ニビシティ(2)
私ははニビシティへ到着する。
回復を済ませ、フレンドリーショップへ向かう。
「・・・傷薬。」
「はい!ありがとうございます!いくつになさいますか?」
「・・・3000円で。」
「はい!傷薬10コお買い上げ、ありがとうございました〜。」
・・・備えあれば憂いなし。・・・単に、怪我して傷つくのが嫌だから、回復薬は大量に買う。
・・・バトル中に回復薬を使えるから、この子達も負ける事はない・・・と思う・・・。
ニビシティの博物館を見て、花畑でピクニックをしたりした。
この街は、気持ちいい風が吹く。
「・・・そろそろいこう・・。」
東に向けて、また、私達は旅を続ける。
・・・の筈が、
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「まて、君はバッジを持っていないな?」
・・・変な人に絡まれた。
「ニビシティのジムに顔を出したのか?ちょっと来い。」
男の人が手を掴もうとした。
「・・・」
私は後ろずさむ。
「・・・ストーカー?」
「は?だ、誰がストーカーだ!」
「・・・フシギダネ。・・・すみれ咲き。」
フシギダネの蔓で男を縛りあげた。
「ぐえぇ!し、絞まる!絞まるから!おえ!た、助けてくれ!」
「・・・・・相手を締め付けて圧迫し、・・・・・菫のような青い花を咲かせる。故に・・・すみれ咲き。」
「・・・・さ、さよですか・・・・・。」
男は気絶した。
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私は、男がストーカーではないと聞き、互いに誤解が解けた形になった。この人は、ジムの呼び込みをしているとか・・・。
「・・・すみません。」
「いや、まあ、こっちも脅かすような事して済まない。・・・あ、着いたよ。」
私が案内されて連れて来られたの場所は、ニビシティのジムだった。
「トレーナーだったら、タケシさんに挑戦しろよな。」
男の人はどこかに行ってしまった・・・。
私は、ジムのドアの前に呆然と立ち尽くす。
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私はバトルが好きでもなく、バッジを集めて旅をしているわけではない。
ついでにって感じ・・・。
あまり興味は湧かないが、バッジを持っていても損はないと聞いている・・・。
それに・・・・・、
グリーンに見せびらかしたら、ビックリするかも・・・・・。
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私はジムに入る。あくまでも、気まぐれ。
そこにはボーイスカウトがいた。
「タケシさんに挑戦なんて、100万光年早いぜ!」
「・・・小学生だもの。・・・何年生?」
「う・・うるさーい!」
あ・・・逆ギレ。・・・かわいい・・。
ボーイスカウトはディグダを繰り出す。
私もディグダを繰り出した。
「引っかくだ!」
「・・・冷凍ビーム」
・・・一撃。
「くっそぉ、行け!サンド!」
相手はサンドを繰り出した。
「丸くなる!」
「・・・冷凍ビーム」
私はボーイスカウトとの勝負に勝った。
「しまった!100万光年は時間じゃない!・・・距離だ!」
・・・私は、無性にその子の頭を撫でたくなった。
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「俺がニビジムリーダーのタケシだ。」
タケシさんが現れた。
「先程の戦い、見させて貰ったよ。だが俺のポケモンは硬くて強い岩ばかり!負けるとわかってて挑むのか?・・フッ、いいだろう、かかって来い!」
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・・・2分後、
「・・・君を見くびっていたようだ。」
・・・?・・・負けて当たり前の覚悟だったのに・・・・・勝った・・。
私は、リーグ公認のジムバッジを手に入れた。
私が勝った事で、ジムの石碑に私の名前が刻まれた。
ニビジム タケシ 認定トレーナー ルナ
・・・自分の名前が残されるのは、少し恥ずかしかったりする・・・。
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・・・・・・・・?・・あれ?
グリーンの・・・名前がない・・・。
私はタケシさんに聞いてみる。
「・・グリーン?ああ、一昨日と昨日に挑戦しに来たトレーナーか、いいバトルをしたよ、でも、それでも俺の足元に及ばなかったよ。また挑戦に来ると言ったきり、全く来ないな・・・。」
・・・・あのグリーンが・・?
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私は、風の赴くまま、南へ足を運ぶ。
トキワの森の関門の前の草むら。
そこにグリーンはいた。
「はぁ、はぁ・・・・、クソォ!」
声を荒げながら修業するグリーン。
・・・・・スランプ・・?
私は声をかける。
「うお!?ルナ!?」
ビックリしたような声を上げるグリーン。少し時間が経つと、プイ、と顔を横に反らす。
・・・?
「・・・・・どうしたの?」
「ああ、まあ、ルナにはあんまり関係ないんだけどよ、その・・・、全然勝てねえんだよ。」
グリーンの話を聞いた。
グリーンの主力はヒトカゲ。炎タイプが岩タイプと戦うのは至難。タケシが使うのはイシツブテとイワーク。ヒトカゲに火炎放射やメタルクローが使えても、相手が多用する岩石封じに、手も足もでない状況だった。
「・・・色々対策は練ってんだけどよぉ、火傷や毒にして、弱い奴を先頭にだしまくってジワジワ攻めたり、バタフリーの念力で攻めたり(でも虫・飛行は相性最悪か)、マンキーに空手チョップ覚えさせたりとか・・・、対策はうてるのに、実行する金も、モンスターボールも無え。・・・もうここで、地道にレベル上げるしか無いんだよ。」
私は、グリーンの手持ちを見せて貰った。
リザード Lv17
ピジョン Lv16
オニスズメ Lv13
コラッタ Lv16
「はあ・・・馬鹿の一つ覚えみたいに岩石封じを連発してこなきゃ勝てんのに・・・・・。・・俺の人生ここで終わりかよぉ。」
「・・・・・ヒトカゲ、進化してる・・・。」
「ムシかよ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・。」
私は、傷薬を10個グリーンに渡す。
「お、おい。こんなに沢山・・・、」
「・・・大丈夫。・・・・・グリーンは強いから・・・、相性が悪くても・・・・、最後まで諦めない・・・。」
「・・ルナ・・・・、・・・・・・へっ、たりめーだろ。この俺がこんな所で終われるかってんだ!なに、今までツキが回ってなかっただけさ!」
グリーンは体を奮い立て、私の傷薬をポケットに詰め込む。
「・・・サンキュな、ルナ。3倍で返してやらぁ。」
「・・・・・(コク)」
.
私は、グリーンの様子を見に、ジムへ向かう(グリーンには内緒で)。
そのバトルは、本当にギリギリの接戦だった。
オニスズメの連続砂かけにより、オニスズメを犠牲にし、リザードがノーダメージで、メタルクロー3回でイシツブテに勝利。
イワーク戦でピジョンに替え、砂かけ1回まで成功して岩石でダウン。コラッタの尻尾を振るで防御を下げ、嫌な音・岩石のコンボでダウン。
最後のリザードで執念の連続メタルクロー。岩石を食らっても、回復でなんとか持ちこたえ、すなかけと尻尾を振る効果で、運を味方につけることができ、5回目のメタルクローで勝利した。
バトルが終わり、グリーンの勝利の雄叫びがフロア中に響きわたる。
・・・やっぱり、グリーンはあの顔が一番・・・・・。
・・・グリーンには、私がバッジを手に入れた事は内緒にしておいた。
別に望んで手に入れた訳ではないし、バトルする為にトレーナーをしていない。
ただグリーンには、闘争心や嫉妬心を持ってほしくない。
何も隔たりの無い関係でいたいから・・・。