02
ガガガガッという雑音とトラックが止まった振動でレンは目を覚ました。
狭いトラックの荷台。
隙間から日の光が差し込んでいるのを見てから
自分に寄り添って寝ているななせを見た。
そしてレンは気づいた。
「どこだ、ここ・・・!」
レンは辺りを見回したが回りには荷物しかなかった。
レンは状況を掴めないでいた。
外の様子を見ようとしても
とても身動きとれるような状態ではなかったため
それどころではなかった。
「・・・こんな状況でよく寝れるよな・・・」
レンは自分にもたれかかって眠っているななせを見て呆れた。
レンはトラックの隙間から入ってくる風の臭いを嗅いでみると、
わずかだがゴミのような異臭がした。
「何だ・・・この臭い・・・」
嫌な予感と自分は一体どこに向かっているのかという不安が
レンを襲った。
風が入ってきている隙間から外の様子を見てみたいが、
狭い上にななせが寄り添っているため
全く身動きが取れないでいた。
レンは舌打ちすると、ななせの頬を軽く叩いた。
「おい、いい加減起きろ」
しかし、ななせは起きる気配がなかった。
「おいおい、どんだけ爆睡してんだよ・・・」
レンはななせを起こさないようにゆっくり離れると
風が入ってきてる隙間から外の様子を見て絶句した。
「な・・・なんだよ・・・ここ・・・」
レンとななせはクラウンシティではなく、
ゴミに埋め尽くされた場所に来ていた。
「一体誰が・・・!」
レンはトラックの荷台から降りて
運転席の方に向かったが誰も乗っていなかった。
「クソッ!」
レンは拳でトラックのドアを叩いて
深呼吸してからゆっくり辺りを見回した。
180度見渡しても視界には粗大ゴミしかなかった。
「・・・こんなとこに人なんて住んでんのかよ・・・」
レンは荷台の方に足を運びながら呟いた。
荷台の中でななせはまだ寝ていた。
「おい、起きろ!」
レンは今度は少し強くななせの頬を叩いたが
ななせは起きなかった。
「死んでねぇよな?」
レンはななせの頬をつまんでみたが、
ななせはすやすやと寝息をたてていた。
「・・・ったく、世話がやける」
レンは近くにあった布を取って、
ななせを担いでトラックの荷台から降りた。
レンはななせをおぶって、
布でななせを自分の体に縛りつけた。
最後にななせのバッグを持ってレンはもう一度辺りを見回した。
周りにはゴミしかなく、人の気配は全然しない。
レンは背中で寝息を立てているななせをチラッと見た。
「なんで起きねぇんだよ・・・」
狸寝入りしてるんじゃないかと思ってきたレンは
ななせに頭突きしようとしたが止めて
歩き出した。
「とりあえず・・・起きたら頭突きするか」
歩き始めて約1時間。
照りつける太陽に
まるで砂漠のような気温にゴミの異臭。
レンはななせをおぶってひたすらゴミだらけの道を進んた。
止まらない汗に乾いてくる喉。
「・・・あっちぃ・・・」
さっきからこの言葉しか出なかった。
自然と歩くスピードも落ちてくる。
ななせをおぶっているため両手は塞がり
汗を拭う事が出来ない。
喉の渇きが限界に感じたレンは
適当に粗大ゴミを拾って日陰を作り、
日陰の下にななせを寝かせて
レンも腰を下ろした。
水の流れる音は一切聞こえないゴミで囲まれた世界。
「・・・誰かいないのかよ・・・」
鳥の鳴き声、風の音さえ聞こえない。
レンはその場に倒れこんだ。
隣ではななせが起きる気配もなく
すやすやと寝ていた。
「水・・・」
レンはそう小さく呟くと
暑さと疲労で気を失った。