調達屋の知り合い
街外れに停めてあったバイクに乗って違う街へと移動しようとしたが、その前にCHEERYはとある場所に向かった。ちょうど街と街の中間ぐらいにある、武器の調達屋だった。彼女はさっきの戦闘でかなり弾を消費した。そのため、ここで補充する必要があったのだ。
「ごめんよ、少し寄りたいところがあるから。」
「……フッ(怒)」
「いちいち怒るな…。あと少しで着くよ…。ほら、あそこ。」
チエラは相変わらずの態度だ。彼女の方も少し苛立っている様だ。だが、そこは堪えてスルーする。あっという間に、そこが見えてきた。チエラにも分かるように、ハンドルを握っていない片方の手で指を指す。
一見、あまり目立たないただのぼろぼろの小屋にしか見えない。近くにバイクを停め、チエラを連れて中に入った。チエラは警戒をする。いつもの癖だろうか。
「大丈夫よ、私の知り合いだから。」
チエラの頭を撫でながら言った。すると、今度は誰かの名前を呼んだ。
「JOKER!!いる?銃の弾、もらいに来たんだけど…?」
CHEERYはJOKERという人物に目的があるらしい。
シーン、と静まりかえる。少し経ってから、奥の暗闇のほうから、人影が見えた。ポケモンの影も見える。
「ん……?おっ、CHEERYじゃん!久しぶり、元気にやってた?」
そこに立っていたのは、飛行用のゴーグルを装着した男が現れた。
「まぁね。JOKERも元気そうじゃん?」
JOKERという人物はどうやらこの男らしい。その横にいたのはクールな面をしたムクホークだった。
「チエラ、紹介するね。この人は私の知り合いの調達屋『JOKER』よ。ちゃらいけどね…(黒笑)」
「よ、よけーな事言うなよ!!」
「アハッ☆……それで、そのパートナー『ムゥーク』。かっこいいよね、誰かさんと違って…。」
「俺と比べんなよ!!俺ポケモンじゃねーし!!」
彼女はJOKERでいじる。それを見ていたムゥーク、紹介してもらっていたチエラは呆れた様子で見ていた。
「な、なに……紹介してあげてんのに…。」
CHEERYはそんなふざけた会話を楽しく思っていた。彼女は此処最近、仲間と会話ということをしていなかった。それをチエラはなんとなく察していた。何故か。さっきと微妙にテンションが上がっているからだ。久しぶりの仲間の再会からだろうか。なんだか、変にイラつきを覚えた。
「(ブー)///」
「あー、もしかして…、仲良くしてるから嫉妬してんの?(ニヤニヤ)」
「……(フルフル)…///」
「って、いいながら、顔赤くしてるよ?……フッ。初めて素直に出したね。」
「……!!?」
チエラはそっぽを向いた。CHEERYが呼びかけてもこちらを見ない。
「あ〜…もうダメだな。」
彼女は溜息を吐いて、JOKERの方へ向きなおした。急に真面目な顔つきになった。ここから本題に入るようだ。
「それで……武器足りないから、またくれる?最近、また過激になってきてさ…。」
「あぁ、持ってけるだけいいぜ。」
瓦礫を踏みながら、奥の方へと入っていく。
奥にあるのは…多大な量の銃や銃弾だ。約360℃に置いてあるが、全てJOKERが揃えたものだ。
「さすが、JOKERよね。揃えがいいわね。」
「密輸してるんだな。ここまで。ルートは教えらんねぇけどよ。」
「フッ……。さて……。」
必要な物を選んでいく。といっても、いつも同じ物を選んでいく。
その頃、チエラとムゥークは……。
「……」
「……」
お互いに睨みあっていた。度胸の試しあいというか……。さっきあったばかりなのに、何故このようなことになったのは分からないが……。
「シッー――!!!」
「ッ!!!!」
ポケモンの付き合いはいつもこうなのか……。暗殺者の対峙の時とは、また別に見える。
そこに、CHEERYとJOKERが戻ってきた。
「な、なにしてんの……。」
「け、喧嘩っスか……(汗)ポケモンの世界も戦いだねぇ……。」
二人が来ても全く気が付かず、ただ睨みあっていた。
「っ……!!」
CHEERYはある事を思い出した。チエラの耳に刻まれてた謎の紋章のことを。JOKERに聞いてみることにした。
「JOKER、聞きたいことがあるんだけど……。」
「ん?何?」
「蛇が真ん中にいて、背景に二本の旗が交わっている紋章、知らない?」
「背景に二本の旗……。なんかの組織?」
「分からない……。チエラの耳に刻まれてたから…。」
すると、JOKERが何かに引っかかったようだ。
「『SNAKE EVIL』……。」
「えっ……?」
JOKERはそう呟いた。『邪悪な蛇』という意味の謎の名……。それは何なのか…。
チエラが少しこちらを見ていたのを二人は気付いただろうか……。