ヤマブキシティ(2)
ルナ side
相手は二人。
バリヤードにスピアーを出してきた・・・。
私はディグダ。カスミはシャワーズで白い霧を使う。
深い霧の中、ロケット団の視線が私達をとらえる。
「バリヤード!サイケ光線!」
「スピアー!ミサイル針!」
無数の針とまばゆい光が走ってくる。
ドカァァーーーン!!
爆発音を兼ねて地面ごとえぐる様な衝撃が襲った。
「やったか!?」
ロケット団が言う。
.
.
「・・・砂地獄。」
「水の波動!」
私はディグダに、カスミはシャワーズに技を出させた。
マグニチュードで地盤が脆くなったロケット団の足元を更に脆くする。
そこをシャワーズの水の波動で、足場を悪くした。
「うわ!泥が!」
「バリ!?」
「後ろから!?じゃあ今攻撃したのは!?」
・・・・・シャワーズの身代わり。
2体分造ってくれたから、体力がかなり消費する。・・・でも、うまく隙をつくれた。
ドム!ドキュゥン!!
私は引き金を引く。
モンスターボールの弾をロケット団の急所を狙って撃った。
ガキン!ガキィン!
・・・・・?
・・・バリア?
二人に当たる前に、見えない壁に跳ね返されたみたい・・・。
「銃!?あ、危なかった!」
「いいわよバリヤード!」
・・・バリヤードのドヤからの照れ。
.
.
(ルナ、今のうちに逃げない?その為に霧を出したのよ、あいつらも気付いてないし・・・。)
(・・・・・ムリ。・・今逃げたら・・全域指名手配。)
(もうヤマブキで割れてるわよ!)
(・・・・・・私達を襲った男達は・・・きっと、私達をヤマブキ市民だと思ってる。・・・今ヤマブキは隔離状態。)
(ここであいつらをやっつけるって事?)
(コク。・・・ついでに・・・カスミのゴルダックで、彼等に暗示をかければオッケー。)
カスミはため息をつく。
(あんた・・・。無茶苦茶通り越してドン引きだわ・・・。)
(〜♪)
(でも、スマートで好きよ、そういうの!)
・・・あ・・霧が晴れてきた。
「先輩!あいつらッスよ!」
・・・見つかった・・・!
「アンタはディグダを、私はシャワーズを叩くわ!」
「了解ッス!スピアー、毒突!」
スピアーの巨大な針がディグダに迫る。
「・・・かわして。」
難なくもぐってかわすディグダ。
「シャワーズ、シャドーボール!」
シャワーズの口から暗黒の球体をバリヤードに放つ。
「守る!」
バリヤードがシャドーボールを防いだ。
「10万ボルト!」
・・・!?
バリヤードが高圧の電気を練り始めた。
強力な電撃がシャワーズへ放たれた。
「危ない!シャワーズ避けて!」
カスミの声は、雷の音で掻き消される。
バシィィイイイ!!!
バリバリバリバリバリ!!!
.
.
・・・でもディグダには効果がない。
シャワーズを襲う10万ボルトを、ディグダが身をていして守った。
「サンキュールナ!ハイドロポンプ!」
「・・・手助け。」
ディグダの手助けの効果で、シャワーズの水の威力が上がり、膨大な水圧で反撃。
「・・・ち、バリヤード!守る!」
「スピアー!かわせ!」
バリヤードはバリアを張るけど、耐え切れずに粉砕した。
バリヤードは倒れた。
「ミサイル針だ!」
ディグダは避け、シャワーズは微量食らう。
ドキュン!!
バリヤードがいないと直ぐさま・・・隙あらば、撃つ。
ガキン!
・・・・・?・・また?
「ギギギギ・・!」
・・・磁石ポケモンのコイル?
「付け上がってんじゃないわよ!!マグネットボム!!」
相手のコイルが銀色の光を放つ。
・・・ボムだから・・・爆弾?
「シャワーズ!水の波動!」
カスミが水の波動でマグネットボムを相殺させようとする。
バァァアアアン!!
すると、水の波動が四散し、辺りに激しく弾け飛んだ。
・・・・・シャワーズの技を玉砕・・?
・・・・・・・・逃げれば良かったかも・・・。
「コイツら纏まると面倒ッスね。ケーシィ!」
男はケーシィを出す。
「ほんじゃ、バラけますわ。ケーシィ、テレポート!」
・・・・・・・・・・・・?
・・景色が変わった?
.
.
.
「スピアー!高速移動だ!」
・・・!
・・・目が追いつかない・・・!
「よく狙って伐て!毒突!」
スピアーがディグダに狙いを定める。
・・・今ディグダは土の中。
カスミとは距離が離れ、今では1on1での勝負に変わった・・・。
あの素早く動く相手に、攻撃は多分当たらない・・・と思う。
・・・地面から出てマッドショット。この単発の繰り返し。さすがに動きを読まれる・・・?
・・・モコモコと地面が盛り上がる。
・・・スピアーが迫る・・・!
スピアーの毒突!
ガキィン!!
スピアーの自前の針が折れた・・・。
スピアーは激痛の余り、羽の動きを止め、地面をのたうちまわる。
「スピアー!?大丈夫か!?」
・・・・・ホントに大丈夫・・?
・・・だって・・・、岩に針を突き刺した・・・・・。
ディグダの作戦の中で、ある程度ワンパターンの動きを見せておいて、異なるパターンを入れるというのをやる。
今回は、地面から出てくる瞬間を狙われるのを想定し、地中から拾った岩を地表に出しただけの事・・・・。
「・・・岩砕き。」
ドガガガガガガガガガガガ!!
そして、岩の散弾銃。
・・・虫タイプには効果抜群。
スピアーは倒れた。
・・・名付けて、『アーススパイア』。
「ケーシィ!念力!」
ウィーーーン
「ディグゥゥゥゥ!?」
・・・あ、ケーシィ忘れてた・・・・。
私はすかさず傷薬を使う。
「・・・砂地獄。」
ケーシィを砂地獄に取り込む。
「・・・・・・これでテレポートで逃げれない・・。」
.
.
.
カスミ side
「電撃波!」
コイルが回避不能の電撃を放つ。
「光の壁!」
シャワーズに特殊技を半減させたけど、体力がもうないわね。
相手は電気タイプ。
・・・でも、それくらいの修羅場はかい潜ってんのよ!
「オーロラビームよ!」
シャワーズのオーロラビーム!
コイルの素早さが下がる。
「続けて波乗り!」
「させるか!スパーク!」
シャワーズの波乗りがコイルを襲う。
「これで決まる・・!」
この連続攻撃でまだ立てるなら・・・、バケモノね。
「・・・ギ・・ギギギギ。」
・・嘘!
「やりなさい!!」
「まだよ!アクアジェット!」
ヒュッ・・!バキィィィイ・・!!
短い距離だけど、先制技でうまく相手の技を潰した。
「・・・・・・・・・・ギギ」
・・・・・・へ・・?
バリバリバリバリバリバリバリ・・・!!
シャワーズは倒れた。
「く、シャワーズ戻って!」
私はシャワーズをボールに戻そうとする。
「ギギギ」
コイルのマグネットボム。
目の前で爆発が起こる。
「きゃあああぁ!?」
私は唐突な爆風に煽られ、尻餅をついた。
「な、何なのよ!」
「・・・アンタ、自分の立場がお解り?」
ロケット団の女がけだるそうに言う。
「アンタのポケモン、全部渡しなさい。」
「っざけんじゃないわよ!!」
バチィ!!
はっと振り向くと、倒れて動けないシャワーズに、追い撃ちをかけるようにコイルが電気を流す。
「シャアアアアァ”ァ”ァ”ァ”!!??」
「シャワーズ!!みんな!シャワーズを助けるわよ!」
私はボールからポケモンを出す。
.
.
.
ぽと、ぽとぽとぽと。
.
.
.
ころころころ・・・・・。
「・・・・へ・・?」
な、なんで出て来ないの・・?
「ああくれるの、ありがと。コイル、回収して。」
コイルが私のボールを磁石で引っつけて取ろうとした。
「触らないで!」
「スパークよ。」
バチバチッ!!
「くぅうあああ!!?」
あ、あ、熱い・・!!指が・・・・・・・熱い・・!!
焼けるように痺れる右手を抑えながら、私は疼くまる。
「・・・なんで、出て来ないの?」
「さあ?・・・嫌われたんじゃないの?」
・・・うっさいわね!そんな筈ないわよ!
この女、何か細工したわね!
(せめて、シャワーズだけでも・・!)
私はボールを構え、シャワーズに向けて開閉スイッチを入れた。
カチカチ・・。
何度ボタンを押しても、ボールの機能が作動しない・・・!
「コイル、ご苦労様。」
あの女がコイルからボールを受け取る。
私のボールを・・・勝手に触るんじゃないわよ・・・・!!
「返せっつーの!」
「・・・コイル、電気ショック。」
ビクッ、と体が震えた。来る。怖い!嫌!!
私は目を固く閉じた!
バチィイイ!!
「っっっあああああぁぁぁ!!・・・・・・っっ・・・・・はぁ・・はぁ・・!!!」
・・・か、か、身体が・・うごけない。
「安心なさい。アンタのポケモンは大切にこき使ってあげるから。・・・だけど、この子は無理ね。私に刃向かい過ぎたから、多分言うことを聞かないわ。・・・・・殺しときましょ。」
な!!?
.
.
.
.
.
.
.
.
ルナ side
(・・・・・カスミ?)
・・・・きのせい・・・・・?
「よそ見かよ!ワンリキー!フェイント!」
ワンリキーのフェイントで、ディグダが動きを止めた。
・・・!?
方向変換してこっちに走ってくる・・!
「跳び膝蹴り!!」
・・・・・・・・・・。
ワンリキーの膝が私の顎に当たる寸前、ワンリキーの後頭部に衝撃が走る。
「ギャ!リ、リキリキ〜!!」
ワンリキーが、私の目の前で後頭部を抑えて疼くまった。
・・・そうね、卑怯な事したら、謝らないとね・・・。
ディグダの冷凍ビームがギリギリ間に合う。
「ワンリキー!リベンジ!」
・・・!
・・・威力が増す技・・!?
「リッキー!!」
目の前で気合いを溜めるワンリキー。私は咄嗟に銃を構える。
シュッ・・・!!
・・・速い!・・・まにあわ・・
ドゴォ!!
私は、そのまま地面に崩れ落ちた。
.
.
.
.
.
・・・・・・・?
・・・でも、痛くない・・?
「ダネフシ!!」
・・・フシギダネ・・!
フシギダネのジャングルームで、蔦や蔓を増殖させ、自分の体に纏う事で緩衝役になってくれた。
「・・・すみれ咲き!」
フシギダネがワンリキーを締め上げた。
ワンリキーはもがきながら、必死に首の蔓を解こうとする。
「くそ!ベロリンガ!助太刀しろ!」
相手も新たに数を増やした。
「フシ!」
フシギダネは、捕らえていたワンリキーを、横の隅に放り投げた。
その先には当然・・。
「ディク!」
「・・・アイアンヘッド。」
弧を描いて地面に落ちてくるワンリキーを、トラップするように迎え打った。
ベキィ!!
ワンリキーは倒れた。
「使えねえな!ベロリンガ!超音波!」
私は耳を塞いだ。
キィーーーーーン!!
「うっさいわよ!!バカ!!」
「す、すいませんッス!!」
・・・・・・・相方に怒鳴られた。
・・・何処からツッコミした・・・?
こっちは幸い、混乱にはなっていない・・・。
「・・・ディクダ・・・穴を掘る。」
・・・・・ドゴ!
ディクダは地中に潜り、ベロリンガの真下に来ると、地上へ出る勢いを乗せてぶつかる。・・・小さいダメージ。
「ベロリンガ!舐めろ!」
地面から出てきたディグダを、ベロリンガが長い舌で舐めた。
ディグダは倒れた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「はははは!どうだ俺のベロリンガは!コイツの舌は特別でね!粘膜の特殊改造を施し、触るものの皮膚に表現しようのない○○で△□な刺激を与え、最終的には鳥肌が立ちまくって、足腰が立たなくなるのさぁ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・フシ?」
「・・・・ち・・・に・・・・・な・・・・・・て・・・・。」
「何だって?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・私の子達に変な事吹き込むのやめて」
「ダ、ダネ・・・。(ブルブル)」
「な、何でキレてんの?(ガクガク)」
・・・・・私のディグダを舐めた?
・・・・・・・私も舐めた事ないのに?
・・・・・・・・・なんか・・・・ムカツク・・・・。
・・・ハイパーボール6発装填、安全装置解除、連射切替、射撃用意、発射。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・痛みは・・・・・快楽。」
ババババババーーーーーーン!!
「「ぎゃあああぁぁぁああああいいぃええええ!!??」」
変質者を倒した。
「・・・・・・・・変な性癖ついたら・・・・・・・・どう責任とるの!?」
「ダネ・・・・・・(バカばっかしだ・・・。)」
・・・・カスミは無事・・・?
この辺りにいる筈・・・!