ハナダシティ(2)
その日の昼に、見舞いに来てくれた人がいた。
「はぁ、はぁ・・・、マジでケガしてるし!?」
・・・グリーンだった。
「・・・久しぶり。」
「・・・色々言いたい事あるが、事情を説明しろ。」
「・・・・・野生のイワークに鉢合わせて、襲われた。」
・・・ロケット団の事は勿論言わない。
グリーンは優しいから、絶対仇をとるに決まっている。
グリーンには、危ない目に遭って欲しくない・・・・・。
「・・・ふう・・・。でも、無事でなによりだぜ。心配かけやがって。」
「・・・・・うん、ゴメン。」
少し俯いた。
少なからず、あの場面で助からなかったら、グリーンを悲しませていたんだ・・・。
・・・自責が込み上げる。
「おいおい、身体滅入ってんだから、気持ちも滅入ってんじゃねーよ。
・・・ほら、見舞いの品だ。」
グリーンがそれをベッドの横の棚に置く。
「・・・・!!」
私の銃だった・・・!
病院で意識を取り戻した日に、荷物の確認をした。
・・・何度も確認したけれど、銃がなかった。
あの場所に落としたのだろうけど、あの日から7日以上過ぎている・・・。
誰かに拾われたか、既に壊れたか等、覚悟を決めていたのに・・・・・、私の目の前に、愛用の武器が戻ってきていた。
「5日前か?お月見山を抜けた出口の近くで修業してたらよ、ビミョーに解りづらい所に落ちてたからよ、拾っちまったんだ。・・・モンスターボールを入れて撃てば使えるんだな、それ。
ポケモンセンターの電話でいさんから確認したらお前の銃だって聞いたんだ。そしたら噂で、お前が怪我して入院してるって聞いてビックリしたぜ。・・・慌ててとんできたけど。」
ガバッ!・・ギュッ・・!!
・・・私は嬉しくて、思いっきりグリーンに抱きつく。
「うお!!?・・・お、ぉい、いいぃ!!?」
ドギマギ動揺するグリーン。
私は、手を放してグリーンを見つめた。
「・・・グリーンサイコー・・・。」
私は笑顔で応えた。
・・・グリーンは、私と目を合わせると、タコのように顔を赤くした。
・・・顔も硬直してる。
「・・・風邪?」
「・・・え!!あ、ぃや!えと、あぁ、まぁー・・。・・気の・・せいだ。」
グリーンは目を閉じ、髪をかきあげる。
私とグリーンは、しばらく話をした。
「そーそー。俺、ハナダジムで勝ったぜ!今バッジ2個だ。それとな、ここから北にマサキっておっさんがいてな、色々珍しいポケモンみせてもらってな・・・。」
話に花が咲くのは一瞬で、時が経つのが早く、あっというまに夕方だった。
「俺はクチバに行くぜ。早く怪我治せよ。」
「・・・うん。・・・ありがと・・・。」
窓から涼しい夕風が、髪を撫でた・・・。
グリーン side
病室をでて、気分に身をまかせて屋上へ・・・。
「はぁ・・・。」
まさかあんなに喜ぶとは思わなかった・・・。
ルナに抱きつかれてから、ずっと顔が熱い・・。風に当たらねぇとやっていけねぇ。
・・・・・ルナの笑顔、初めてみた。
「アイツ常に無表情だから、やりにくい所もあったけど、・・・あんな顔もできるんだな。」
ルナの純粋な嬉しそうな顔・・・。
思い返す度に、赤面してしまう。
「あああーーー!!可愛い!チクショー!」
俺は夕日に向かって吠えた。
「これもこれも全部、ジジイのせいだあああぁぁーーーーー!!!」
西風がなびき、俺の髪を揺らす・・・。