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突然の衝撃。轟音。金属の塊である筈のそれが
拉げる音。幾つもある窓硝子の砕ける音。人やポケモンの悲鳴。
そして、地獄の様な音の坩堝の中で一番数多く響くのは、俺を含めた様々なものが飛んで打ち付けられる鈍い音。
回る視界を埋め尽くすのは赤々とした焔。
一瞬で動体視力を遥かに超えて勢い良く跳ねるゴム製のボールの様に飛んで叩きつけられる俺の躰。それを、小さな相棒の極々弱い念力の光が包み込み、僅かに勢いを削いでくれているのを何も留まらない視界の端に映る残滓で理解する。
俺に抱かれている自身の躰も打ち付けられているのに。
バトルもしたことのない小さな弟分に俺は何も出来ないが、せめて緩衝材代わりに成れるようにぎゅと力一杯に抱きしめて包み込む。
時間にすれば数秒の、転落。その短い間に俺は叩きつけられ、炙られ、抉られ、何かが突き刺さって、最後には放り出された。
痛みが。恐怖が。許容値を超えてはち切れる。
それでも意識だけは手放さない。手放せない。黒々とした奈落の底に落としてしまえば、二度と上がってこれない様な気が無意識下にでもあるのか。限界を超えた痛苦の中で弱った
蚯蚓の様にうぞうぞと躰を捩ってか細い声ですすり泣く。
それでも放さないのは意識ともう一つ、小さな相棒。
と。阿鼻叫喚の地獄で。よく知った声が俺の名を呼んだ。
嗚呼。また夢か。
――俺の記憶にその声は無い。