キキョウジム
ウウウーーー!ワクワクするね〜〜〜!
「おやぶん!ワニッペ!入るよ!」
「躊躇わなくていいから早く入れ。」
「ワニ。」
アタシはドアについていた貼紙をみた。
.
《女子トレーナーに告ぐ!スカート厳禁!》
.
「あっ、アタシミニスカだ。どしよ?」
「なんだこの貼紙は?」
「ワニ?」
・・スカートがなんでダメなんだろ?
「ま、いっか♪」
アタシはそのままジムに入った。
入ってすぐ目についたのは、大きなリフトだった。他には何もない。
「ほえ?」
アタシとおやぶんとワニッペは、目の前で段になっているリフトに乗る。
・・・すると。
ゴオォォォォォォォォォォ!!!
「うわわわわーーー!?」
「うぉ!?」
「ワーーーーーーーーーーーーーーニャーーーーーーーーーーーーーー!!!?」
リ、リフトがものすごい速さで上昇した!?
5、6秒くらい、身体がビリビリしながらリフトごと上へと上がると、ピタッと止まった。
ビュゥ・・ォオオオ・・!!!
下から、風が吹き上げた。
「おーー♪高い高い!」
「へぇ・・、昔とは全然違うな。」
「(ガクガクガクガクガク)・・・・・・・・・!!」
そこは、打って変わり、地上から遥かに離れた踊場のようだった。
まるで、サーカスの綱渡りを連想させるかのような、一本の通路が設けられている。その通路には柵や手すりが無く、一歩間違えば、20m下まで自由落下してしまう。
ジムの窓から吹く風が涼しく、そして激しくアタシ達を歓迎してくれた。
「ここを進めばいいのかな?」
「気をつけろよマツリ、一歩間違えればおだぶつだぞ。」
「・・・・・・ワ、ワニ。」
.
幅が70pくらいの狭い道を行く。まるで、工事中の鉄筋の骨組を歩いているよう。
ビュッ!と下から風が吹いてくる。
その度に、アタシの服がパタパタと靡き、めくり上げられていく。
「あ!広くなった!」
細い道から、円型のステージにやって来た。
そこには、袴姿の男の人が立っていた。
「挑戦者だな!?」
その人は言った。
「オレはキキョウジムリーダーのハヤトだ!飛行タイプの使い手だ!」
「ワカバタウンから来ましたー!マツリです!よろしくー!ハヤピーさん!」
「ハヤピーじゃない、ハヤトだ!」
互いにじこしょーかいをする。
「では、早速バトルといいたい所だが・・・、・・・君は門の貼紙を読まなかったのか?」
「ほぇ?」
なんだっけ?
「『スカートは厳禁』だと書いていたはずだぞ!」
ハヤピーは少し声を荒げた。
「へぇ、なんで?」
「うっ・・・、そ、それは・・・。」
「なんで〜?」
たじろぐハヤピー。どしたんだろ?
すると、
ビュゥ・・・ォォオオオオ!!!
強い風がステージの下から、舞い上がるようにふきつけた!
アタシのスカートがブワッと捲られる。
ハヤピーは顔を背けた。・・・なるほどね〜♪
風が止み、スカートがふわっと戻る。
「ヘヘヘ、それであんな貼紙を貼ってたわけか?」
おやぶんが言った。
「ステージの構造上仕方ないんだ。・・・って、マリルがしゃべった!!?」
ハヤピーが目を点にして驚く。
「ほっとけ!喋っちゃ悪いってのかてめぇ!?言っとくが俺はてめぇらより遥かに喋れる自信あるぜ!?」
「どーどー。」
怒るおやぶんを宥めた。
「・・・話が逸れたな。その・・・こっちとしては、目のやり場に非常に困る。だからスカートは止めて貰いたいんだ。」
「大丈夫だよー!この下は水着だもん!」
アタシはスカートを捲ってハヤピーに見せてあげた!
「わっ!・・・////み、見せなくていい!!」
ハヤピーが手をかざした。
「何だ?今時純情なヤローだぜ。たかだかガキンチョのパンチラで紅くなりやがって、ロリコンかてめぇ。」
「誰がロリコンだ!!?っていうか、オレと君、大体年一緒ぐらいだよな!?」
「アタシはもーすぐ14!」
「・・・別に聞いてない。(一つ年下か・・・。)」
.
「では、使用ポケモンは1体。シングルバトルでの一回勝負!そっちはワニノコでいいか?」
「はい!行くよ!ワニッペ!」
「ワニ!」
「では、行くぞ!」
ジムリーダーのハヤピーが勝負を仕掛けてきた!
ハヤピーはピジョンを繰り出した!
「ピジョン!泥かけだ!」
「ワニッペ!水鉄砲!」
ピジョンの泥かけ!
ワニッペに小さなダメージ!
ワニッペの命中率が下がった!
ワニッペの水鉄砲!
しかし、ワニッペの攻撃が外れた!
「もう一度だ!」
「ワニッペ!水鉄砲!」
ピジョンの泥かけ!
ワニッペに小さなダメージ!
ワニッペの命中率が下がった!
ワニッペの水鉄砲!
しかし、ワニッペの攻撃が外れた!
「ピジョン!風おこしだ!」
「ワニッペ!水鉄砲!」
ピジョンの風おこし!
ワニッペに通常ダメージ。
ワニッペの水鉄砲!
しかし、ワニッペの攻撃は外れた!
「どうした?この程度か?」
「むぅ〜!全然当たんない〜!」
ワニッペ、目が痛そう。さっきの泥かけのせいで、相手を捉えにくそうにしている。
「ピジョン!風おこし!」
「・・・・う〜〜。」
ピジョンの風おこし!
ワニッペにダメージが募る。
ワニッペは膝をついた!
「なにやってやがるマツリ!指示をしろぉ!」
わかってるよ〜!んでも・・・・・・・・・・あ!
「とどめだ!ピジョン!電光石火!」
「そうだ♪ワニッペ!真下に水鉄砲!」
「ワニャ!?」
「いいからいいから♪」
ピジョンの電光石火!
ドガァ!!
ワニッペは弱りかけている!
ワニッペの水鉄砲!
バシャアアアアアア!!
真下の床に水鉄砲を放ち、水の爆弾のように大量の水滴が四散した!
ワニッペの目を洗いながした!
命中率が元に戻った!
「ほう、泥かけの効果を消したか?だが、ワニノコの体力はすでに限界だ。」
「えへへへ♪」
「・・・?」
「ワニッペ!水鉄砲!」
「・・・ふん、(やはり初心者だな。同じ技を多様するとは。)ピジョン!風おこし!」
・・・・・すると突然!
ザアアアァァァァァァ・・・!!!
ステージに雨が降り始めた!
「な!?(屋内だぞ?此処は?)」
「(・・・へっ、さっきの水鉄砲で四散した水を、下からの風で上空に上げ、『あまごい』をつくるとはな。マツリにしちゃ考えたな。)」
あまごいの効果で、水技の威力が上がった!
ワニッペの特性『激流』で水技の威力が上がった!
ワニッペの神秘のしずくで水技の威力が上がった!
ワニッペの水鉄砲!
バッシャアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァンンン!!!
.
ピジョンは倒れた!
.
「バ・・・バカな!?」
「やったーーーーー!!ワニッペ!イィィイエーーーーーイ!」
「ワニ!」
ハイッターーーーッチ!!
やったやった!ジム戦で勝っちったー!
「おやぶん!見た!?見てくれた!?」
「調子にのるんじゃねぇ。赤点ギリギリだ、馬鹿野郎が。(もしピジョンが電光石火で来たら負けてたのはてめぇだぜ?・・・ま、相手が油断してたのが幸いだったな。)」
ハヤピーがピジョンをボールに戻した。
「・・・どうやら、オレも修業が足りないみたいだな。君は強い。ジョウトリーク公認のウイングバッジだ。」
アタシはハヤピーからバッジを受け取った!
「うわーー!ありがと!ハヤピー!」
「だからハヤピーじゃない!ハヤトだ!」
「えへへへ♪」
「「褒めてない(ねぇ)!!」」
「はぅっ!?」
.
.
.
キキョウシティポケモンセンター。
「ねえねえ!ジョーイさん!アタシのワニッペ、すっごい活躍したんだよ!バッジゲットしちった♪」
「あら、よかったわね!おめでとう。」
「えへへへ♪水鉄砲だけで勝ったんだよ♪ジョーイさんのアドバイスのお陰だね♪」
「どういたしまして。でも、本当に頑張ったのね。マツリちゃんはどうして水タイプにこだわるの?水のジムリーダーになりたいとか?」
「水ポケモンでチャンピオンになるの!」
「あら。そういえば昔、水タイプのポケモンだけで殿堂入りしたトレーナーがいたらしいわ。だからきっと、マツリちゃんも出来るわよ。」
「うん!だって父さんの娘だもん♪」
「え?」
「えへへへ♪」
.
バッジをひとつゲットしたアタシ達は、次の町を目指す。
おやぶんとワニッペを連れて、西へと向かっていた時だった。
「んにゃ?」
・・・周りを見回した。
誰もいない。さっきまでおやぶん達が居たのに。
・・・・・・また迷っちった、えへへ♪
ま、いっか♪
アタシは前へ歩く。
しばらくすると、雑木林の間を通り、行き止まりに差し掛かる。
「うに?なにコレ?」
目の前にあるのは、大きな木。
どうろの通行を遮るように、ギチギチに道を塞いでいた。
「ほぇ〜〜。」
ペタペタと触ってみる。冷たい。
・・・・すると。
・・・・・クネクネ。
「わっ!」
・・・・・うごいた?今?
「・・・・・・?」
も一度、ペタペタ触った。
・・・・・クネクネ。
「わあーーー!楽しーーー!」
すごーー!木がダンスしてるーー!
「なんだこの木!?突然動いたぜ!?」
「ワニ!?」
ありゃ?おやぶんとワニッペの声だ。
この木の向こうから聞こえたね。
「おーーーーい!おーやぶーん!ワニッペーーー!」
アッチ側は見えないから、よくわからないけど、おやぶん達がいるのは確か。
「あ?・・・マツリの声がしたな、マツリーーー!!どこだーーー!!」
「こっちこっち!この木の反対側ーー!おやぶん達、なんでそっちにいるのーー!?」
「それはこっちの台詞だ馬鹿野郎ォーーー!どうやってそっちへ行ったぁーーー!?そっちはエンジュ側だろうがぁああーーー!?」
「いや〜、迷ってたら此処に来ちった♪」
「てめぇの方向音痴はワープ機能付きかあああぁぁぁぁ!!?」
「えヘヘヘ♪」
「褒めてねぇ!!?」
「はぅっ!!?」