第一幕 目覚め
ここは、どこなのだろう…
私はそう思った。痛む体を伸ばす。
そして手を組んで考える。人の形になった今もその癖は変わらない。
ちなみにセーラー服だ。(わかっていると思うが私は女だ)
どうやら、あの時から三年はたっている様だった。
確か…
記憶が蘇える。
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『主よ…いや、――――!何でそんなことをする!貴様は…』
そこからは言葉にならなかった。
私の《あくのはどう》も簡単にかわされる。
『ごめん……………!』
主の言葉はよく聞こえなかった。
『せめて…起きることのないように…眠ってくれ…』
事実上の『捨てられた』ということを告げられ、私は脱力した。
『なんで…どうして…私たちを愛していたのではないのか?!』
彼は答えなかった。
空から何か―後でそれはモンスターボールと気づいた―
がふってきて、私の意識は闇に消えた。
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「あるじ…」
三年ぶりに発した言葉は重く、心に響いた。
「主よ…
何故あんなことを…」
私は誰もいない木立のなかで呟いた。
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それから一日が過ぎ、一週間がたった。
どうやらここは小さな島のようだ。
幸い水も木の実もあったため、生きることはできた。
港もあり、船も定期的に来るようだ。
ある日、島を散策していると、
私が目覚めた場所で、小さく輝くものがあった。
「これは…」
それは光り輝くバッジだった。
ジムのバッジではなく、主がもらったものだ。主はいつもこれを帽子につけて―
「帽子はどこにある…?」
私は必死で探した。すると、森の木々に引っかかっていた。
「やっと取れた…でも…」これをつけるものはもういない。
何をやっているのだろう。主には捨てられたのに…
涙が出てくる。
その後、私は主の帽子を抱えて眠りについた。
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『主よ…私はここにいて良かったのでしょうか…』
『―――』
彼は笑って答えてくれた。
『じゃあ
何故!なんで私たちをおいて行ったんですか!なんで?!』
フフ、と彼は
微笑み、空を指差した。
『―――』
『聞こえませんよ…あるじ…うう…』
《ココロを信じて歩むんだ。》
『あるじ!』
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「あるじ!…。
なんで…なんでおいて行ったんですか…」
私はそういって主の帽子を抱きしめた。
《ココロを信じて歩むんだ。》
主の口ぐせだった言葉。
私は…見つけなければならない。
主がいなくなったことと、真実を。
「…わたし…ココロを…しんじて…あゆみますよ…あるじ…」
私はそう空に言った。