嘘心と本心……
夜になってCHEERYたちは、ひっそりと隠れるように過ごしていた。過ごすといっても、夜だからといって気を抜くことは許されない。いつ狙われてもおかしくない命だ。一睡も、うとうととしている間に撃たれ、起きないでそのままお陀仏は流石に勘弁といったところか。
JOKERと別れた後、ラグナルという街に行き、いつものように銃撃をしながら生存者を探すということをした。その街でのは生存者は居なかった。また、銃撃の一つで終わってしまった。そう簡単に見つかるものではない。簡単に見つかったら苦労はしないだろう。
銃を肩に下げながら木に凭れ掛かった。空には、肉眼で見えるばかりの星が少し輝いていた。
「チエラ、上見た?」
「……」
チエラは言われるがまま黙って少し上を向いた。反応はなんともないが、それでも黙って見ているだけだ。
「こんな、星だって少しは見えるのに、こんな世界は汚れきって……。勿体無いよね…。」
星が一秒一秒輝くごとに、虚しさが増す。
「昔だったら……もう少し綺麗に見えたのかな…。」
あの空の星たちが、ただ闇に紛れぬよう、必死にもがき続けている。チエラがそう考えていた。
CHERRYの言っていることは全く持って濁りが無い。
「あの星たちみたいに……私もなれるかな。」
「………」
「…いつもガン握って、血まみれになっている私はなれない、か……。」
そう発した彼女。チエラはそんな言葉に耳をきちんと向けていた。表情には出ないが、体が若干もぞっと反応している。チエラの心の中に届いているのだろうか。
「チエラ、今日逢ったばかりだけど、これも運命ってやつだよね?」
「……!」
「私は……そうじゃなくてもそう信じたいな。」
「……」
チエラはその濁りきった目でCHERRYを見つめた。CHERRYは小さく溜息を吐いた。
「ごめん!なんか、性に合わない話をしちゃったよね。」
急にいつもの雰囲気に戻った彼女。チエラは彼女が無理をしているように見えたのだが、気にしなかった。
「もう、疲れたでしょ?私見てるから、寝な。」
そう言うと、チエラの頭をそっと包み込むように撫でてあげた。
チエラはそんな彼女を信頼したのか、うとうとと揺れ、遂にはゆっくり目を閉じた。あっという間に寝てしまった。
「フッ……無理させたよね。」
そう言い、視線をまた空へと移した。すると、あるものが視界にはいった。光る謎の物体。いまさら、UFOなどと馬鹿馬鹿しいことは考えない。ゆっくりと動いている。
「飛行物体?……久しぶりに見たな。」
CHERRYはあまり興味を持たず、周囲のことに気を配った。それが、なんなのかも知らずに……。
「監視されているのだよ……。」