おまけ「おやぶんさんが、じょうろをあげたそうです。byワニッペ」
ワニッペ side
・・・えっと、またウチのリーダーが行方不明です・・。
おやぶんさんが隣で怒り狂ってますよ。
おやぶんさんの耳を頼りにリーダーを捜索して歩いてると、目の前に大きな木があった。
「何だ邪魔な木だな。昔はこんなの無かった筈だが・・・。」
「リーダーはどこにいるんでしょうか。」
「いや、この木の向こうから気配がな・・・。おかしいな、こんなところ絶対通れねぇし。」
目の前の木は、狭いどうろをギッチリと塞ぐように、コラッタ一匹の通行も許さない。
おやぶんさん曰く、此処はよく人が行き来している交差点で、利用率が高い。キキョウシティにエンジュシティ、コガネシティへと繋がる唯一の交差点。
幅が狭いのが難点だけど、利便性は良かったらしい。
僕は目の前の木をじっと見た。
・・・・・・クネクネ。
「・・・・・・・・・・おやぶんさん?」
「あん?」
「・・・・・い、いま、いいいい今、木が動きませんでした!?」
「はぁ?何だてめぇ?とうとうバカになったか?」
「み、見てて下さいよ!」
おやぶんさんに木を見るように促す。
「どれ。」
「・・・・・・。」
・・・・・・・クネクネ。
「ぅお!?何だ!突然動いたぜ!?」
「ほらぁ!?」
な、なんか恐ろしい!
ぜ、絶対呪いの木か何かですよ!?
か、かかか帰りたい!マジで!
「おーーーーーーーい!」
あれ?
「あ?なんでこの木の向こうからマツリの声が聞こえるんだ?」
ホントだ。リーダーの声が聞こえる。
「ごめ〜ん、道に迷っちっ 「どうやってソッチにいったああああぁぁぁぁ!!!?」
おやぶんがおらぶ。
リーダーは、何故かエンジュの道からやってきたみたいだ。
「えへへ♪どっしよっか?」
木の向こうでリーダーが聞いてくる。
「とっとと戻ってこい!」
「は〜い♪」
・・・リーダーの足音が遠退いた。
「・・・・あの、あんまり動かすと更に迷うんじゃ・・。」
「・・・・・しょうがねぇだろ、そのままにしといても合流はできねぇ。っつーかあのバカ、どうやってこの木の向こうへ行ったんだ?」
「『行った』というより、『迷い込んだ』の方が正しいかと・・・。」
.
5分後・・・。
「・・・お、足音が近づいてきた。コッチからだ。」
おやぶんが指さした方向には、目の前の木。
「・・・・・・ま、また?」
「・・・いや、自然公園の道からだ。」
クネクネと木が動く。
「えへへ〜♪道に迷っちっ 「てめぇは分身の術でも使えんのかあああああぁぁぁぁぁ!!!?」
ひぃぃいいーーー!
お、おやぶんさんが暴れだしました!!
「おやぶんさん!落ち着いて下さい!」
「るせぇ!!なんであっちからこっちへ来るんだよ!?どう考えてもおかしいだろうがああぁぁ!!」
・・・・・・・クネクネ。
「てめぇはクネクネうるせぇぇえええ!!」
おやぶんさんの波乗り!
ザッッパアアアァァァァァァン!!!
ぎゃああああぁぁ!?木が、木が吹き飛んだああぁぁ!?
・・・って、え?
木が吹き飛んだ?
おやぶんさんの八つ当たりの餌食となった動く木は、既に道を塞いではいなかった。おやぶんさんの波乗りの衝撃で、根こそぎえぐられるように地面から抜けて、上空を舞うようにくるくると飛んでいた。
・・・・・・ズドーーーン!!
そしてソレは、林の奥の方へ落下していった・・・。
「おぉ!通れるよーになった〜♪」
リーダーさんと合流する。
「反省しやがれバカがぁ!!」
「えへへへ〜♪」
.
後日、風の噂で聞いたところ、僕達のおやぶんさんが動く木を吹き飛ばしたお陰で、再び交通の便が良くなったそうです。
・・・あと、その交差点の近くの林の中で、満身創痍でシクシクと泣いているポケモンが発見されたそうです。