第十四話 親の心、子知らず
「いやぁ、面白かったね」
ありふれた会話をかわすマイ一行。と、いうのも……
「是非一回、見て欲しかったんだよ。プロのハンドボールの戦いを、さ」
カエデがこの日、自身がファンであるマグマヒート・モンキーズの試合を、マイたちとともに見ていたためである。
「もうボールがびゅうんびゅうん飛び交ってて、息つく暇もなかったよ!本当テンション上がっちゃった」
「……ナッツシュートみたい」
「またわかりにくい例えだなおい」
と、その時だ。
ぐぅ〜〜〜……
「あっ……」
顔を真っ赤にするマイ。
外は日が暮れ、地平線の向こうに夕日が沈もうとしていた。
「そういや、もうこんな時間か……」
「よし、メシにしよう」
まるでどこかのメガネをかけた芸人のようにマイが言うので、
「そうだな。ちょうどオレもおなかが空いたし」
「満場一致!」
「……空腹は制御できない」
4人で夕食をとることにした。
……が。
「申し訳ありませんが、かなりお待ちいただくことになります」
「今から1時間ほどお並びいただきますが、それでもよろしいですか?」
「もうラストオーダーは終わりましたので……」
的な展開が、1時間ほど続いた。
「ど、どうせならさっきのお店に並んでおけばよかったね……」
空腹で倒れそうな4人。
「もう腹ヘリコプター」
「古いよナナちゃん……でもどうしよう……私の家までは遠いし……」
「私も、お父さんに<晩御飯も多分食べてくる>って言っちゃったもんなぁ」
と、その時だ。
「あ、あそこはどう?」
「ん?」
シズルが指差した先には……
「オンボロ」という単語を検索したなら、多分この店の外観が画像で出るだろう。
そんな感じのボロッボロな中華料理店「あまさき」。
「……」
見た目に圧倒される3人。
「なんだか、このお店で食べるのは負けな気がする」
「お、おいおいそんなこと店の前で言うなよ……事実だけど」
「でも、ここは空いてそうですよ?」
入るのをためらう4人。と、そこへ……
「あれ?何してるん?」
「え?」
アキラが通りかかった。
ガラガラガラ……
「へいいらっしゃい!おぉ。浦川さん」
「やってます?」
「あぁもちろん。今が書き入れ時ですよ」
「あとそれと、今日はあと4人おるんですけどね」
会釈する他の4人。
店の中は掃除が行き届いているのか、特に変わりはない普通の店。
……多少、いやかなり狭いが。
「ここうちの行きつけのお店なんよ。あ、この焼肉チャーハンってめっちゃおいしいで?」
「……あ、はい……じゃあ私……それで……」
「じゃあ私も」
「オレもそれでいいです」
「私塩ラーメン」
各々が注文したあと、店長は作り出した。
「焼肉チャーハンと味噌ラーメン、あと……レバニラ炒め」
あいも変わらずアキラは大食いだが。
目の前に焼肉チャーハンが運ばれてきた。
香ばしい焼肉のタレの香りがツンと、鼻を刺す。
「い、いただきます」
マイはおそるおそる、チャーハンを口に運んだ。
続いてなだれるように、ほかの3人もチャーハン(一人別のものだが)を口に運ぶ。
「「「「……!」」」」
ごくん!
「「「「うまい!!」」」」
声高らかに、4人が叫ぶ。
「やろ?んぐんぐ。まひがいらいねん(間違いないねん)」
「焼肉のタレの味とチャーハンの味が絶妙だわ!」
「本当!こんなの食べたことない!」
「今度ダイ……兄さんにも教えよう。これは美味しい」
「……一口、ちょうだい」
ガヤガヤと騒ぎながら食べる4人。
「はっはっは。相当お腹が減っていたんだね。そんなに豪快に食べてくれて嬉しいよ」
「もうめちゃくちゃ!めちゃくちゃ美味しいです!」
「ふふふ、娘を思い出すよ」
店長の言葉に、レンゲを止めるカエデ。
「娘さんが、どうかしたんですか?」
「この焼肉チャーハンも、娘の発案なんだ。彼女、昔から大食いでね。
だがある日、彼女は突然アイドルになりたいだなんて言い出した」
「アイドル?」
アキラが割って入る。
「天崎 理緒(あまさき りお)ちゃん。ですよね?」
「あぁ。今やトップアイドルに上り詰めた自慢の娘……いや、自慢していいのかも分かんない娘だよ」
「どう言う意味……ですか?」
すると店長は、ゆっくりと話しだした。
「アイドルになって、メシが食えるか。お前は俺の店を継ぐんだって、俺はリオに説教した。
本当は俺も、リオがやりたい夢なら追いかければいい。そう思っていたよ。
なのに俺は、素直になれなかった。リオがスカウトされたって聞いたら、俺は激怒して……
<親の言うことを聞けないお前なんざ、俺の娘じゃねぇ!>とまで言ってしまった。
リオは号泣して、<パパなんか大っ嫌い!>って言って、家を出て行っちまったよ。
15歳の頃……リオは夢を叶えて、アイドルになったんだ。出すCDは飛ぶように売れて、今や寝る間もないトップアイドル。
……もう、俺のことなんて忘れてるだろうよ。こんな頑固で、へそ曲がった、親なんてな」
「聞いたことがあります。リオさんの曲」
と、マイが言う。
「……この写真が、リオさん?」
シズルが指さした写真には、三つ編みの黒髪をした女の子が。
「あぁ、そうだよ。母親を幼い頃に亡くして、男手一つで育ててきたんだ。だからこそ、リオの事に素直になれなかったのかもしれない」
「……」
ズルルルルルル!
「!?」
しんみりとした空気を引き裂く、
「ん?」
ナナの麺をすする音。
「ちょっとは我慢してよナナちゃん……」
「ん。努力する」
「まったく……」
と、その時。
「ん?」
カエデは外に、人影を見た。
「カエデちゃん?」
「……」
だが、その人影はあっという間に消えてしまった。
「あ、いや。……何でもない」
「だが、このお店も終わり」
「え?」
店長はこう言った。
「客足が伸びないって理由で、来週のこの日閉店を余儀なくされたんです。
大型企業の買収ですから、少なくとも有効には活用してくれるんじゃないですか?」
「そんなん嫌ですよ!まだダーリンと一緒に食べに来てないのに!閉店やなんて!」
「浦川さん。申し訳ないけど決まっていることなんです」
店長は遠い目をして、
「俺への罰じゃないですか?素直に、娘に対して喜んであげられなかった俺に対する」
と、締めくくった。
「……」
翌日……
「おはよう。ダイにぃ」
この日は日曜日、しかしカエデは朝早くから兄の二階堂 大輔(にかいどう だいすけ)のために朝食を作っていた。
「おう、おはよう。……お?今日の朝はカレーか」
「うん。昨日帰るのが遅くなってごめんね。今日はレトルト」
「いや、構わねぇよ。いただきます」
テレビを点けるカエデ。
「……約1年ぶりの新曲。<ドルフィンシャワーズ>。これからの季節にピッタリの、アップチューンとなっておりますけど、
この曲に対する、意気込みは何かありますか?」
「私はただ、みなさんが聞いて笑顔になれるような……そんな曲を歌うだけですので……」
インタビューの映像が流れている。
「ん?」
その顔は……リオだ。
「お、りおりん新曲出すのか。久しぶりだな」
「りおりん?」
「あぁ、天崎 理緒。まぁお前はエンタメとかに興味ねぇから知らなくても無理はないな。
歌が絶品で、<祝福の歌姫>って異名を持ってんだ。
俺CD持ってるし、後で聞かせてやろうか?」
「……」
カエデは思い出していた。
似ている。昨日見た人影に。
「カエデ?」
「あぁ、ごめんダイにぃ」
いや、もしかしたら気のせいかも知れない。カエデはそれ以上考えるのをやめた。
ダイスケは仕事で、家にいてもすることがないので、適当に町に繰り出す。
そして中華料理店、あまさきの前にやってきた。
ちょうど持ち合わせも持っていたので、昼食はここで取ろうとした。その時だ。
「?」
突然ドアが開いたと思うと、勢いよく閉まった。
見るからに嫌味そうな男が、ふんと鼻息を荒くしてこちらに向かってくる。
「……あぁ、すいません」
カエデはどいたが、男はこちらを睨むかのような視線を送ってきた。
「ちっ。なんだあいつ」
改めて外観を見てみる。確かに発展を続けるこの街の中では若干不釣り合いだ。
だが不釣合な見た目でも、料理は美味しいのだからこんな店を失うのは若干惜しい。
「?」
と、その時背後に気配を感じた。
「……!」
「どうしたんですか?オレの体に何かついてますか?」
「……」
帽子を目深にかぶり、服は地味そうな服を着ているが、
「?」
なんだろう。何かオーラのようなものを感じる。
「あ、あの。こ、このお店に何か用ですか?」
その女の子が話し出す。と、カエデはあることに気づいた。
声が、そっくりだ。
朝、インタビューを受けていたリオに。
「……もしかして、あなたは……」
「え?違います。人違いです。天崎 理緒さんなんかじゃありません」
「……」
「あ」
リオは、墓穴を掘った。
「今や泣く子も黙るスーパーアイドル、天崎 理緒がここで何をしているんです?今日は仕事じゃないんですか?」
「……はい。仕事ではないんですが……」
「ですが?」
「……」
キョロキョロと周囲を見るリオ。
「用がないなら失礼しますよ」
と、カエデはあまさきに向かって歩く。
「あ……!」
「なんですか?」
「い、いえ……」
入口の引き戸に手をかける。
「あ……!」
「……なんですか!?」
なよなよした態度をとるリオに、反射的に声を荒らげる。
「……」
「ん……」
何やら悩んでいる様子である。カエデは話を聞くことにした。
「どうぞ」
近場の公園で、ベンチに座るリオにカエデがコーヒーを渡す。
「ありがとうございます」
ゆっくりと飲んだあと、リオはこう言った。
「あなたは、あのお店の常連の方なんですか?」
「ん……まぁそう言ったところです」
「なら、あのお店が閉店するというのも、ご存知なんですか?」
「えぇ」
浮かない顔をするリオ。
「あのお店、私の父が経営しているお店なんです。私も、アイドルになる少し前までは父を手伝っていました。
だけど、私がアイドルになるって言ったら父は大変激怒して……
今更父は、私を許してはくれないと、そう思っているんです。だけど……
このお店が閉店するという噂を風の噂で聞いたら、いてもたってもいられなくなって……」
「……誰から、それを」
「事務所の社長さんです」
再びうつむく。
「アイドルになりたいって。父と喧嘩してまで掴み取った夢……だけど、私はもうアイドルを続ける自信がないんです。
清楚な、高嶺の花のようなイメージが、事務所の方針で定まってしまって……
共演者の方からは距離を置かれるし、事務所からは私に対する期待がすごくて……
……今思えば、父の言うとおりだったのかも知れません。私、向いてないのかも……」
周りからは距離を置かれているにも関わらず、過度の期待を置かれている。
……リオは、自分に通じるものがあるのかもしれない。カエデはそう思った。
「……」
「今お店に帰るとしても、父は私を許してくれないでしょうし」
「だったら試してみますか?」
カエデは突然、こう切り出した。
「え?」
あまさきにやってきた二人。
「へいいらっしゃい!……て、あれ?君も昨日来ていたよね?」
「?」
君「も」? ……カエデは店内を少しだけ見回すと、
ズルズルズルズル……
塩ラーメンをほおばるナナ。
「お気に入りか」
「カエデも同じでしょ?」
「ん?その子は?」
店長が見つめるのは、伊達メガネをかけ、マスクをつけたリオ。
「お、オレの友達です。よろしくお願いしますね」
「……」
「は、はぁ。ごゆっくり……」
声をかけるとバレる気がしたので、できる限り無言で振舞うよう、カエデは釘を刺していた。
さりげなくナナの隣に座るカエデ。そして自分の右隣にリオを座らせた。
「オレ、焼肉チャーハンでお願いします。この子には……同じやつで」
「はいよ」
手際よく作り始める店長。
「……」
リオは、周りをキョロキョロと見回す。
「(懐かしい……お父さんも……このお店も……ずっと変わってないんだ……)」
目の前に焼肉チャーハンが運ばれてくる。
それを一口食べるリオ。
「……」
「おいしい?」
こくりと頷く。
「あ、喉が痛いから食べにくいんだそうで……だから今日あまり喋れないんです」
「……そうなんだ」
ある程度カエデも食べ進めてから、こう切り出す。
「昨日話した天崎 理緒さんのことなんですけど……」
「ん?」
「あなたはリオさんがもし……もし、傷ついて帰ってきたなら、どうしますか?」
と、踏み込んだ質問をする。
「そうだね……」
「……」
「リオならそんなことない。そう信じてるから、考えたこともなかったよ。だけど……
もし、実際に起こったなら、俺は黙って、リオを慰めると思います」
遠い目をしながら、店長は続ける。
「俺はリオを許さないなんて、一度も言ってませんし、俺の家族ですし、当然ですよ。
まぁでも、リオはそうは思ってないはず。俺の顔なんて、きっと見たくもないと思います」
「……!」
「リオ、かぁ。今どこで何をしてるかなぁ」
今ここで、食事をしている。
「……」
「おっと、湿っぽくしちゃいましたね。ごめんなさい。……さ、どうぞどうぞ」
「……」
リオはずっとレンゲを止めていた。
「お父さん」その声を出そうとするが、あと一歩のところで声を出せない。
「……」
その様子を、カエデはじっと見ていた。
会計を済ませて外に出る二人。
「……いいんですか?」
「え?何を……」
「チャンスは、何回もあったはずです。あなたの思いを、父に話すチャンスは」
「……」
「はっきりと教えてください。あなたはこのお店をどうしたいのですか?」
若干声を荒目にして、リオを問いただすカエデ。
「私、私……は……このお店を、守りたい……だけど……!」
「……だけど?」
リオはついに、こう言った。
「このお店の土地を買収しようとしているのが、私の所属する会社なんです」
「……!」
カエデは少し肩を怒らせる。
「どうしてそういうのを早く言わないんです」
「だって、もうどうしようもないことだって、思っちゃって……」
「……あなたの会社なら、あなたが話し合えばいいじゃないですか。あなたは一番の出世頭なのでしょう?」
「ダメなんです」
落ち込むリオ。
「私は大きな海の中の小さな島。私のようなアイドルがやめたところで、強大な私の事務所の前では私の存在は消し飛びます。
私がやめたなら、あの事務所は私を消すために全力で来るでしょう」
「……」
「私は所詮、操り人形なんです」
「ちっ最低な事務所じゃないですか」
リオは、カエデの顔を見ることなく、ずっと下を向いている。
「……」
するとカエデはこういった。
「あなたは本当はこのお店を守りたい。そうでしょう?」
「……」
「だったら、守ればいいじゃないですか。失うために戦うんじゃなく、取り戻すために戦えばいいでしょう?」
「!?」
ハッとするリオ。
「まあ。決める権利はあなたにありますから、オレはこれ以上何も言いませんけどね」
と言って、カエデはリオに背を向けた。
「あの……!」
「?」
「ありがとう、ございました」
その言葉に、カエデは右手を挙げて応えた。
「いいの?」
「!?」
リオが見えなくなったあと、聞こえてきたのはナナの声。
「……聞いてたのか」
「……今の天崎さんが、自分で結論を出せるような状態じゃないはず」
「だったらどうする?強引に決めていいものなのか?これは彼女の今後の人生を左右しかねない、大切な選択肢。
……彼女しか、答えを出せないよ。オレは、背中を押してあげることしかできない」
物憂げに腕を組むカエデ。と、ここであることに気付く。
「え、というより、お前天崎さんって分かってたのか」
「リ○○ウスで鍛えた観察眼、舐めるなベイビー」
「べ、ベイビー?」
家に帰ったあとも、色々と考えを巡らせるカエデ。
本当に自分に出来ることは何もないのか。そのことばかりを考える。
「なんだ、帰ってたのか」
「あ、ダイにぃ」
そうだ。ダイスケなら何か知っているかもしれない。カエデは話を聞いてみた。
「あった。これだ」
インターネットで、リオの所属する事務所、「レイ・プラネット」を検索したダイスケ。
「レイ・プラネット。カントー地方を拠点に活躍してる超大手の芸能事務所。
今や音楽にこの事務所あり。と言っても過言じゃねぇな。
だが、色々と黒い噂も立ってんな。例えば脱税とか、アイドルに従業員が手を出したりとか。
なんでも今回のセイザ地方進出も、反対の意見を押し切っての進出らしいぜ」
「ふうん……」
「でも、なんで急に。あ、さてはりおりんに興味が湧いたとかか?」
「ん、まあ。そんな感じ」
考え込むカエデ。
「あっ!」
しかし、代表者の写真を見てカエデは声を出す。
あまさきで、すれ違った男だ。
どんなに似ている顔があろうと、あれほど近くで見た顔を見間違えるわけがない。
こいつのせいで、リオはあまりに深い悩みを。
「カエデ」
「ん?」
「お前、変なことに首を突っ込もうとしてないか?」
「そ、そんなことないよ」
目をそらすカエデ。
「……とにかく、悪いけどちょっと忙しい。俺が知ってる情報はここまでだ」
「うん。ありがとう、ダイにぃ」
しかし、これだけの大企業、相手にするにはどうすればよいのだろうか。
カエデは思い悩んだ。目の前にいる困った人を、指をくわえて見つめるだけ。
……それは嫌だ。だが、打つ手がない。
カエデは歯を食いしばった。
「なぁ、カエデ」
「……え?」
「お前、何を考えてる」
「な、何も……」
するとダイスケは、カエデの目をじっと見た。
「怒らない。だから話してくれ」
「……」
ダイスケがじっとこちらの目を見つめてくる時は、逃れることができない。カエデは観念した。
「うん。じゃあ、話すよ」
「お願いします……今からでも……取りやめにしてください……!」
頭を下げるリオ。
「やれやれぇ。君は今頃になってやめろって言うのかね」
「でも、あのお店は私の大切な……大切な両親が、必死に営んでいるんです」
「ダメだよ。既に君のご両親からは了承をもらってるんだ。今更になってやめるなんて、虫が良すぎるんじゃない?」
「……!」
社長はワインを飲み、こう続けた。
「第一、君は僕の人形なんだ。ここまで誰のおかげで来れたと思う?」
「……そ、それは……」
そして社長は、おもむろに立ち上がって、
「君は僕の言うことだけを聞いていればいいんだよ。誰に吹き込まれたかは知らないけど、
飼い犬ごときの君が僕の手をかんだらどうなるか、わかっているよね?」
と、冷酷な声を出す。その威容にリオは、何も返すことができない。
「じゃ、そういうことで、明日の記者会見、ヨロピクぅ」
と、これ以上何も聞かないと言わんばかりに背を向けた。
「……分かりました」
リオは力なく、部屋を出た。
TO BE CONTINUED……