か?すまなかった。」
私はその人に話しかけた。その人は
ヘルメットを被った若い男性だった。
「こちらこそすいません。…いそいでいたもの…で」
その人は私の顔をずっと見ている。打ったのだろうか、顔が赤い。
「どうした。私の顔になにかついているのか?」
「い…いえ、大丈夫です。」
そういうとその人はすぐに走り去ってしまった。
「…不思議な人もいるものだ。」
「そういえば
クロガネシティのジムリーダー、ヒョウタを探してその
『遺跡』とやらを見せてもらわないとな。」
やっぱりジム戦かな…と私は思った。主もそうしていたし。
「とりあえず宿を探そう。」
______________________________________
「あと一つしかなかった…良かった…宿が取れて。」
私は宿を取り、次に早速ジムへと向かった。
しかし…
「ジムリーダーがいない?」
「はい、そうなんですよ。ヒョウタさんは現在炭鉱に行っているらしいんです。」
ジムの男は言う。
「こまったな…」
それまで何をするか。実を言うと私のパーティはそれなりに強く、特にすることも無いのだ。
「することが無いなら、
博物館に行ってみてはどうです?」
「
博物館?」
「はい。
博物館には大昔のポケモンの模型や、化石を復元させることができますよ。」
「化石…かせきか…もしかして、これじゃないか?」
テンガン山の中の岩壁に面白い形の石があったから持って来たが…
「…これは…確かに化石ですが、複雑な形をしている。ともかく、もっていったら
何かわかりますし、持って行ったらどうでしょう?」
「
博物館か…で、どこにあるんだ?」
「ここを右に行けば
博物館ですよ。」
「感謝する。」
おたっしゃでー、という声を聞きながら、私は
博物館へ向かった。
行ってみると閉館で、翌日行くことにした。
______________________________________
翌日の朝、
博物館についた私は、早速係りの人に渡してみた。すると、
「ほーうほう、これはなかなか興味深い。見たことの無い化石じゃ。みどり君。写真を。」
「はい教授。はい、チーズ。」 カシャ!
「!?」
「早速持っていくぞ!ああ、そうそう。第一発見者は確か君だね。」
「そうだが…」さっきのフラッシュで頭がくらくらする私はそう答えた。
「身分証明書と名前を教えてはくれんかね。」
「名前…」 『君の名前は、レン。よろしくね、レン!』主の声が響く。
「私は…レンだ。身分証明書は持ってないが、バッジならある。」
「ほーうほう。それで何バッジかな。クロガネバッジか?」
「いや、
ミオバッジだ。」
「!?
ミオバッジ!…本物か?」
「ああ。うそをついて何になる?」
「ほーうほう。納得だ。…こんな珍しい化石を見つけるのは常人じゃと、つまらんからのお。」
「ああ、それとヒュウタさんがいたらジムバトルを申し込みたいといっておいてくれ。」
「ほーうほう。お安い御用じゃ。では行くぞ、みどり君。」
「ま、待ってくださいよー教授!」
なんだか騒がしい一団だった。
「はあ…」
私は人知れずため息をついた。
早く解析が終わってほしいものだ。
続く。
______________________________________
《おまけ》
『ヒョウタの思い』「はあ…はあ…」
僕は走っていた。なぞの遺跡が発掘されてから大忙しだ。
そのせいで、普段なら気づくはずのことにも気づかず、前から来ていた人とぶつかった。
「きゃあ!」
「うわ!」
どうやら女性とぶつかったようだ。
「いったーい。…大丈夫か?」
「こちらこそすいません。いそいでいたもの…」
僕が顔を上げると、そこにはつやのある漆黒の髪をした、美しい女性が立っていた。
「…で。」
見とれてしまった僕に、
「どうした。私の顔に何かついているのか?」
その目は青く澄んでいて、見透かされそうな目だ。
「い…いえ、大丈夫です。」
僕はそういって走った。
その後は作業にあまり集中できなかった。
それどころか、さっきぶつかったあの人の顔が思い出される。どこから来たのだろう…。などと思いをはせてしまう。
そんなんで、結局ジムにはいけなかった。明日はいける。でも
博物館によらないと…。
一日の夢だったけれど、十分過ぎるほどに楽しかった。
そういえば、ジム戦希望の人が
博物館にいるようだ。朝は特に何も無いから行かないとな。
終わり。