エトワール・フィランテ〜星降りの夜の導かれし出逢い〜


















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第十四章 水中都市アトランティスと結界使い〜精霊の秘密と新たな兆し〜
第百十四話 真っ直ぐな心、こじ開ける鍵〜願うは対話と和解と〜
 キルリアが自身の超能力で創出した、おどろおどろしいだけの醜い褐色の世界は、音を立てて崩れ去っていく。その音はさながら創出者の自信の喪失の表れなのか、がらがらと騒音を上げるかと思えば、さらに粉々に砕けるガラスの如く繊細な破砕音へと変わる。劣化したシールのように削がれていく幻覚による世界を、キルリアは表情一つ変えず、茫然と立ち尽くして見守るのみであった。
 偽物の世界が全て剥がれ落ち、崩壊の調べが落ち着いて情景が完全に元の海中都市の姿へと戻った時、機を見計らったかのように見覚えのある水色の影が飛来する。この特別な水中世界の主、水を司る精霊であるマナフィのニノアであった。定位置である神社の屋根の上に着地して、陽気に手を叩いて見せる。
「さっすがはこれまで幾度も苦しい戦いを切り抜けてきた戦士たちってところかな! 厄介な幻覚使いも退けてみせたね。うん、感心だ」
 それは勝利を収めた功績を褒め称えるものか、単に茶化しているものか、アルム達には真意は掴めない。だが、既にニノアの言動から警戒心しか抱いていない彼らにとって、真意がどちらであるかは些事であり、また猜疑心の矛先とするには充分たる振る舞いではあった。
「その口ぶりだと、襲撃があるのが分かってたみたいじゃないか。故郷の精霊さまと言えども、さすがにいい加減僕も腹に据えかねるよ」
 いの一番にクリアが目つきをきつくする。それはちょうど、キルリアに対峙した時に向けたような敵意のある視線だった。実のところニノアが怪しいのはアルムもアカツキも同様に感じているところではあり、否が応でも無力化した相手より危機感を覚えるのも無理はない。
「やだなあ、クリアくんってば。そんなに怖い顔してると、仲間からも怖がられちゃうぞ」
「別にこいつらの事は仲間だとなんか思っていない。さあ、答えてよ。知ってて侵入を許してのかどうかをさ」
「さあねー。ニノアの目を掻い潜って侵入する事だって出来ないわけじゃないし、そこはさして重要じゃないんだなあ、今は」
 敵意は意に介さずとばかりに、ニノアは平然としてけらけらと笑っている。暖簾に腕押しとはまさにこの事で、これ以上付き合っても実りはないと早々に見切りをつけて目を側めた。そして、本来向かい合うべき対象に、アルム達は再び視線を戻す。
 未だ心ここにあらずと言った様子の目の前の少女は、今さら逃げる事も命乞いをする事もなく、一連のニノアとのやり取りの間もその場に佇んでいた。最後の賭けだった幻覚攻撃も踏破され、いよいよ力も空っぽになったらしい。
 本来ならば正式な手続きをしない招かれざる客である彼女は、この特異なる空間でもアルム達と対等に渡り合える力を失った時点で、通常の海中と同じ環境に苛まれる事になるはずであった。それがまだアルム達と同じように留まっているという事はつまりそういう事かと、屋根の上の主を一瞥して得心には至る。
「キルリアさん、せっかく争う理由、と言うか手段がなくなったんです。もう少しお話しませんか?」
 己の自慢の力を突破された挙句、情けをかけられてか直接傷つけられる事もなく、打ち勝ったアルムに屈託のない笑みを向けられる。ようやく我に返ったキルリアだが、乾いた笑いを一つ零すだけで、逃走を図ったりする素振りは見受けられない。それだけ打ちのめされて堪えたらしい。だが、差し伸べられた手を払うくらいの反抗心は、未だ潰えていなかった。
「手段がないのは、私の方だけですわよ。理由はそちらにはあるんじゃなくて? ほら、それこそそちらのグレイシアなんかは、私が仲間達を操って連れて行ったわけだし。そっちのザングースは、私が王国全体を陥れたわけだし。それぞれに復讐心くらいはあるんでしょう?」
 アルムが二人の方に顧みてみれば、揃って冴えない顔をしている。キルリアが言う事は図星であり、それを否定するに足る大きな心の変化は齎されていない。だが一方で、完全に肯定するには、決定的に欠けている事があったのだ。故にクリアもアカツキも、戦意喪失したキルリアに、敵意とも呼べる辛辣さを持ち合わせてはいない。
「確かにお前のした事に憎しみは抱いたさ。グラスレイノをめちゃくちゃにしてくれたわけだしな。だけどな、過ぎた事を今更とやかく言うつもりはねえよ。後はお前次第だ。元よりこいつのお陰で無事お前を無力化出来たわけだしな」
 表情に微塵も影を落とすことなく、アカツキは明るく笑って見せると、おもむろにアルムの頭をくしゃくしゃと乱暴に撫でる。相手が相手だけに、慣れない事をされて最初は戸惑うが、褒められていると思うと悪い気はせず、撫で回されるのから解放されると同時にアルムからも笑みが零れる。
 アカツキの中では踏ん切りが付いてほとぼりも冷めたとなれば、残るは仲間を蔑ろにされて憤慨していたクリアの方であった。その実情は、一時期ではあるが同行して義賊のアジトであるトリトンと月影の孤島に赴いた際に、一部始終を聞いている。故にクリアの気持ちはある程度は同情できる上で、アルムはアカツキに向けていた笑顔を収め、恐る恐る視線をクリアへと移す。
「僕はこいつの事を許せない――と思ってたはずなんだけど、何だろう。何かいつの間にかどうでも良くなった。そういう復讐みたいな感情に囚われ過ぎるのは、僕らしくないしね。そこの坊やが倒してくれたんなら、それでいっかって思える。ブレットに言わせれば薄情なのかもしれないけど、まあお前が操ってた仲間を解放さえしてくれれば万事解決だしね」
 クリアもクリアで、寸前まで溢れ出していた怒りの感情を奥に引っ込めて、無邪気に触れ合うアルムとアカツキを横目に溜息を吐いて見せる。その後に覗かせた表情は、決して晴れやかとこそ言い難いものの、今にも飛び掛からんとする程の刺々しさはすっかり鳴りを潜めている。自分より非力で無力だと思っていた子供が事を収めた事に否が応でも感心し、毒気を抜かれたといったところであった。
「アカツキさんも、クリアさんも、ありがとう! 二人がそう言ってくれるなら、僕も心置きなくキルリアさんとお話が出来ますっ」
 ある意味ではキルリアの事は一任するとも取れる態度に、一回り小さい進化前のイーブイは改めて感謝の意を告げる。そこに自然と添えられた笑顔の追撃に堪えかねたのか、クリアはふいっとそっぽを向く。だが、礼を言われる事は満更でもないようで、「君のためじゃないけど、どういたしまして」とだけ付け加えた。
 既に力も対抗心も失っているキルリアであったが、自身の前で呑気に展開される和やかな雰囲気が気に喰わないのか、目つきを険しくしてこちらを睨みつけていた。その激烈たる視線に気づくや否や、アルム達も気を取り直すようにキルリアの方に向き直る。そこへ、しばらく機を窺って沈黙を貫いていたはずの水の精霊が、両者の間に割って入るように下りてきた。そして、その手をキルリアの方にゆっくりと向けると、その合図と共にキルリアの体は一瞬にして大きな水泡に包まれた。
「予め言っておくけど、この空間の支配者、及び都市の統治者はニノアだよ。だから、ここで泡のバリアを解除して溺れさせようが、本来ならニノアの自由だ。現にしようと思えばすぐにでも出来る。今すぐにそれはしないけど、これから先もしないって事じゃないからね、勘違いしないでよ」
 ニノアがこれまで見せてきた軽薄さは欠片もない。高くて愛らしいはずの声は本来似つかわしくないドスが利いたものへとなり替わり、その力の顕現と共に言動がはったりではない確たる証拠でもあった。だが、それをすぐに行使しない辺り、ニノアにも何か考えがあっての事であるのは想像に難くない。背筋に氷柱を当てられた感覚を味わい、あまりの変貌ぶりに戦々恐々としつつも、この隙にとすかさずアルムが駆け寄る。
「ニノアっ! あの、この都市の事だから僕がしゃしゃり出ちゃいけないのかもしれないけど、出来ればキルリアさんの事、見逃してくれないかな?」
「まあ、君が正面から彼女を打ち負かした事は事実だし、侵入者を撃破してくれた者として口を挟む権利は大いにある。けど、それは却下する。まずはそうしたい理由を聞きたいね」
「理由? 理由は、えっと――」
 止めるまでに迷いなく飛び出せたアルムも、その先の返答には困ってしまう。行動に移した自分の気持ちに嘘はないのだが、明確な理由は何かと問われてしまうと、咄嗟には浮かんでこない。視線を泳がせながら必死に考えていると、痺れを切らしたようにニノアが迫ってくる。
「理由、ないの? ないなら危険な対象として、このまま排除するつもりだけど」
「ある、あるよ! だって、キルリアさんは話をしてくれれば分かってくれるひとだと思ってたし、何か訳ありっぽかったから」
「たったそれだけ? それだけで今まで何度も襲ってきた相手を許した挙句、助けようとして、言葉まで交わそうとする?」
「許すとか許さないとかじゃなくて、僕はただ、キルリアさんの動機を知りたいだけ。だって、僕自身は嫌な目に遭ったとかじゃないもん。キルリアさんに悪い感情を向けようって気はないんだ」
 キルリア自身との繋がりはどれも間接的に巻き込まれたものばかりで、アカツキやクリアに比べれば実害は少ないが、その力に幾度となく苦しめられてきた。少なくとも向こうはアルム達を完全に敵と認識して排除すべく、今まで妨害を続けてきた。何とか退けてきたとはいえ、お互い戦いを重ねていく中で積もるものもあったはずである。
 しかし、グロームタウンの洞窟で対峙した時から、アルムの信念はずっと揺らぐことはなかった。その時点でキルリアとの縁に何かしらの光明を見ていた。だからこそ、ここまで至っても、キルリアに対してはあくまで敵意のない形で接しようと試みているのだ。
「こんな理由じゃダメ、かな? 僕、キルリアさんがずっと悲鳴を上げているような気がして、ずっとキルリアさんの本当の声を聴いてみたかったんだ」
「問い詰めるとかでもなく、純粋に話を聴きたいってわけか。何とまあ――他の精霊たちからフルスターリ越しに伝聞された通り、どこまでも甘くて、優しい子だね。本当、少し呆れちゃうくらいかも」
 苦し紛れからの起死回生の一手が決まった。アルムの素直な心に触れて、ニノアは追及を止めてゆっくりとその手を下ろす。キルリアは拘束していた泡から解放され、咳き込みながらも無事呼吸の再開が叶い、今度こそ場は丸く収まった。一時はどうなるかと肝を冷やしていたアルムは、足の力が抜けてそのままぺたりと座り込む。
「ニノアさま、そんな気なんてさらさらなかった癖に、相変わらず意地悪だね」
「良いじゃーん。からかったんじゃなくて、その心を真面目に試してみたかったんだからさー! あー、こういう辛気臭くて怖い演技って疲れるんだよねえ」
 クリアにあっさりと本心を見抜かれていて、特に悪びれる事もなく無邪気にけらけらと笑うニノアの顔に、寒気を感じるような恐ろしさは残っていない。そんな両手をばたばたとしているニノアを横目に、慣れたものだとばかりにクリアは嘆息を吐く程である。緊迫した雰囲気も完全に解け切った事で、未だ警戒態勢にあったアカツキも構えを解く。
「ところでさ、蒸し返すようでなんだけど、良いかな。ニノアさまがこいつの侵入の手招きをしたのだとしたら、納得のいく理由かその意図を教えてもらえない事には、僕だってまだ完全には二人ともに許さないよ」
 安堵したのも束の間、クリアは不服そうにぎすぎすした棘のある言葉を放ち、一度は和みかけた場を凍り付かせる。氷の力の申し子とは言え、そう何度も空気を乱されてはアルムとしても居た堪れない。
「僕はニノアが悪い事したようには思えない……だから、何かあるなら、話して欲しいな」
「それは構わない。けど、それは彼女の態度次第だし、まず君たちが優先すべきは、彼女の方なんじゃないのかなー?」
 水中を漂いながら手をひらひらと動かし、ニノアはのらりくらりと要求から逃れる。だが、ニノアの言う事はもっともであり、キルリアの事もいい加減置き去りにしておくわけにはいかない。三人の視線が一気に注がれる中、一瞬驚いたようにハッとするキルリアだったが、すぐに伏し目がちになって表情を曇らせる。手心を加えられたとあっては面白くないのは当然であるが、それ以上に詮方なしと言った状況で、行動の指針を見失っているのだ。
 向こうから特に反応を見せる事はなく、黙って見つめていても仕方ないと、今度はアルムが積極的に歩み寄る誠意を見せる。水中である事もあってか、軽く足をばたつかせながら軽く泳ぐような要領で、キルリアとの距離を詰めた。
「キルリアさん、そういえばまだちゃんと自己紹介をしてなかったよね。僕、アルムって言うんだ。よろしくね」
 この期に及んで、しかもつい先刻まで対立していた相手に呑気に自己紹介など、本来ならば気が触れたのかとでも思われかねない。事実、後ろに控えるクリアは呆れて溜め息を吐くくらいであった。だが、何を隠そう、これがアルムなのだ。敵ではないと認めた相手に、さらに臆することなく近づく。
「よろしくね――って、あなた、自分が何を言っているのか分かってますの!? 私とあなた達は敵同士、これは紛れもない事実でしょう? それなのに、そんな簡単に近づいてくるなんて、どうかしてますわ」
「そうかな? だって、ライズの故郷でまた会った時も、僕は言ったはずだもん。僕はキルリアさんとお話がしたいって。だから、まずは先に少しでも僕の事を知ってもらった方が、キルリアさんも話しやすいかなって思ったんだ」
「本当に、その言葉に偽りはありませんの? 散々あなた方の立ちはだかったこの私と、話をしたいと?」
「うん、そうだよ。今もこうやって、言葉を交わせているもん。だったら、もうちょっとちゃんと落ち着いて話す事も、出来ないわけじゃないでしょ。ね?」
 敗北を喫した時点で相応の罰を受けると思っていたキルリアとしては、アルムの歩み寄りはとんだ拍子抜けであった。抵抗する力を失って、何をされるのも覚悟の上だったところに持ち掛けられたのが、何せ友好を求める対話だったのだ。俄かには信じがたく、最初はおちょくられてる気がして、声を荒げて憤怒の感情が見え隠れしていた。しかし、アルムの真っ直ぐな瞳を見て、言葉を受けて、次第にキルリアの心も揺らいでいく。
「はあ。これでは、意地を張っている私が滑稽ではありませんか、全く。――そうですわね、この状況下で最大限の譲歩と友好の意思を見せられて、突っぱねるのは止めにしましょう。元より降参して、身柄はそちらに明け渡したような身です。私も一個人として、そこまで落ちぶれて捻くれたくはありませんもの」
 アルムが向け続ける微笑みと言葉の二重攻撃に、キルリアは根負けしてついに折れた。常に目つきを悪くして視線を尖らせていた少女が、初めてアルム達の前で柔和な笑みを見せる。被っていた仮面をかなぐり捨てたようなその笑顔は、偽りのものではないと直感させられるほどに美しく、それでいて儚さを感じさせるものだった。
「まずはこれまでの非礼の数々を詫びなければいけませんわね。もちろん言葉だけで全て尽くせるとは思ってなどいませんが、せめて今はこれだけでも。今までずっとあなた達を苦しめてきて、大事な者達に危害を加えてきた事、申し訳なく思いますわ」
 断固として自分の態度を崩す事のなかったキルリアが、初めて謝罪の意を示す。改めて畏まって謝られると調子が狂うというもので、アカツキ達は顔を見合わせて目を丸くする。先刻まで対峙していたとは言え、仮にも謝る相手に失礼だとは思いつつも、驚きは隠せなかった。だが、それは後方に控えるアカツキとクリアに限った事で、アルムに関してはその限りではない。
「キルリアさん、やっぱり話せば分かってくれるひとだと思ってたよ。ずっとずっと、嘘吐いて苦しそうにしていた、そんな気がしてたから」
「な、なんであなたはそうやってすぐに真っ直ぐな笑顔を向けてくるんですの? 全く以って度し難いですわね」
 憎まれ口を叩きはするものの、それは一種の照れ隠しに過ぎなかった。キルリアは好意を向けられる事に慣れておらず、アルムの言動一つ一つがこそばゆく感じているのだ。しかし、いくら親愛の情を抱く視線に不慣れとは言え、いちいち躊躇っていては埒が明かない。キルリアはさらに意を決したように、凛とした眼差しで一同を見つめる。
「私の今までの所業を許してくれとも、理解して欲しいとも言いません。ただ、あなた達が知りたいと言うならば、私が話せる限りの全てを打ち明ける覚悟ではいます」
「それが例え、ベーゼと名乗る君たちの首領――ミュウツーの意思に反する事となっても、かな」
 口を挟む形で聞き覚えのある名前を口に出すのは、穏やかさを内側に潜めたニノアであった。威圧感こそないものの、少なくとも挙げた名前が名前だけに、緊張の糸が張り詰める。キルリアはそれに臆して言葉に詰まる事もなく、あくまで堂々たる頷きようでニノアの声に応じる。
「ええ。この戦いに敗れた以上、私なりのけじめはもう着けたつもりです。離別するのは元より承知の上ですわ。私も、自分の意思に反する事を続けるのには、嫌気が差しましたしね」
「うん、それを聞いて安心――確信した。やっぱり彼女は本来“こっち側”だったんだね。ふむふむ、これで合点がいったってものだよ」
「ニノアさま、やっぱ何か隠してるね」
 一人納得したように頷くニノアに、クリアの追及の手が伸びる。しかし、もうそこに当たりの強さは消え失せていた。疑るような視線こそ浴びせるものの、敵意に似た意思は既に存在していない。先までは反応が芳しくなかったニノアも、ここに来てその頑なな態度を崩すに至る。
「隠していた、とは随分と人聞きが悪いと思うんだよー。あくまでニノアは、その時を窺ってたってだけさ。彼女の経緯については、仮にも精霊間でのやり取りで、多少なりともリーゲルから聞いていたこともあったわけだしね」
「リーゲルってあの、サンクチュアリにいるエムリットの事だよね? やっぱり僕たちの知らないところで繋がってて、連絡とか取ってたんだ」
 既にサンクチュアリを訪れているアルムとしては、聞き覚えのある名前が飛び出して一人得心する。ニノアも頷いてそれに応じたところで、キルリアへと再度問いかけを投げかける。
「さあ、さすがに洗いざらいとまでは行かずとも、君の知っている事を教えてもらおうか」
「ええ、分かりましたわ――」


コメット ( 2017/06/02(金) 20:12 )