ポケモン世界を歩こう
ニビシティ(1)
私達はトキワの森を抜け、2番道路に出た。もうすぐ街につく。

目の前に草むらがあるから、入ってみたりする。

・・・同じポケモンばかり見ている気が。

だけど、レベルだけはちゃっかり上がっていくフシギダネとピカチュウ。

・・・また技を増やしました・・♪

そろそろ街へ行こう。そう思い道中を歩くと、道端に木の実が落ちていた。

「・・・木の実。」

・・・私の拾い癖は、そこらのポケモンより群を抜く。見つけた瞬間、自然と加速し、素早い動きで手中に収める。トキワの森でも結構収穫があった・・・。

・・・フシギダネ達がジト目だったような気がするが・・・気のせい・・・。

木の実を鞄に入れる。

キュ〜〜〜〜・・・・。

・・・何か音が聞こえた。
すぐさまその方向を見る。そこには・・・。
「キュ〜〜・・・・・。」

年端もいかぬ可愛いディグダが・・・。
・・・窶(やつ)れた顔をして佇んでいた。

「キュ〜〜・・・。」

・・・?私の顔を見てる?・・・ショック受けた様な表情で、途方に暮れているように思える。

・・・・・・・・・!!
・・・あ、なるほど・・・・。




ディグダ side



なんでこんな目に・・・。



ぼくは、ダクトリオの一番下の弟のチク。

ぼくらのウチはディグダのあな。

今日もトンネルをほりつづけていると、大人の話し声が聞こえた・・・。

「これ以上の掘開はよそう。最近地盤変動が多発していると聞く。」

「ダメだ。まだまだ住むスペースが足りない。ここは元々俺達が使っていたのに、人間共が交通に使いはじめたせいで、縄張りが減ってしまった。」

「・・・でも、上の港町でビルを建てていると聞いた。今でも地ならししている感覚があるだろ。・・・補強作業に力を回してくれ。」

「心配するな。これくらいでこの巣が堕ちるかよ。・・・それに、ディグダはまだまだ増えてきている。掘る動員も数が足りないんだ。我慢しろ。」

またケンカしてるや・・・。

そう思ったときだった。・・・悲劇が幕をあけた。

ドカーン!!

何の音かと身を強張らせる。
・・・すぐに情報が入ってきた。

「おい!チク!」

「あ!カイ兄ちゃん!」

カイ兄ちゃんは、ぼくの2番目の兄。

「上の人間がポケモンバトルで”地震”を使いまくってる!早く避難しないと・・・!」

ドゴーーン!!

ザザザザザザザザザザーー!!

「今度はなんだ!?」

「おーい!山崩れだぁ!生き埋めになるまえに逃げろー!」

「大変だあ!地下水脈があふれてきてるーーー!!」

「こっちは海水だあ!!」

「うわわあああ!!」

・・・ぼくのうちは、瞬く間に大惨事と化していた。

「チク!ぼけっとするな!逃げるぞ!」

「ゾウ兄ちゃん、大丈夫かな・・・?」

「今はそれどころじゃねえ!」

ぼくら二人で掘り進み、退路を探す。

けれど、押し寄せる水がどんどん迫り、やがてぼくらを飲み込んだ。

「うわあああああああぁぁぁぁぁ!!?」





・・・・・・・。

気がつくと、地表に流されていた。

辺りを見回す。・・・トキワの森が見える。・・この辺は前に来たことがある。兄弟で一緒に・・・・・あっ!兄ちゃんたちはどこ・・・!?

「カイ兄ちゃーーん!!」

返事が聞こえない。

勢いよく水に飲まれたんだ。僕にはあの”技”があったからなんとか生き延びたけど、兄ちゃん達は・・・。

「ゾウ兄ちゃーーーーーん!!」

ぼくのこだまが響き、虚しさが残る。

みんな、死んじゃった・・・。
ぼく、一人になっちゃった・・・。

「う、ううぅ・・ぁあっ・・!!・・ぁあああああん!!うわああああぁぁあああああああ・・・・・!!」




・・・そして、ここで生活をはじめて1ヵ月。

毎日天敵から襲われ、食べ物も少なく、日に日に衰えていく。
だけど、生き延びなきゃ・・・。

最初はショックで立ち直れなかったけど、もう大丈夫。

きっと、兄ちゃん達も生きてる。
また再会するまでに、死んだらダメじゃないか。一生懸命生きよう。

また3人(匹)で暮らせるように!!

・・・そう思ったのに・・・・・。

1週間が過ぎ、限界が訪れた。

日照りが続き、エサにありつけない状況。・・・お腹が6日前からなっている。
目が霞む。もう掘り進む元気もない。
・・・神様。ぼくら、何か悪いことしたのかな・・・?
なんでこんなにも苦しいのかな。
・・・ここで目をつむれば・・・・楽に・・・なるのかな・・・?

段々と視界が黒くなり、意識が朦朧としてきた。
もうお別れが近い。

・・・さよなら、兄ちゃん。・・・天国で会おう・・・・・。

ぼくが最後に見た光景は、道端にある、木の実の光景だった・・・。







・・・・・・・・・きのみ・・?



「うおおおぉぉぉ!!起死回生ぇぇ!!死ぬ気で気の実を食う!!」

版権ネタ自重とか言わないでね。

だってそこに木の・・実・・アレ?・・・木の実は・・・?

あれ、だれこのお姉ちゃん・・・?

あれ、それ、僕の木の実・・・とられ・・・ちゃっ・・・・・・・た・・・・・・・・・・。



ルナ side



・・・・・お腹・・・減ってるのかな・・・。

ヒョイ。

私は木の実を手にのせ、しゃがんで食べやすい高さへ持っていく。

ディグダは、驚きの表情をうかべ、弱った身体を引きずりながら前へ進む。・・・進む力がもうないのかな・・・・・?

私は自らディグダの元へ歩みより、食べさせてあげた。
瞬間的に、ディグダはかぶりついた。果汁が撒き散る。それに構わず、ディグダは無我夢中に食らいついた。
果肉を食べ終えると、私の手についた果汁をなめ回す。・・・・・くすぐったい・・・。

ディグダは、さっきと比べて、だいぶ生気がでてきた。

私は鞄から、ポケモンフードを出し、皿に移し、ディグダの前に置いた。

ディグダのお腹の音が急激に鳴り出した。

ディグダはがっつくように食べ始める。
・・・すごい食欲。・・・飢えてたのかな・・・?

ディグダ side

もうダメかと思った・・。
死ぬかと思った・・・・。

こんなうまいメシ食べたの・・・・・・・・・生まれて・・・・はじめてだ・・・・・・・・・。

ありがとう・・・!!

ありがとう・・・・・・!!!!

「・・・・・・クソうまい・・・でしょ。」
おいーーっ!?
版権問題だから!自重しろぉー!
コックさんに謝れぇーー!
あと、女の子がクソとか言うなぁ!

・・・ま、人のこといえないけど。

ゲップ。

ルナ side

・・・ディグダを助け、ニビシティへ進む。後ろを振り向くと、あの子がついて来ている・・・。

「・・・一緒に・・・・・来る?」

「ディグ!」

万遍の笑みを浮かべるディグダ。

・・・一気に仲間が増えた・・・。・・・・・ディグダ、可愛いから好き。

私は、ボールを構える。

・・・?・・ディグダが後ずさっている。
・・・私が銃を構えてるから・・・?
でも、・・・・これがないと、ゲット出来ない。

持ち弾は全部で2個。(森で拾った・・・。)

私はサングラスをかけ、スナイパーモードへ移行する。

「・・・照準よし、・・・安全装置解除、・・・発射・・!」

ドギュンッ!!

・・・ギリギリ潜ってかわされた。

私はグリーンの言葉を思い出す・・・。

『いいか、弱らせて捕るだ。』

「フシギダネ。・・・宿り木の種。」

ディグダとのバトルが始まった。

ディグダは種を植え付けられ、養分を吸収される。

ディグダのマグニチュード!

突然な揺れにダメージを負った。

「・・・かみつく。」

しかし、穴を掘るでかわされる。

フシギダネに警戒を呼び掛けた。

相手も養分を吸われ、長く持たない筈。
一気に勝負をつける気だ・・・。

ドン!

ディグダの穴を掘る攻撃を、紙一重でかわすフシギダネ。
空中で投げ出される形になったが、蔓で攻撃すれば勝てる。

「・・・ツインウィップ。」

二本の蔓を出したフシギダネは、ディグダに蔓を伸ばし、鞭の如く両サイドで挟んでたたき付ける。
効果は抜群のはず・・・。

だけど、あのディグダは耐えていた。

ディグダは、フシギダネへ口元を向けている。・・・一体何を・・・?

突然

ディグダの口から

冷気の光が伸びた・・・!!

「ダネェーー!!?」

謎の冷気をまともに受けたフシギダネは、戦闘不能になっていた。

「・・・交代。・・・ピカチュウ。」

「ピカァ!!」

やる気は十分・・。
それにしても・・・、あの”技” は一体何・・・?

「・・・距離をとって。・・・相手も素早い。」

ピカチュウに長期戦を指示する。

ディグダは、あの冷気の光を放つ。
けれど、間合いをとったピカチュウの素早さには敵わない・・。
難なくかわしつづける。

そして、時間が経ち、宿り木で養分を吸われたディグダは、戦闘不能寸前だった。

「射撃用意・・。・・・・・発射・・・!」
ドギュンッ!

見事命中。そして・・・、

カチッ!

ディグダをゲットした。

・・・・・・(♪〜)

「ピッカ!」



まさか、この短い間にこんなに賑やかになるとは思わなかった。

自分の気まぐれから・・・色々な出会いがある。

これからも、仲間が増えていくのだろうか・・・?・・・うーん・・、私的にはそんなにはいらない・・・かな?

旅が好きで、散歩が好きで、自由気ままに世界を見て回る事が好きな仲間と、のんびり過ごしたい。

私はまだ、自分の夢が何なのか、まだよくわからない。でも、この旅を通じて、いろんなモノをみて、いろんなコトを経験して、考えてみたい。

もうすぐ街に着く。
ついたらひとまず、休憩しよう。
羽をのばして、ゆっくりして、飽きてきたら、また次の街へ。

まるで小意気なノラ猫のように・・・。





美容室 ( 2012/03/19(月) 18:15 )