ユウタの異世界放浪記
序章
ゲーム

「うぉー!マジかこれ!」

 裕太は今とても興奮している。それはルビーサファイアのリメイク版が発売されると決まった情報をネットで見たからだ。

 裕太は今は大学二年で、ルビーサファイアはポケモンシリーズとして、初めて小学生の時に購入したゲームだった。

 その時まではポケモンを聞いたことはあった、だがテレビなどでしか知らなかった。それを、サファイア版で初めてプレイしたときの感動は忘れられない思い出だ。

 ポケモンを捕まえて成長させていく課程と、そのポケモンで戦わせることはとても面白いことだった。

 当時はまだGBAで電池を直接入れたり、画面が暗くて夜にプレイ出来なかったことなんかを良く覚えている。いまではとても考えられない。それに、ポケモンを通じて仲良くなったり、険悪になった友達なんかもいた。それもいい思い出だ。

「もう10年以上も前か。あのときの感動は今でも覚えているのだけどな、月日が経つのもはやいな……」

 しみじみと、すごくジジくさい言葉を吐きつつまだ幼い頃の思い出を噛み締めている。

 大学生になってから毎日似たような生活をするなかで、安定しているが面白みのない生活に最近は辟易していた。良くも悪くもない、そんな毎日にゲームはいいスパイスとなる。

 とはいっても昔は遊んでいたポケモンだが、最近はもっぱらスマートフォンでのオンラインゲームばかりしている。

「すごく欲しいなこれ……でもこれだけに本体を買うのも……まようなぁ〜」

 本体とその最新ソフトでは合わせて新品で三万円くらいはする。しがない大学生の裕太には痛い出費だ。

「うーん、でも知ってしまったからにはやりたいよなぁ……そうだな、ここは昔使っていたソフトをやってみようかな?」

 新しいソフトにはとても興味がある。もう10年は前のソフトだから新しい機能は時代の流れで満載だろうし、さぞ面白いだろうとは推測できる。

 ただ、よく考えてみればこのソフトはどちらかと言えば昔同じソフトをしたことのある俺達の世代というよりは、今の小学生たちに向けたソフトといった方がいい。俺はあの時の物凄く心に残ったゲームを追体験して、過去の様々な思い出に浸るだけで満足出来そうだ。

「えっと、確か押し入れの奥にしまっていたはずだよな?」

 俺はごそごそと押し入れから、ガムテープで封をされた小さな段ボールを取り出した。

ベル ( 2014/08/11(月) 02:18 )