第二話 早い出発
今回は流血表現を含みます。
※今回は用語の説明が文章の一番下にあります。良かったら最後にどうぞ。
では本編へ(今回だけ相当長いです)
前回から二日後
シルド「…これかな?」
そう言って集会所の本棚から本を一冊取り出した。
「―古界書物「黒」―その二」
三日月村
由来:この村では夜になると見える月は全て三日月になる。
…簡単な説明はこれだけ。
後はこの世界における「神官」についての説明だった。
シルド「説明が簡単すぎて…はあ………。」
集会所の中で一人ため息をもらした。
?「珍しいねぇ、シルドが勉強かい?」
僕のため息につられたように一人のポケモンが反応した。
シルド「そ…村長!?いつから…。」
僕が村長と言ったそのポケモンはウィンディ。他の村にも良く知られたポケモンだ。
村長「ごめん、ごめん。気配消して様子見てたもんだから。 それよりいいのかい?」
シルド「?」
村長「シルクちゃん。」
シルド「やっべえ、そうだった…したい話があったけど、また今度で!」
村長「あいよー。」
僕は足早に集合場所である村の出入り口付近へ行った。
シルク「あっ!」
強い日差しが僕目掛けて照りつけてくる。なんか…後悔を感じさせるような…。
シルド「ま、間に合ったぁ〜…。」
シルク「な、なんかごめん…じゃ、じゃあ行こうか。」
シルクはそういって出入り口付近に設置してある「掲示板」から取り出した依頼を見せてきた。
依頼:落としてしまったプラズマベールを見つけて持ってきてほしい
依頼人:ロトム
場所:星雲への坂
お礼:???
シルド「星雲の坂…か今の所変わった事も無いようだし大丈夫だよな?(村の掲示板なのに依頼人が村のポケモンじゃないのは何か引っかかるところがあるが…。)」
シルク「私なら心配いらないからね。いっぱい修行してるんだから!」
シルド「いつになく強気だな、なら大丈夫そうだ。早い内に行こう。」
村を出て星雲の坂に向かった。シルクの言葉とは反面、僕の足取りは重かった。
その頃…
村の北側に進むとあるのは個々の欲望を求めて入って来る者を消すと言われるある森に彼女はいた。
?「ただのおつかいと聞いて来てみれば…、うちはどういう扱い受けたんだが…」
一匹のポケモンは、少し間をおいて独り言を続けた。
?「ここが禁足地の一つだってことを知っておいて…調査させるなんて、ホント勘弁してほしーわ。」
愚痴をたらしながらそのポケモンは姿勢を低くして構えた。
?「ハアアァァッ!!!」
そしてその瞬間…
ズドオォン!!!
森と辺り一面がとてつもない衝撃破で木はただの木片と化し、森の三分の一が吹き飛んだ。
森に住んでいるポケモン達も一瞬の内に吹き飛ばされた。
そこに…
?「こちらーーー、応答願う。ついに奴らが動きだした、行方を追う。」
なにかを調べているポケモンがいた。
?「了解、何か見つけたらまた連絡を頼む。それと戦闘自体は極力避けろ。」
?「了解。」
あるポケモンに連絡を終えて追跡を始めた。
そして数時間が経過。
シルド「………。」
シルク「……迷ったね。」
この二匹はまだ星雲の坂に辿りついていなかった。
………ポタッ…ポタッ…
シルク「…雨?」
シルド「雨の当たらない所を探そう、他は無駄にエネルギーを消耗するだけだ。」
シルク「うん。」
そう言うと雨宿り出来る場所を探した。
そして村では…
グランド「さすがにこの天気じゃ、明日や明後日じゃ帰ってこないな…。」
俺は村の掲示板近くで考え事をしていた。
?「どうしたんだい?そんなに心配してる事なのかい?」
一匹のピカチュウが俺の隣にいた。
グランド「あんた…いつからそこに?」
?「ん?俺?俺はさっきからここで雨を浴びていたけど?」
なんとも不思議なピカチュウだなと思う、いくらこの村が珍しいと言っても訪れるポケモンは全くいないから。
グランド「…目的は何だ?」
そのピカチュウは少し迷ってこう答えた。
?「待ち合わせ…かな?…ま、俺は怪しい者ではないからきにすんな。」
グランド「あんたは面白いポケモンだな…。」
そう言ってグランドはしばらく雨に当たり続けた。
グランド「雨に当たっているのも悪くないか…。」
日は落ちてどんどん暗くなっていった。その頃…
崩壊中の森の中で――
追跡を追跡でやられ返されたか…!
?「はぁ…はぁ…―――だ。応答ねが…ちっ…!」
ヒュンッ! グサッ………バキッバキッ!!
?「くっ!あんな攻撃一発で木が何本も…能力の違いが…ハッキリ分かるぜ…。」
何本もの木が息つく間も無く倒れてくる。これじゃあいつ奴の手中にはまるか…
倒れてくる木という木に着地しては移動の繰り返しで攻撃に転じる様な隙が無い!
逃げながら隙を見つけようとした時、一筋の光が目に入った。
?「あれは…なんだ…!!」
その 一筋の光は俺を追跡し返した奴の目にもハッキリ入っていた。
?「…なんだと…ここまでやるのか?…うちらの…うちらの組織はどうなって…」
奴はその光を見て俺を追い返す動きを止めた。―聞くなら今しかない!―
?「おい、お前!……お前らの組織はどうなっている!この場所…いや、世界をどうするつもりだ…一つ答えてもらおうか!?」
奴は半ば諦め気味に言った。
?「あんたが今諦めて帰ってくれれば今回ばかりは逃がそうかと思ったけど…この事聞くってことは覚悟は出来てるわね………!?」
さっきまでは黒い空だった天気が急変した。北の方向に台風、ここは大雨、東の方向には濃い霧が、そして西の方向には雷が。 …こんなに天気が分かれているのなんて見たことが無い……。 俺の顔を見て奴は言った。
?「うちらの組織は―――を…世……――か……から変……ということ…」
大雨のせいで重要な部分が聞こえなかったが、口の動きを見て俺は察した。
今の世界の状況を知っている者こそ今の言葉ほど驚かされる言葉はない。
俺が奴の言葉を理解したと同時に目を鋭く赤く光らせた。
獲物を……捕らえる目だ…
?「さあ行くよ……!」
さっきより何倍ものスピードで攻めてきた。疲れ果てた俺は体が重く素手で受け止めるしかなかった。
?「……!!」
こんな時に体が動かないなんて…!
もちろん奴が俺がもう動けないことを見逃すはずがなかった。
?「動けないかぁぁっ!?……ならっ…死ねぇぇぇっ!!!」
その一撃は一瞬だった。奴の攻撃は物理より斬撃だったから尚更だ…
俺の胴体を一瞬にして五回も突き刺した。
?「カッ……!グホォ……」
俺の目の前は真っ黒でも真っ白でもなくなった。
?「…………っ…(俺はもう…死ぬんだな…間隔すら……な…)
最後に奴の声が少しした……
?「これも命令か…うちらの組織も180度…いや、全く変わっちゃったなぁ…。」
消えゆく雨の音と同時に俺の意識は完全に途切れた―――
雨が届かないようにトンネルに避難していたシルド達は…――
シルド「…(そろそろ止みそう…かな。)。」
シルク「…スー……ス―ゥ…」
シルド「やっぱり、朝まで休むか。(苦笑」
僕はこの雨が止んだら星雲の坂へ急ごうかと思ったけど今シルクに無理はさせたくなかったのでやめておいた。
そして次の日…
雨は止み、天気は元に戻った。
三日月村では集会所での集まりがあった。そこに村長・ウィンディの姿があった。
村長「今日は急だがこの事について話し合いをしてもらいたい。」
少し焦り気味の村長が取り出した話題は「神官」と「先日の異常気象」だった。
シルク「よぉ〜し準備完了! さあ行こう!」
身支度を整えたシルドとシルクは星雲の坂へと向かった。
シルド「…さすがに今日で到着したいね…。((汗」
何を急いでいるのか今日のシルクは歩くのがやたらと早い。
シルド「………」
僕は探検隊の仕事が何なのかまだ知らない。けど、シルクが言うには「とても名誉な仕事」と大雑把に言って他には何も言ってくれない。僕に知られてマズイ事なんてシルクには無いはずなのに…。
シルク「あっ、森だよシルド君。」
考え事をしていたせいで森に入っていた事に気が付かなかった。
シルド「ああ…ごめん、ごめん。」
この依頼の中で昨日行く時に感じたものを的中しないよう願いながら再び前を向いて歩きだした。
シルド「……(これも…―を取り戻す為のたびにはしたくないしね。)」
入った森はまだまだ続いている。
シルド「ここの森って名前はあるのか?」
思い当たる節が一つあるので聞いてみることにした。
シルク「ここの森?…あった!えっとここは…
三日月村では、少しばかり状況が悪化していた。
村長「グランド!それは本当なのかい!?」
グランド「本当さ!実際に現場を通った、グラビさんと!」
事は4時間前に遡る。まだ二匹は村で雨に当たっていた。
グランド「何か見えたな。」
?「だな。」
グランドとピカチュウは「一筋の光」、を見た。
グランド「比較的近場みたいだな。えっと…ここら辺りで言ったら…」
?「星雲の坂に近い…なんだっけ…森があったはず。」
ハッとした。気付けばそこへシルドとシルクが向かっていることに。
グランド「その森の名は!?何て言うんだ!?」
?「わりぃ、忘れた。」
グランド「はあああ! バカかアンタ!」
そういって俺はピカチュウをこずいた。
?「いたい!いたい!…だから、確認してこようと思う。」
あまりに唐突すぎる回答に俺は驚きながらこづきまくった。
?「いたい!いたい!いたい!…お前もついてくるか?」
涙目になりながら俺に訴えてきた。
グランド「それなら俺も行く。案内頼んでいいか?」
俺がそういうとピカチュウは顔を大きく縦に振り、うなずいた。
?「いいぜ!なら早く来い!」
ピカチュウは村の門へと走りだした。
ピカチュウは走りながらこう言った。
?「俺はグラビディ!呼び名は「グラビ」で構わん!」
グランド「それなら、そう呼ばせてもらおう。」
俺もグラビに続いて走り出した。
村から出て、急いでグラビと現場に向かった。
ザーッ…
絶え間なく降る雨が俺たちの足音をかき消していく…
かろうじて聞こえてくるのは水たまりを踏んでいく音だけ。
グランド「っ……!ここまで…キツイとは思ってなかった……!」
俺は息が切れそうになった。
グラビ「どうした!?ここで休むと帰りがきつくなるぞ?」
グラビが走るペースを少し落としてくれた。
グランド「悪いな…合わせてもらって…」
グラビの背中を見て言った後グラビの右耳近くにくせっ毛が見えた。
グランド「ボソッ…(珍しいなやっぱり)。」
グラビ「?」
そして、グラビが落としたスピードのまま約40分走り続けた。
グラビ「思い出したよ、やっぱりそうだ。」
俺の前で突然グラビが止まった。
グランド「どうし……!!?」
俺は突然の出来事に出す言葉が無かった。
それもそのはずここら一帯全ての木々が黒焦げになりなぎ倒されていた。
グラビ「村に戻ろう。ここにいたら危険だ。」
グラビは離れていた考えが一つにまとまったのか俺に一言かけるとすぐに走り出した。
グランド「くそっ…どうなっていやがる!訳が分からん!」
グラビ「ヤケになるな!落ち着け!それと俺から離れるなよ。」
降り続ける雨の中大声で会話をするのがやっとだった。
グラビ「やっぱりか……くそ…――は倒したはずなのに…!」
グランド「……。」
この状況に一番驚いていたのはグラビだった。グラビは何を思っていたのはわからないが拳を強く握りしめているのは俺からも確認できた。
何も喋らないまま30分。村へ戻ってきた。
村へ戻り、自分の家に着いた早々俺の名前を確認した。
グラビ「グランドというのか。すまないな少し悲惨なものを見せてしまって。」
その言葉に空気をいっぱいに吸いながら答えた。
グランド「…ハァ……ハァ…大丈夫ですよ…俺は後でこの事村長に…言っておきますから…。」
グラビ「…そうか。俺はあの現場を見た以上本職に戻らなきゃな。また今度会おう、じゃあな。」
グラビはそう言ってドアを開けると走って三日月村から出て行った。
グランド「本職…だと」
疲れが一気にたまったのか俺は家の入口で寝てしまった。
二時間後
朝になった。起きた俺は大変な事に気付いた。
グランド「今日…集会じゃねえか!…って村長にあの事言ってねええええ!!!」
眠気なんて関係なく急いで集会所に向かった。
ドオオン!!
集会所の扉を勢いよくブチ開けて…
グランド「村長!!!緊急事態だ!」
村長「なーに息切らしてんのグランドらしくないね。」
――そして今に至る――
村長「でも今他の問題もあるんだよな…これが。」
グランド「他の?(なんだよ珍しい顔して)」
村長「…で、その場所の名前は?」
グランド「―――森」
村長「? なんだって?」
グランド「欲求の…森。」
そして…
シルク「そう。今通っている森がその名の通りよ。」
シルド「…にしてもなんか違くねぇか?」
シルク「どうして?…でもこの道は確かに違うけどね。別ルートだし。」
そう言って今いる現在位置を示した地図を見せてくれた。
シルド「なるほどね…(別ルートだと確認したい事も確かめられないな…)。」
そう思いながら森の木々を見つめていたら……
シルド「?…若干何かが見える。」
おかしなことに気が付いた。
シルク「え〜?な何も変わってることなんて無いと思うよ〜?」
シルクはそう言って僕が見つめている所へ確認しに行った。
シルド「やっぱ、思い過ごしかなぁ?」
そう思って自分の目で確認しに行こうとした。 その瞬間、
シルク「キャアアアァァァ!!!」
甲高い叫び声が聞こえた。僕はいてもたってもいられずシルクの元へ駆けつけた。
シルク「何…これ?…。シルド君…見て。」
シルクに言われた通りにシルクが声で示す方向に目線を向けた。そこは…
シルド「……ッ!…一体どうしたんだ…?」
森の大部分でらしき場所だろう。その大部分がなぎ倒されたり、木の大きな残骸などが散乱ではすまないほど大量の木があふれていた。
シルド「昨日の違和感はそういう事かっ… 。」
自分の勘に命拾いした。あの雨の中この森に入ったら今頃どうなっているか分からなかった。この森はすぐにでも出た方がいい、とすぐ頭の中が整理された。
シルク「…! 急ごう! 森を抜けたら星雲の坂があるはず!」
シルド「…いや、すぐにダンジョンに入らなくても大丈夫だ。あそこの近くには町か、何らかの集落があったはずだが…。」
……――――
グランド「……んで俺はどうしたらいいです?」
集会所で焦りを抑えつつ村長に聞いた。
村長「…そうねまずはラウルとアーニャを連れてきて頂戴。」
何を言うかとあのバカとナルシを連れてきてほしいとのことだった。俺はそれには反対だったのですぐに、
グランド「あいつらを連れてくるよりも俺一匹で連れてきた方が早い!」
反論を繰り出した、一時の迷いもこめて強く言い放った。
村長「でもね、焦りほど一番何が起こるか分からないの。君の行動ほど。それとね、あの二匹といえども準備位しているはず。シルドとシルクを心配する気持ち皆同じさ。」
グランド「っつ…。」
言い争いになりそうだが、今は時間がおしい。すぐにでも強制送還させに二匹の元に行きたかったのでやむを得ず従った。
グランド「っち…!分かったよ連れて来ればいいんだろ?」
村長「そうだね、三匹が集会所に集合でき次第出発させるから。それと、二匹はいつもの所にいるみたいだね。行ってきなよ。」
グランド「余計なお世話だよ全く…。」
そう言って俺は集会所から飛び出た。
続く
掲示板の説明
さて今回は「掲示板」の説明をしますね。
まず掲示板には二つの種類があります。それは、
村の掲示板と、
ギルドに掲示板があります。
ポイント制でランクが変化するのは同じですが、
違いをいうと
報酬だったり、
行ける場所が村の掲示板には偏りがあったり、
とさまざまな違いがあります。
そしてそれぞれのギルドにはそれぞれの功績があり、依頼者も信頼してギルドのチームに依頼を頼めるが、村出身のチームにはなかなか目立った功績などがなく、村出身のチームで大きな功績を残した所も少ない。信頼しきれない部分があるからか、なかなか普通のポケモンに依頼を頼まれない(村の者が村の探検隊に頼むことが多い)。
とまぁこんな感じで、まだ言えない部分もあるのでここまで。