ムロタウン
アズサ side
ムロタウンに着て3日が経った。
新たな新地にて、鍛錬のレベルも上げていき、コイツらの力も上がっていく。
そろそろムロジムに挑戦する頃合だ。その為に鍛錬している。
だが、常日頃の鍛錬は、単に勝つためにやっているわけではない。
武道家として、格闘家として、鍛錬をするのは当たり前だ。己を鍛えるため、心を磨くため、自分の強さをはかりに入れない為に、俺達は強くなる。
「・・・いくぜ!」
「はい!」
正午。ムロタウン唯一のジムへと足を踏み入れた。
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「わ、真っ暗です。」
「聞き込みによると、ここのジムは電気がついていないんだ。」
「へ!?で、電気とめられちゃんたんですか!?」
スモモは驚愕した。
「・・・それはお前のとこだろうが。」
「わ、私のウチはまだ平気です!」
「・・・まだってなんだよ・・・。ここは別に電気を止められてるわけじゃねぇよ。トラップの一種だよ。ジムリーダーのところにいくには、真っ暗な道を進んで最奥部まで辿りつかなきゃならねぇ。その間、ジムトレーナー達が待ち受けてるってわけだ。」
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トウキ side
挑戦者が来たようだね・・・。
このジムの仕掛けもパワーアップさせたし、ここまで辿りつける人はそういない。・・・ユウキくんは強かったけどね。
ここに着くまで・・・20分ってとこかな?
さて、モニターで挑戦者の様子でも 「あ!先輩!ここが最奥部ですよ!」
ってえええええええ!!!?
「おお、なんだ。あっというまだったな。」
い、いやいやいやいや・・・。
なんで?君たち入って2分も経ってないよね?
「えっと・・・、あなたがトウキさんですか?」
黒髪の子が俺に言ってきた。
「・・・いかにも、僕はジムリーダーのトウキだ。よくここまでこれたね。電気をつけよう。」
部屋の隅にあるスイッチをいれた。
徐々に明かりがつき、部屋が明るくなる。
「わ、明るくなりました。」
ピンク色の髪の子が言った。
挑戦者は二人か・・・。
「ええっと、思ったより早くこれたんだね。てっきりもっと時間かかるかと・・・。」
このジムは迷宮のように道をくねらせて、挑戦者を迷わせるように改造してある。しかも、真っ暗闇という中で。その迷路には幾数のジムトレーナー達が、息を潜めて待機していたはずだ。
「暗いのは慣れています!ここ三日間は洞窟で修行していましたから!」
「確かに途中トレーナーはいたが、俺たちに気づきもしねぇようだからな、素通りしてきた。」
「あいつらが気づかなかっただって!?」
「ああ、気配を絶って来たので。(というか、ここの奴ら全員武道着着てたくせに、たいした事ねぇよな。鍛錬がたらねぇぜ。)」
気配を絶った?
そういえば、この子達の格好、空手道着をきているな。ピンク色の髪の子は青いノースリーブに白い道着のズボンだけど。
・・・楽しめそうだな。
「申し遅れました。俺はミシロタウンから来ました、アズサです。」
「シンオウ地方からきました!スモモです!」
「ああ、挑戦だろ?受けてたつよ。」
アズサというのか、じゃあ女の子か?男の子かと思ったけど。
・・・この子はなかなか出来るな。
スモモという子は、シンオウから来た?ここから遥か北の地方じゃないか。
・・・という事は、珍しいポケモンを出すかもしれないってことだな?
「それで、どっちが挑戦するんだい?」
・・・?
二人が同時に微笑んだ?
「「ダブルバトルで!!」」
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アズサ side
「ダブルバトル?・・・・・君たち、バッジの数は?」
トウキさんが聞いてくる。
「1つです。」
「・・・なめられたものだな。戦略や知識やコンビネーションを必要とするダブルバトルで挑むなんて。ジムリーダーにとって、有益な条件じゃないか。シングルの方がいいんじゃないのかい?」
トウキは苦笑した。
「・・・俺達は格闘家ですよ。トウキさんも格闘使いですよね。・・・見た目で判断したら痛い目みますよ。」
・・・俺みたいなヒヨッコが言えた義理じゃねぇが、・・・なんか腹立ってきたから言ってやった。
「・・・わかった。では始めようか。そっちの使用ポケモンは?」
「5体です!」
スモモが言った。
「わかった。ではこちらも5体でいかせてもらうよ!」
ジムリーダーのトウキが勝負を仕掛けてきた!!
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俺たちはワンリキーとマクノシタを繰り出した!
トウキはワンリキーとマクノシタを繰り出した!
「同じだ・・・!」
「い、一緒ですね・・・!」
・・・俺たちのマクノシタは、洞窟で新たに俺がゲットした。まだ俺たちの中ではレベルが低いほうだが、素質はある。経験や鍛錬を積めば、それなりに強くなるだろう。
「スモモ!マンツーマンでいくぜ!マクノシタを頼む!」
「はい!」
「ワンリキー!ビルドアップ!マクノシタ!ビルドアップ!」
トウキのポケモン達は、攻撃と防御を上げた!
「ワンリキー!きあいだめ!」
「コッチも気合だめです!」
俺たちのポケモンも、気合を入れさせる!
・・・相手も格闘タイプだ。油断はハナからしねぇ!
正々堂々と勝負だ!!
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ワンリキーの空手チョップ!
相手のワンリキーのあて身投げ!
バキィ!! ヒュッ、ドカァン!!
相手のワンリキーにダメージをあたえ、俺のワンリキーはあて身投げでダメージをくらう。
「(ビルドアップが効いてやがるな、俺のワンリキーのダメージがでかい・・・。)ワンリキー!リベンジ!」
「コッチもリベンジだ!」
ワンリキーのリベンジ!
相手のワンリキーのリベンジ!
俺のワンリキーの技が相手に炸裂した。・・・けどまだ倒れてねぇ。
相手のワンリキーのリベンジ!
バキィ!!
ワンリキーは倒れた。
「な!ワ、ワンリキー!?」
い、いくら相手のワンリキーが’ビルドアップ’を使っても、俺のワンリキーはそう簡単にやられねぇ筈だぞ!?
俺はマクノシタ同士の闘いを見た。
スモモはマクノシタに突っ張りを指示し、相手のマクノシタにダメージを与えていた。が、相手のマクノシタは、俺たちのマクノシタを全く相手にしていねぇ・・・?
「ああ、今マクノシタは、手助けを終えたからね。」
トウキが言い放った。
「何!?」
「く・・、マクノシタ!頭突きです!」
マクノシタが相手のマクノシタにダメージを与えるが、レベルの差だろうか、あまり効いていない。
「そのマクノシタは、あの洞窟のポケモンだろう?まだまだ育てが足りないようだね。」
「(レベルの低さを見透かされてます・・!)
相手のマクノシタの怪力!
ドッカアアァァン!!
マクノシタは倒れた!
「(ち・・・!俺たちのマクノシタの実力を弱いと判断して、手助けでワンリキーの力を上げていたのか・・・!)」
残り3体。相手は未だに5体。
「・・・こっから正念場だぜ!ワカシャモ!」
「頼みます!アサナン!」
俺達はワカシャモとアサナンを繰り出した!
「ワンリキー!マッハパンチ!」
「アサナン!ねこだましです!」
アサナンの猫だまし!
パシンッ! ワンリキーは怯んだ!
「ワカシャモ!火の粉だ!」
ワカシャモの火の粉!
ワンリキーにダメージを負わせる。
ワンリキーは火傷を負った!
「くっ、やるね。ワンリキーは爆裂パンチ!マクノシタはきつけ!」
ワンリキーの爆裂パンチ!
ワカシャモは攻撃をかわした!
マクノシタのきつけ!
アサナンには効果はいまひとつのようだ。
「スモモ!ワンリキーを狙うぞ!ワカシャモ!二度蹴り!」
「アサナン!念力!」
ワカシャモの二度蹴り!
アサナンの念力!
ワンリキーは倒れた!
「よっし!」
「いいですよ!アサナン!」
まずは一体だ!
トウキはワンリキーを戻した。
「行け!ゴーリキー!」
トウキはゴーリキーを繰り出した!
「(ゴーリキーを出したか・・・。)スモモ!先にマクノシタだ!」
「はい!」
また手助けをされちゃ、たまらねぇからな!
「ワカシャモ!マクノシタにマッハパンチ!」
「アサナン!念力!」
ワカシャモのマッハパンチ!
アサナンの念力!
しかし、マクノシタは気合の鉢巻でもち堪えた!
「げ!」
「ゴーリキーは地獄車!マクノシタは波乗りだ!」
ゴーリキーの地獄車!
ドガガガガガガガガ!!
アサナンは大ダメージを負った!
アサナンは膝をついた!
マクノシタの波乗り!
ザッパアアアアアァァァァァァン!!
全体に大ダメージ!
ゴーリキーに小さなダメージ!
ワカシャモは膝をついた!
アサナンは倒れた!
「な、波乗りだと!?」
「アサナン!戻って!」
スモモはアサナンをボールに戻した!
・・・く、こっちは残り2体!あっちは4体!
しかもワカシャモもまずい!
「リオル!」
スモモはリオルを繰り出した!
これで、俺たちの手持ちは最後になった。
あっちはまだ、残り2体が控えている。
・・・四面楚歌というやつだ。もしくは絶体絶命。
だが。
「・・・スモモ。」
「なんですか?」
「こういう佳境だからこそ、燃えてくるよな!」
「当然です!リオル!ワカシャモさんを助けますよ!」
「リオーーー!」
「ワカシャモも気合いれろ!」
「シャモーーー!!」
ワカシャモの特性「猛火」が発動した!
「(・・・さすがだな。追い込まれてもなお、闘志が漲ってきているのが分かるよ。)・・・みせてもらうよ、その自信を!」
トウキが言い放つ!
「ワカシャモ!起死回生!」
「リオル!電光石火!」
ワカシャモの起死回生!
ドッカアアアァァァンン!
ゴーリキーは倒れた!
リオルの電光石火!
バキィィ・・!
マクノシタは倒れた!
「な・・・!(は・・・速い!)」
トウキは唖然としながらも、二匹をボールに戻した!
「これでイーブンだ!」
「勝ちましょう!先輩!」
・・・さて、何を出してくる・・・?
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「・・・行くぞ!テイク・オフ!」
トウキは、モウカザルとハリテヤマを繰り出した!
「(なんだ!?あのサルみたいなのは?」)」
「あれは・・モウカザルですよ!シンオウにしか生息しないポケモンです!」
「シンオウには一度足を運んでいてさ、そこでゲットしたんだ。」
・・・みた感じ炎タイプだな。ならワカシャモと一緒か。
モウカザルはおいといて、問題はアイツだ、ハリテヤマ。
あのバカでかいポケモンを倒そうなら、かなり骨がいる。
「(ワカシャモの体力もやばい・・・、マンツーマンで挑むのは危険か・・・。・・・どうする・・・。)」
相手はどちらも体力万全の状態だ。相手は格闘タイプ。ひとつひとつの技の威力が高い。一発でも当たれば・・・終わりだ・・・。
「・・・ち、気合入れるぞ!スモモはハリテヤマ!俺はモウカザルを相手にする!」
「ダメです!」
「は!?」
スモモが珍しく俺に意見口を叩いた。
「あのモウカザルは、攻撃やすばやさに特化しています!ですが、防御は弱いです!先輩はハリテヤマをやけど状態にしてください!お願いします!」
・・・スモモの目には、決意とやる気に満ちていた。
「・・・だが、ワカシャモは既に瀕死に近いんだぜ!?リオルだけで2匹に勝てんのかよ!?」
「勝ちます!!」
・・・なんだと・・・?
「先輩、信じてください。・・・私は、アズサ先輩の弟子なんですよ?」
・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・けっ。
「・・・じゃあ、頼んだぜ!スモモ!」
「はい!!」
勝てる根拠なんてアイツにあるわけがねぇ。・・・だが、アイツとリオルの目には、『勝てる』という余裕や自信はなくとも、『勝つ』という闘志が目に見えるように解った。
・・・さすが未来のジムリーダーだぜ。
「行くぞ!モウカザルはインファイト!ハリテヤマは波乗り!」
モウカザルがワカシャモに迫る!
「リオル!モウカザルに真空波!」
リオルの真空波!
モウカザルにダメージを負わせた!
モウカザルのインファイト!
ドガガガガガガガガガガ!!
リオルに大ダメージ!
リオルは膝をついた!
「ワカシャモ!ハリテヤマに火の粉だ!」
「リオル!こらえる!」
ワカシャモの火の粉!
特性『猛火』で火の粉の威力が上がる!
ゴオオオオオ!!
しかし、ハリテヤマの特性『あついしぼう』で、威力が半減した。
ハリテヤマに小さなダメージ!
ハリテヤマは火傷を負った!
「よっしゃ!」
ハリテヤマの波乗り!!
ザッパアアアアアアアアァァァァァァァァァァァン!!!!
モウカザルは膝をついた。
リオルはこらえるでぎりぎりもち堪えた!
・・・ワカシャモは倒れた。
「(・・・お疲れ、ワカシャモ。)」
俺はワカシャモをボールに戻した。
残りはリオル一体。しかも満身創痍でフラフラだ・・・。
相手のモウカザルとハリテヤマが、リオルを囲った。
「どうする?ギブアップするかい?」
トウキは言った。
「まだまだこれからです!!」
スモモは言う。
まだまだというが、実質一匹倒せたとしても、二匹はさすがに無理だろうよ。必ず攻撃を食らう。リオルの体力はもうないのも同然。
・・・見せてみろよ、スモモ。
俺はただ、自分の弟子を見守る事しかできなかった。
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「・・・もう1対2で、君のリオルは瀕死に近いよ。この状態でまだ戦うなんて、よっぽどの自信家か、無謀者だね。」
「違います!!」
トウキが言い、スモモは遮る様に言い叫ぶ!
「私達は・・・格闘家です!!」
スモモの目つきが変わった・・・?
「行きます!リオル!起死回生!」
リオルの起死回生!!
ドッガアアアアァァァァン!!!!
モウカザルは倒れた!
「終わりだよ。ハリテヤマ!からげんき!!」
ハリテヤマのからげんき!
異常状態の火傷により、からげんきの威力が上がった!
ドゴオオオオオォォォォォン!!!
・・・・・リオルは倒れた!
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「どうやら、僕の勝ちだね。」
トウキが言った。
トウキのヤロー、瀕死に近いリオルにあんな大技使いやがって。
・・・だがまあ、俺たちも全力で闘った。
キャリアの差もあるが、たかだか鍛錬をしたところで、格闘のジムリーダーには勝てるとは思えない。
目の前のトウキというヤツの強さは、本物だった。
・・・スモモのやつ、落ち込んでねぇだろうな。
俺はスモモを見やった。
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・・・・・・・・・・・な、なんだアイツ?笑ってやがる・・・。
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「リオル!いけますよね!」
「リオ!!」
リオルが立ち上がった!!?
「な!!?」
「何だって!!?」
トウキが驚いている。俺もだっつーの!
「行きますよ!リオル!ドレインパンチ!」
リオルのドレインパンチ!
ハリテヤマに小さなダメージ!
リオルは体力をハリテヤマから奪った!
「バカな!?なぜリオルは立てるんだ!?(こらえるを使ったのか?いや、リオルがモウカザルを起死回生で倒した後に、ハリテヤマでトドメをさしたはず!・・・なぜだ!)」
どうなってんだ!?
スモモのやつ、何かしやがったな?
ハリテヤマは火傷状態で、からげんきの威力が上がっていた。
リオルは瀕死に近い状態。・・・持ちこたえれるわけがねぇ!
「攻撃しないんですか?ではもう一度行きます!ドレインパンチ!」
「・・・く、ハリテヤマ!からげんきだ!」
リオルのドレインパンチ!
ハリテヤマから体力を奪う!
ハリテヤマのからげんき!
火傷状態でからげんきの威力が上がった。
ドカアアアアァァァァン!!
リオルは膝をついた。
「まだ立てるのか!?」
トウキはだんだんと青ざめていくのがわかる。
一方でハリテヤマは、火傷のダメージを受けて、段々と体力が減っていく。
スモモは依然と威風堂々としている。
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・・・・・チリ・・リン・・・・・。
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・・・・ああ、そういう事だったのか。
へへ、あの時俺が気を回してやったお陰じゃねぇか。
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「リオル!起死回生!」
リオルの起死回生!
ドッゴオオオオオオォォォォォォォォォン!!!!
ハリテヤマは膝をついた!
「まだだスモモ!気をぬくな!」
「はい!」
「・・・く!ハリテヤマ!コッチも起死回生だ!」
「こらえる!」
ハリテヤマの起死回生!
ドッカアアアアアアァァァァァァァァァン!!!!
リオルはギリギリ持ちこたえた!
「電光石火!!」
・・・決まれ・・・・!!
バキィ・・・!!
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・・・・・ハリテヤマは倒れた!
「よっしゃあああああぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「やったあああぁぁぁぁ!!やりました!やりましたよ!先輩!リオル!」
ジム内に、俺たちの歓声が響きわたった。
・・・すげぇな、スモモ。
お前の言った通り、ちゃんと勝ちやがったぜ・・・!
目の前でリオルと抱き合って喜んでるスモモを見て、俺は胸が温かくなった。
・・・へへ、やっぱり俺にはもったいないぜ。
「おい!スモモ!」
俺はスモモ達に駆け寄り、リオルとスモモに、思いっきり頭を撫でてやった。
「いい子だ。」
「え・・・・えへへへへ〜♪」
「リオ〜♪」
目の前で赤くなっているスモモを見て、俺は誇らしく感じた。
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「完敗だよ。まさかダブルバトルで敗れるなんてね。とてもダイナミックなビックウェーブだった。・・・これを進呈しないとね。」
俺達はトウキから、ナックルバッジを貰った!
「「押忍!!」」
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「でも、さっきは驚いたよ。キミのリオルのタフさにね。・・・一体どうしてなんだろう?」
トウキは顎に手を当てている。
「えっと、『かいがらのすず』です。リオルに持たせていたんです。なので、モウカザルを倒したときに、体力を回復したんです。」
スモモは、今は腰につけている水色の鈴をトウキに見せた。
「そ・・・、そういうことだったのか。」
・・・・チリ・・・リン・・。
「きれいな音色だ。・・・君達はビッグウェーブなんかじゃない。しなやかな漣(さざなみ)のようなコンビだね。力の他にも素質を感じるよ。・・・次のジム戦での活躍を期待してるよ。」
俺達は、トウキさんとポケナビ登録をした。
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俺達はジムを出た。
「なあ、スモモ。」
「はい?」
「あのトウキってヤロー、いちいち波に例えんのウザくねぇか?」
「あ、あはははは・・・。」
スモモは苦笑いした。
「まあ、なんだ。一応良い試合をしたという事で、何か褒美をやろう。」
「ええ!?ほ、ホンとですか!?やったーーーー!」
スモモがはしゃぎながら嬉しそうに喜ぶ。
「じゃあ私!いっぱいご馳走が食べたいです!」
・・・・・くくくく。
「あ、そういえば、スモモ。」
「はい?」
「今気づいたんだけどよ、もし相手のハリテヤマが、特性が『根性』だったらどうするつもりだったんだ?」
「・・・・・・・・・・・。」
「もし『根性』だったら、俺にハリテヤマを火傷させろなんて偉そうに言わねぇよなぁ?」
「・・・・え、えっと〜・・。」
「つまりスモモはあのハリテヤマを見た瞬間、特性が『根性』じゃないって解ったわけだよなぁ?」
「あ・・えと・・・そうです!」
ボカンッ!
「いったぁ!?」
「ご褒美はお預けだな。」
「うぅ〜・・・、あんまりですよ〜・・・。」
「(・・・やっぱりスモモはからかった方が面白いな。)」