番外!踊るポケ捜査線!〜クチバの波止場の浦島作戦〜(6)
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・・・アイアンテールの攻撃に身を強張らせていたピカチュウ一向。
しかし、いつまで経っても、敵の攻撃の衝撃が訪れない。
ピカチュウ達は、うっすらと目を開けて確認する。
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ゼニガメのハイドロポンプ!
急所に当たった!
効果は抜群だ!
ハガネールは倒れた。
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「がっ・・・!!?・・・・・ぐはぁ・・・!」
ハガネールは、予想だにしない不意打ちに驚きながら、後頭部に弱点である強力な水圧を食らわされた。
ズシーーーーーーーン・・・!
やがて、大きな鋼鉄の身体は、力なく地面に倒れ伏した。
ハガネールの変身が解け、メタモンの姿に戻る。
「・・・く・・・き、貴様・・・あの高さから落ちて・・・・・死んだはず・・。」
苦し紛れに言い放つメタモン。
「てめぇ、人の事言える義理じゃねーぞゴラ。倒したかどうか確認しねーから、そういうめにあうんだよ。」
メタモンは気絶した。
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「ゼ、ゼニガメーーー!!無事だったんだーーー!」
「このいいとこ取りがぁーーー!」
ピカチュウとディグダがゼニガメに駆け寄り、タックルをかました。
「がはっ・・・!・・・てめーらぁ!それが恩人に対する態度かぁ!」
「え、でもゼニガメ、始末したって、あいつらが・・・。」
「・・・ああ、そこのカモに助けて貰ってよ、何とか死なずにすんだ。」
破裂した水道管から、地上約6mほどまで噴射した水に乗り、応戦していたゼニガメ。
そこで変身していたメタモン達の策に嵌まって混乱し、頭からコンクリートの地面に落ちるスレスレの所を、猛スピードで接近して救出してくれたのがカモネギだった。
「・・・せ、拙者は、ゼニガメ殿から、ここの事態の状況を聞いたので御座る。・・・拙者も・・・、辺りのズバット達を鎮静させながら、ピカチュウ殿を、探していたので御座る・・・。」
息絶え絶えに、立ち上がり歩み寄るカモネギ。
「すまねぇな、カモネギ。そんなに疲れるまで手伝ってもらってよ。」
ゼニガメが頭をかいた。
「「((ホントは別の理由でヘロヘロになってんだって!))」」
「何か言ったで御座るか、お二方殿?」
「「いやいや別に何も。」」
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「お、そうだ、朗報だテメーラ。」
ゼニガメの言葉が皆の視線を集めた。
「特効部隊からの連絡だ。ズバット、ゴルバット、ゴース、ゴースト、全員回収完了したぜ。」
「「おおおおぉぉ!」」
その場の全員が感嘆の意を漏らす。
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警察のポケモン計20匹のうち、2匹敵が内部潜入を図り、味方を偽って内部から怪しい光で全体を混乱させた。
混乱により、順横無尽に攻撃をする警察のポケモンを20匹全員倒して沈静化させ、敵2匹を索敵して戦闘不能にした。これ以上ない功績だった。
残り0匹。
作戦、終了。
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「あとは、犯人の拿捕だがコイツも時間の問題だろう。今から部隊に一旦戻るぞ。」
ゼニガメが皆をまとめる。しかしそれを遮るように、ピカチュウが発した。
「フシギダネは!?彼は無事なの!?」
焦りの表情を浮かべるピカチュウ。ディグダも、はっとする。
フシギダネをあの場に残して、どれぐらい時間がかかっただろう。
もうすでに警察がかけつけている筈だ。
でも、もしその前にフシギダネが無事でいる保障はどこにもない。
相手はエレブーにアメモース、シザリガーに相性の悪いデルビルまでいて計4匹。
今になって、なぜあの過酷な状況にフシギダネをひとり置いてきたのだろう、ピカチュウとディグダは罪悪感でいっぱいになる。
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「・・・・・・あいつの事なんだが・・・・・。」
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息を吐いて俯くゼニガメ。
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目の色が変わっていくピカチュウとディグダ。
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「応援がかけつけた時には、敵は4匹とも戦闘不能だった。フシギダネは虫の息だったらしいが・・・・・死んじゃいねぇから安心しr」
話を途中で聞くや否や、ものすごい勢いで走り去っていくピカチュウとディグダ。
さきほどの戦闘の疲れも露知らず、驚愕と後悔、そして無事を祈らんばかりの表情を隠せない2匹は、がむしゃらにフシギダネの元へ走りだした。
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ゼニガメ side
「おいテメーラ!!・・・・・・・行っちまったか・・。」
残された俺とカモ。
「・・・フシギダネ殿は、大丈夫なので御座るか?」
「うちの衛生班が治療に当たってる。絶対大丈夫だ。致命傷でも何でも回復できるエキスパートだ。」
死んでも助けてやりたいが、俺の出来る範囲じゃねぇ。
・・・そうなんだがよ。
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・・・・・気持ちが・・・・・いっぱいいっぱいなんだ・・・!
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「・・・・・・・テメーラ、何でそこまで無茶が出来る・・?俺にはもう・・・・・テメーラに返せる恩なんざ・・・。」
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フシギダネ。ディグダ。カモネギ。
そして、ピカチュウ。
潜入操作の邪魔をした一般の民間。
別に誰だろうが何だろうが関係ない。
他人は他人なんだとまくし立ててた俺だった。
しかし、敵の雷で死にかけてた俺に、”見過ごせない”という理由で、匿った筈の奴らが助けに入ってきた。
・・・っつーか、アイツラ怖くなかったのか?目の前でドンパチぶっ放してやりあってたんだぜ?
ポケモンバトルと勘違いして意気揚々としてたあの3匹にイライラしていたんだ。
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・・・・・だが、違った。
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アイツラ、口だけの正義じゃなかった。
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アイツラの目が、アイツラのひとつひとつの技が、アイツラの心が、
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俺を助けたい。
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ヒシヒシと伝わってきたんだ。
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普通、あの場で一人で残るなんざ誰が言えるんだよフシギダネ。
なんで、ピストルで傷負っといて、怖がってたくせに、まだ助けたいなんて言えるんだよピカチュウ。
おかしいだろ、あんな緊迫した状況で、場の空気が緩むわけねーだろディグダ。
「馬鹿だろ、いちいち見ず知らずの奴助けんのかよカモ。」
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「・・・まあ、”助けたい”から・・・”助ける”んで御座るよ。
理由や義理、考えるのは二の次。
一番大事なのは、その一瞬自分が何を感じ取れたか。それを成し遂げれば、後々の後悔は不思議とないもので御座るよ。」
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・・・・・愚問だったな。
「ま、億劫になっても致し方ないで御座るよ。現に、ゼニガメ殿も拙者達を助けてくれたでござる。」
「バッカが、ありゃ警察官としてのだなぁ・・・。」
「素直ではないで御座るな。」
俺とカモネギは、少しはみかむように笑った。
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「・・・・・おい。」
「む?」
「・・・テメーラのトレーナー、自由奔放な性格してんだろ。」
「フフ、ほぼ当たりで御座るな。」
「やっぱりな、俺も見てみてーぜ。どうやったらあんな馬鹿共が育つんだ?・・・やっぱ、トレーナーはポケモンと似るってか?」
「拙者は・・・本日付けで仲間になった故に、新しい親についてはよく存じぬが、・・・・・目が気に入った。好きなものを全て取り入れてやろうという野心。そして、取り入れたものを死んでも守るという寛容に信念。なかなかあの若さで出来る芸当ではない。」
「目だと?」
「拙者、つまらない主人には懐かぬ性格で御座る故。」
カモネギはそう言い、空を飛ぶ。そして待機している警察の部隊の方へと飛んでいった。
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「・・・・・・・・ケッ!」
から声を響かせて俺は寝転がった。
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「・・・・・・・・・・。」
しばらくして、俺は立ち上がる。
「・・・・・・ケイトの所へ行くか。」
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・・・・・はん、どうせ俺は素直じゃねぇよ!
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ピカチュウ side
息を切らしながら走る。途中何度躓いたかわからない。
でも、彼のことで頭がいっぱいだから無理ないかな。
狭い路地を抜け、ポートの出口が左側に見えた。パトカーがたくさん。簡易天幕におまわりさんもたくさんいた。
すぐ近くにあった簡易テントに目がつく。そこには赤十字のマークがあった。病院のマーク。
アタシとディグダはそのテントに向かう。
すると、テントの中からラッキーが出てきた。看護服を着ている。
アタシはすかさず聞いた。
「すみません!ここにフシギダネは!?」
「貴方は・・・先にいた民間のポケモンですね。ご協力、本当に感謝致します。おかげさまで無事ズバット達を助ける事ができました。」
ラッキーが頭を下げる。
「質問!フシギダネは何処?」
ディグダが聞いてくれた。
「はい、この中です。すみませんが、ほかのポケモンの治療もあるので。」
ラッキーは一礼して、トテトテとその場を後にした。
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アタシとディグダは中に入る。
「・・・!?」
「・・・ぅわ!?え?」
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アタシとディグダが驚いた理由。
ベッドひとつおいてあるだけで、半分くらい場所をとるような狭いテントの中。
そこで真っ先に見たのは、
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「・・・・・?・・・・・!?・・・・あなたたち・・・!」
・・・・・ルナがいた。
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ルナ side
・・・・・フシギダネ達に自由行動を与えて、クチバを散策し、ポケモンセンターへ戻った。
・・・まだ、あの子達が帰ってこない。いつもなら時間を守らせてる(規則正しい生活・・・破ったらオシオキ。)から、少しおかしいと感じた。
私はカモネギをボールから出し、あの子達を探すように頼む。
ポケモンセンターのロビーのソファ待機していたら・・・。
パトカーが玄関の前に止まった。中から警察官が二人、ロビーに入ってきて、受付の看護婦さんに1分くらい事情聴取している。
・・・何かあった・・・?
そう思ったら・・・。
『ルナ様、ルナ様、恐れ入りますが、至急受付までお越し下さいませ。』
・・・・・・・私・・・何かした・・?
手に汗かいたのは気のせい・・・だと信じたい。
「・・・私がルナです。」
受付の近くにいたから、すぐにかけつけた。
「ああ、どうも、こちらクチバ警察です。えっと、貴方はフシギダネをお持ちですか?」
・・・・・・・わざわざ人を呼び出してポケモン交換・・・?
「・・・はい。・・・でも今はいなくて・・・。」
「こちらの写真を確認して頂けますか?」
一人の警察官が、携帯用の小型のコンピュータを取りだし、ボタンを操作して画面を映し、私に見せた。
「・・・・!!!?」
・・・その写真は、確かに私のフシギダネが写っていた。
・・・・でも・・・・どうして・・!
「・・・なんですかこの大怪我は!?」
ロビー全体に響くだろう、私は声を張り上げた。
「落ち着いて、フシギダネは現地で治療を行っています。もう一度問いますが、貴方のフシギダネですね。」
警察官の顔が真剣になる。
・・・私はとりあえず落ち着いた。
「・・・はい。」
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・・・そして、パトカーで同伴して貰って、現地に着いた。
・・・・・工場?・・波止場?・・ポート?
結構高いフェンスがそびえ立ち、かなり広い敷地である工場を囲う。
私達は中に入る。
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・・・・・一言でいうなら、”百鬼夜行”。
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コウモリやオバケが、右前方奥の工場の密集地にて飛び交っている。
眺めているのもつかの間、私が案内されたのは、小さなテントだった。
中に入る。
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・・・・・ベッドに俯せ、包帯が至る処に巻かれ、点滴の管が数本つけられている・・・・・フシギダネがいた。
「・・フシギダネ!!」
私はダッシュでベッドの側に近づき、フシギダネの顔を見た。
顔の殆どが包帯によって隠れていて、唯一見えるのは右目だけだった。
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・・・・・・・・・・・・。
「・・・・・・・・・・・・。」
フシギダネは、苦しそうに息をしていた。
時折、フシギダネの蕾から出てくる花粉は、私の鼻孔を刺激し、痛みを感じる。
「・・・・・・誰が・・・・こんなこと・・・。」
握りこぶしがギリギリと震える。
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「あなたがルナさんですね。」
・・・後ろを振り返ると、婦人警官が入ってきた。
「・・・はい。」
「私はクチバ警官巡査部長のケイトです。」
・・・・・警官というか、結構重役だった。
私は、頭(かぶり)を横に振り、寝ているフシギダネに向ける。
「・・・・・一体何が。」
「今から説明します。」
ケイトと名乗る巡査部長が・・・テントの幕を閉め、フシギダネの側に寄り、目をフシギダネから動かさずに話し始めた。
「この子は、とても勇敢な子です・・・。」
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不正売買取締法違反。
・・・・・・巷のポケモンが盗まれているというカスミの話は本当だった。
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私は、ケイトさんから事件の内容から現在の状況まで、事細かく、解りやすく話してくれた。
・・・この子達の事も。
・・・・・ピカチュウも、ディグダも、まだ巻き込まれている・・・。
その話を聞いた瞬間私はテントから出ようとしたけど、すぐにケイトに取り押さえられた。・・・・・・さすが警察官。
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「私には、ダブランというイッシュ地方に生息するエスパーポケモンを所持しています。私のダブランは、ポケモンの言葉を通訳して私にテレパシーで伝える能力があるの。・・・・・・・・フシギダネの事も、ピカチュウの事も、ディグダの事も、ゼニガメから聞いているわ。あ、ゼニガメは私のパートナー。今その子達と一緒に行動してるの。・・・・・・・あなたのポケモン達は、私のゼニガメを助けてくれたのよ。巻き込まれたなんて言い方、私は願い下げです。」
・・・・・・この子達が・・?
「私達が応援に来るまでに、相手のポケモンを足止めして時間を稼いでくれたのが、フシギダネだったのよ。」
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・・・・・・体中は大火傷で、切り傷や筋肉の炎症も、内出血もひどかったらしい。
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「私はゼニガメに言いました。『民間のポケモンを危険に晒すな!』って。そしたらゼニガメ、『俺を助けたいって言って全然聞かないんだ』って。・・・今でも奥の工場の路地でゼニガメの為に闘ってくれてるの。」
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・・・・・・・・ピカチュウ、ディグダ、・・・・・フシギダネ・・・・。
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私は、側にいるフシギダネの頭を優しく撫でる。
すると、ケイトさんの無線機から声が響く。
「はい、・・・・・・・了解!すぐに!」
ケイトさんは、素早くテントから出ていく。
「ルナさん!」
テントの出口から顔を覗かせるケイトさん。
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「あなたのポケモンも盗まれたポケモンも、全て助けます!その為の警察よ!・・・・・・信じて!」
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・・・・・足音が遠ざかる。
・・・・・・・遠くでは、バトルの撃音が聞こえる。
・・・・・辺りでは、サイレンの音に、警察官の雑踏が聞こえる。
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・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・私は、自分の頬を叩いた。
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「・・・・・・・・信じる・・・・。」
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フシギダネの頭を、怪我に響かないように優しく撫でつづけた・・・。
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ピカチュウ side
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・・・・・ルナ。
ディグダも驚いてる。
だって、フシギダネがいるっていうからテントに入ったら、ルナがいたんだもん・・。
・・・あ、そっか、多分ゼニガメが言ってた、ケイトって人が呼んでくれたんだ。
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「・・・・・あなたたち・・。」
ルナがぽつりという。
・・・まあ、心配かけちゃったしね〜。
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あ!フシギダネは!?
アタシは近くにあったベッドに登る。
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そこには・・・・・・。
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体が少ししか見えないぐらい、たくさんの包帯で巻かれたフシギダネ・・・・・・。
点滴がついてる・・・・・・。
苦しそうに身震している・・・・・・。
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「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うっ・・・ぐす・・・・・・・うぅぅ・・。」
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アタシは歯を食いしばって泣いた。
どうしてこんなめに・・・・。
全部・・・・アタシが弱いからだ・・・。
自分の弱さにひたすら嫌気がさし、泣きつづけた。
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「・・・・・ピカチュウ・・・大丈夫。」
・・・え?
ルナが優しく囁く。
「・・・・・フシギダネは・・・元気だから・・・。」
・・・?・・・?
訳がわからないまま、アタシはルナの手につかまり、フシギダネの側に置かれた。
改めてフシギダネの顔を見る。
右目以外、包帯しかない。
・・・・・こんなになってまで、アタシ達を・・・・。
また、ぐずりだしてしまう。
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「・・・・・るせぇな、ビービー泣きやがって。」
「!?」
「おお!死亡フラグをへし折ったかコイツー!」
ディグダが何が言ってるけどムシ!
え、今、ウソ!?
フシギダネの右目がキョロッと動き、アタシの目を貫いた。
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「・・・・・・よかった。・・・無事か、ピカチュウ。」
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フシギダネの表情はわからないけど、きっと笑っている。
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・・・アタシはなんとかこらえて、右手でゴシゴシ瞼(まぶた)をこする。
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「ちゃんと恩返ししてもらったよ!」
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「・・・何をだ?」
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「ともだちになった!」
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ディグダ side
テントの中で、僕とピカチュウはルナから手当てを受けた。
っつっても、ルナが持参してるスプレーの傷薬と包帯で、やってもらってるんだけどね。
・・・ルナ、包帯の使い方上手いな。手際もいいし、だれかに教わってたのかな。
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ピカチュウと僕はあっというまに包帯に包(くる)まれた。
へへへ、男の勲章だ。僕だって立派に戦ったんだしな。
ありがとう、ルナ。
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ポト。
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ルナが、手に持っていた包帯テープを落とした。
にもかかわらず、全然拾わない。
っち、しょーがねーな♪
僕は落ちた包帯テープを頭に乗せ、ルナに渡してあげようと顔を見上げた。
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・・・・・・・・・・ありゃ、
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・・・・・・・ルナ、なんで泣いてるの?
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ドゴ!バキ!
「「いったぁ!?」」
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何かと思えば、ルナがピカチュウと僕にゲンコツ!?
なにゆえ!?僕達ケガ人だぞー!
っつーか、なんで僕だけ横殴りなんだよ!
めっちゃ痛ぇーーーー!
包帯テープ飛んでったじゃん!
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・・・・・?
・・・ルナがピカチュウと僕を手で撫でた。
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・・・・・次は抱きしめてきた。
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「・・・!!・・・う・・うっ・・うううううぅ〜〜〜〜〜〜・・・・!!」
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・・・初めてみたよ、ルナが泣くところ。
・・・腕の力が強くなった。
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「・・・ぅぅうううう〜〜〜・・・・!・・・・・・ぐす・・・!・・・・バカ・・・!・・・・・心配かけて・・・!」
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・・・怒ってたんだな・・・ごめんね、ルナ。
・・・・・ちぇ、ちょっと無神経だったかな?
ん?あーあ、ピカチュウのやつ、もらい泣きしてやんの。
・・・へ?僕?
僕は泣かないよ〜、男だもん、ドヤ。
・・・・・・・ルナ、ずっと抱きしめてるな〜。
・・・ルナって、無感情かと思いきや、以外に脆いな。・・・多分ギャップの効果だね。
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・・・・もしかしたら、僕達はこの場にいないかもしれなかったんだ。
それを想像して、怖くなったのかな、ルナ。
・・・・・・ん?・・今までのルナなら、自分で僕らを探しに来るよな?
じゃあ、ずっとここで待ってたって事?
僕らが帰るのを信じて?
あのルナが?
さっきまで僕ら、何度も死にかけたよ?
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・・・信じてくれてるって・・・・・なんだかいいな。
いつも暖かいし、勇気が沸いてくるしね。
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「(・・・早く兄貴達に逢いたいな・・・・・。)」