マサキの家
ルナ side
入院して3週間。
・・・ようやく退院した。
ホントは、5日前位には脱走を試みたが、フシギダネとピカチュウに阻止された・・・。
でも、これでまた皆と旅が出来る・・・。
フシギダネも、ピカチュウも、ディグダも、非常食も、私の退院を心から喜んでくれた・・・。
一足遅かったけど、ハナダの街を散策する。
怠け者ヤドランとエリートトレーナーの漫才独演会が有名で、20分位見物する。
「あんた達!見世物じゃないのよ!」
私達は踵を帰して逃げる。
「逃がすか!ヤドラン、サイコキネシス!」
「・・・Z」
「きぃぃーーー!!」
あと、この街唯一の大きなプールがあるらしい。・・・私は泳げないから、行きたくないけど、ピカチュウと非常食が行きたいらしい。
後回しにして、ポケモンの世話をしている女の子と話をしたり、大きな庭を持っている家の人に敷地を借りて、皆で日光浴。
空き巣の被害にあった民間。
・・・今は調査中で近寄れない。
・・・そういえば、グリーンが、北にマサキさんという人がいるらしい。
今日はたくさん動きたい気分だ。
皆で北に向かう事にした。
橋を渡る途中で、トレーナー達が立ちはだかる。
「ゴールデン・ブリッジ、勝ち抜き戦だ!何人まで行けるかな!?」
「・・・失礼しました。」
回れ右をして歩き出す。
「ちょっとちょっとー!?何?ボク何か悪いことした?何か気にくわなかった。」
「・・・・・・・・・・・・・・・高飛車。・・・不愉快。」
「・・す、すみません。」
バトルを連続で挑まれる私。
3週間のブランクがある私達だが、あの決死の戦いを忘れた訳ではない。
この子達も、確実に強くなっていく。
長い時間をかけて、マサキさんの家へ。
家のドアをノックするが、返事がない・・・。それに、鍵が開いている・・・。
「・・・・・・・。」
人の家に無断で入るのは忍びない。
「・・・・・ピカチュウ、偵察。」
「ピッカーーー!」
ピカチュウ side
はい! テレビをご覧の皆さん!
私は今ですね、ハナダシティ郊外の岬にあります、マサキ邸に来ておりまーす。
今玄関を入って、廊下を抜けた部屋をみると、大きな広間が見えました!
やや?何やら怪しい機械が設置しています。すごい機械ですよ。なんか、ケーブルや配線がすっごい複雑で、あちこち煙を吐いてますし、スイッチやランプが沢山です。これはラボラトリーですね?一体何の為に作られたものなのでしょうか?
そして、ここの家主は一体何時になったら現れるのか?先程から気配を探っていますが、何も聞こえません。もう少し探索を続けます。鍵が開いているのに、家を空ける事はありません。必ず家にいるはずです。
おや!?この突き当たりが怪しいですね。いって確かめてみたいと思います!
「ガルルルルルルルル!!!!」
「きゃ!?」
獣の唸り声が聞こえた。
あの突き当たりからだ・・・。
・・・え、嘘、何!?
突き当たりの方から、足音が近づいている。
「ちょっと・・、冗談やめてよ・・。」
シルエットがだんだん伸びてきている・・・。角や牙が伸びて、恐竜のような形をしている。
「あ、足が震えて・・、(怖いよ・・・、ルナ、フシギダネ、助けて・・・!)」
ズシン、ズシン・・・・、
足音が・・・止んだ・・・?
今のうちに、ゆっくりと後ろずさむ・・・。
カタン・・・!
何か物に打つかって、音が響く。
あの化け物が姿を現し、私へ眼光を向け、襲いかかってきた・・・!
「ガアアアアアアア!!」
「きゃあああああーーーーーー!?」
ルナ side
「ピィカーーーーーーーーーー!?」
「ダネ!?」
フシギダネが勢いよく家に突入する。
「・・・フシギダネ!?」
私も家に入る・・・。
・・・・・あ。
「あなたたちは・・・・お留守番・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
私はフシギダネの後を追う。
ピカチュウに何かあったのだろうか?
広間にでた後、通路を見つけ、そこを行くと、突き当たりの前に、ニドキングがいた・・・!
「ダネフシ!」
ニドキングの手にはピカチュウが・・・!
「ガアアア!」
「・・・タネマシンガン!」
「ダネェ!」
フシギダネは種を連射して、ニドキングを攻撃した。
「ガアア!?」
攻撃を受けるニドキング。
ピカチュウを手から放した。
ピカチュウの様子を伺ってみるけど、倒れたまま動かない・・・。
「フシ!」
フシギダネが蔓を伸ばし、ピカチュウを掴んで救出した。
・・・ピカチュウは気絶しているようだった。
「ガア!?・・・ガルル!」
ニドキングが近づいてきた。
「・・・痺れ粉!」
フシギダネが葉っぱの蕾からオレンジの花粉を大量に出した。
「・・・ヘリコプター!」
粉と風のコンビネーション。
痺れ粉が風にのり、拡散する。
「ガアアァァァ・・・・」
ニドキングは麻痺状態になった。
「フシャーー!」
「・・・ピカチュウの・・仇。」
ドカ、バキ、ベキ、バキ・・・・。
ニドキングを倒した。
・・・?・・・広間から物音が・・・?
私達は、広間に行ってみる。
そこには、複雑な機械が置いてあり、2つのバイオカプセルが・・・。
一つは開いていて、もうひとつは閉まっている・・・。
・・・中に、何かがいるようだ。
ガンガンと音が中から響く。
カプセルの窓ガラスから、中の様子を恐る恐る見ようとする。
中を覗きこむと・・・
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
金切り声を上げて、悍(おぞ)ましいゾンビが窓ガラスに張り付いてきた・・・!
「・・・・・。」
「・・(ビクゥ)・・・・!!!?」
フシギダネは驚きのあまり、身を強張らせた。
・・・その人間に酷似したゾンビは、敵意を示すように、カプセルのドアを壊そうとする・・・。
「・・・・・・・・。」
・・・何?この家は・・・?
しばらく佇んでいると、さっきの通路から、やっつけた筈のニドキングが復活して出てきた。
「・・・!?・・・フシギダネ、ツインウィップ!」
フシギダネが2本の蔓でたたきつける。
しかし、攻撃が弾かれてしまう。
「・・・!」
さっきまでこれ程のパワーはなかったのに・・・、自分の身体に何かしたのだろうか?
「ガア!」
ニドキングの吠える!
フシギダネがボールに強制送還された。
「・・・くっ・・!」
・・・ここは危険・・!
私は後退して出口に向かう。
ところが、出口がシェルターで塞がれてしまう。
・・・ニドキングが開閉スイッチを押したようだ。
・・・相手も瀕死の筈。
残り3発・・・。
やられる前に・・・やる・・・!
サングラスをかけ、銃を構える。
「ガア!?ガアアアアアア!?」
ニドキングは銃を見て怯えている・・・。
手をあたふたさせて、無抵抗な事を示している。
「・・・なら、ここから出して・・。」
「グウ・・・!」
ニドキングは頭を掻き、どうするか考え出した・・・。
ドギュン!!
私は威嚇で撃つ。
「ガア!?」
「・・・さっさとする・・。」
銃口を、ニドキングの足元から額へ・・・。相手を睨みつけた・・・。
「ガア!!ガア!ガア!」
・・・?
何を言っているか分からない・・・?
「・・・!・・・ガアア!」
ニドキングは、思いついたように動きだし、近くにあったパソコンのスイッチを入れた。
・・・・・?
ブォォォォォォ・・・
駆動音と共に煙が噴いている。
・・・その先は、・・バイオカプセル!?
・・・まさか、あのゾンビを放つつもり・・・!?
私は、戦力であるフシギダネをだそうとするが、ボールから出てこない・・・!
原因は何・・・!?
ニドキングが使った技・・?
ピカチュウは気絶しているし・・・。
私がやるしかない・・・!
カプセルの蓋が開き、中から何かが、激しい勢いで出てきた。
人間の姿をしているけれど、服はボロボロ。背中を丸めて手をぶら下げて走る格好はゾンビの様・・・!
目は血走り、歯を剥き出しに、金切り声を上げて、私に襲いかかった、
「あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
私はすかさず撃つ・・・!
ドギュン!!
ゾンビは弾き飛ばされ、壁に叩きつけられる・・・。
「ガ・・・!?・・ガア、ガア、ガアアア!」
ニドキングが仲間をあっさりやられて慌てている。
あのゾンビは痙攣しながら気絶している。
「ガア!ガア!」
ニドキングは、ゾンビと自分自身を、交互に指差し、バイオカプセルに指をさす。
・・・・・・・。
何かを伝えようとしているのは解る・・・。
でも、今の私の頭の中は、どうやってここを脱出するか・・・?ニドキングが襲い掛かる前にどう手を打つか・・・?
思考が渦巻き、それどころではない・・・。
ニドキングは、喉を鳴らし、私を見ている。・・・襲ってこない・・・?
突如、ニドキングは閃いたかのようにその場をあとにし、地下通路へ逃げて行った・・・。
ゴーン・・・!ゴーン・・・!
その時、広間の大きな時計が鳴り響く。
まるで、教会の鐘が轟くかのよう・・・。
「・・・・この状況・・。」
@研究施設
A無人の屋敷
B地下室
C教会の鐘
(・・・援軍(ゾンビ)を呼ぶつもり・・?)
私はニドキングの後を追う。
地下室に繋がる階段を下り、狭い通路を抜けると、小さな部屋があった。
・・・見た目倉庫のよう・・。
奥の方にニドキングがいた。
ニドキングの手には、巨大なハンマーが握られていおり、不気味な笑みを浮かべている・・・。
私は咄嗟に銃を構える。
いつでも仕留めれる態勢に移行した。
「ガアアアアアア!」
・・・・・来る・・!!
『ドッキリ!!だいせいこう♪』
・・・・・・・。
ニドキングが持っていたのは、ハンマーではない・・・。
よくみると、大きなプラカード。
そこにはでかでかと、大きな文字で確かにそう書いてあった・・・・。
「ガッハハハハ!」
ニドキングは、穏やかな空気を作りだし、にこやかに笑う。
ドギュン!!
「ガハッ!?」
ニドキングは倒れた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・笑えない・・。」
マサキの家の一階。
私とニドキングは、椅子に座って穏便に話をする。
ニドキングは人間の言葉を話せないが、どういう訳か、ワープロを用いて言葉を伝える事ができた。
「・・・・・・・・・・・まず、ピカチュウはぶじなの・・・?」
「ガァ・・・。」
ニドキングは、私の言葉を理解しているのか、ワープロに自分の言葉を載せる。
【・・・その前にワイを回復してくれへん?・・・今にも倒れそうや。】
私は無造作にスプレータイプの傷薬を、直射するようにかける。
「ガアアアーーー!?」
【しみる!しみるわ!もうええ、カンニンやーーーー!?】
ぜえぜえと、息を切らすニドキング。
【アンタのピカチュウには手ぇだしてへんよ・・・。出会い頭に挨拶かましたら、気絶してもうてん・・・。】
「・・・・・・・・・・・・・・。」
【ほ、ホンマの話や!信じてーな!?】
「・・・・・私達を襲おうとしたのは・・・?」
【せやから誤解なんや、ネーチャン。ワイ、ポケモンの通信預かりシステムを作ってんねんけど、転送の時にな、ポケモン同士を交換するんやのうて、人間とポケモンを転送したら、どないなるか実験してたんや。】
「・・・・・・・・貴方がマサキさん・・?」
【せやせや!やっとわかってもろた!よかったわぁ。】
ニドキングは私の肩をバンバン叩く。
「・・・・・・・・・・・・・女の子篭城して・・・・・・・監禁する気・・?」
【jkあskltjvh#
違うんや!誤解なんや!】
ニドキングは私に頭を下げて謝る。
・・・ツノが床に刺さった。
「ガア!ガアアア!」
ジタバタするニドキング。
私はキーボードをニドキングの前に置いた。
【おおきに。・・・・・出口塞ぐスイッチ押したんは、どうしても君の力借りとうてな。あのまま家に来んようになってみい?ワイは一生この姿のまんまや!】
「・・・・・・・フシギダネで一度気絶させた筈・・・。」
【元気のかけらや。】
「・・・・・・・・・・・その後、急に強くなった気が・・・。」
【技マシンの”守る”や。】
「・・・・・・・・・・・・・あのゾンビを放って、私を襲った・・・。」
【ゾ・・ゾンビってなんやねん!?あれがワイの姿や!
・・ただ、ニドキングの意思や体組織が移ってるから、若干姿変わるし、言葉もよう話さん。
ワイの姿を見せたら、きっと気づいてくれると踏んどってんけど、まさか襲い掛かるなんねな、カンニンや。
・・・・元に戻ろうにも、ワイの今の体じゃ、ワープロは何とか爪で打てても、このちっちゃいプログラムチップをPCに挿さん限りは、元に戻る作業が実行できんのや!】
パソコンの側に、1円玉ぐらいの大きさの、メモリチップが置いてある・・・。
「・・・・・・・・挿すだけ?」
【せや!挿すだけや!今のワイには無理や、全然掴めへん。ツルって滑ってまうねん!】
「・・・・・・・・・・・・。」
パソコンに、転送プログラムを入れてあげ、それを起動し、マサキさんは、無事に元の姿に戻ることができた。
「おおきにな!・・・コレはお礼やで、持っていきぃ。」
マサキさんから、サントアンヌ号のチケットを貰った。
「・・・・・船?」
「船は船でも、豪華客船のクルージングや!!船上パーティーが、今クチバの港でやってるんや。2枚あるさかい、誰かと一緒に行きい。」
・・・海は苦手だけど、美味しい物が食べられるなら・・・いいかも。
私は、マサキの家を後にした。
ピカチュウ side
「フシギダネ〜!恐かったよ〜!」
アタシは、フシギダネにギュッとしがみついている。
ビリリ!
フシギダネは、静電気で麻痺状態になった。
「・・・・・・下りろ。」
「イヤ!まだあの怪獣が来るかもしれないもん!」
「中で何かあったの?ピカチュウ?」
「聞いてディグダ!中にね、物凄い強そうな怪獣がいてからね、ホントに、もう少しで食べられるところだったの・・!」
「ふ〜ん。でもフシギダネが助けてくれたからいーじゃん。」
「うん♪フシギダネありがとう!大好き!」
「・・・・解ったから下りろ。いい加減足が痺れてきた・・・。」
「だめ!まだこうしてるの!」
「ゾンビもいたらしいね。あーあ、僕も行きたかったな〜。」
「・・・・・あんなバイオハザードもうコリゴリだ。
あのゾンビ見てから、気がおかしくなりそうだ。(・・・吠えるを受けてボールに戻された後、直ぐに出ようとしたけど、あのゾンビと闘うとなると、足がすくんで動けなかった・・・。)」
」
「大丈夫?」
「・・・ああ(こんな事じゃ、これから先こいつらを守れねえ。精神的にも強くならねえと・・・!)」
「・・・それに引き換え、ルナは全然平気そうだったね」
「ルナは怖いもの無しだね〜。」
「・・・・・無神経なだけ。」
「・・・・・あれ?ギャラドスは?」
「池で寝てる。」
「寝てばっかだな。あの非常食。」
「何かね、本人が言うにはね、いきなり進化したせいでね、エネルギーが消費しやすいんだって。」
「・・・あ、ルナが出てきたか。行くぞ皆。」
アタシはルナと一緒にいられて、すっごく楽しい。
フシギダネはクールでカッコイイから大好き。あの背中はアタシの特等席。
ディグダも一緒にいると面白いから好き。
ギャラドスのおじちゃんとは、これから仲良くなる予定。
そして、ルナはアタシにとって憧れ。
凛として、綺麗で、強くて、自由で、とても優しい。
アタシと違って、おしゃべりじゃないけど、感情を隠さないところが魅力的。
トキワの森で、フシギダネの甘い香りにつられ、あの2人に出会った。
最初は、本当に恐かったの。
だけど、暖かく迎え入れてくれたお陰で、私はこの場所にいる。
この暖かい繋がりが、アタシは大好き。