Chapter 5  クリミアの人魚 ジムリーダー シャーリィ
01
クリミアジムと書かれた
大きな屋内プール施設の建物の前で
ななせは建物を見上げて
「おぉー。」と感心していた。


そんな ななせの隣で
レンは呆れた表情で建物を見上げて言った。


「だだっ広い屋内プールのある
 ただの施設じゃねぇか・・・

 そんな感心するようなもんでもねぇだろ。」


「そんな事ないよ!!」


ななせはバッグの中を漁りながら言った。


「私、今まで故郷出た事ないから
 全てが新鮮なの・・・!

 ・・・えっ!?
 カメラ忘れたかも!!」


レンは隣でカメラを持って来るのを忘れて
落ち込みだしたななせを見た。


「・・・なんか、笑ったり泣いたり
 落ち込んだり驚いたりで忙しいな・・・お前は。」


ため息まじりにそう言うと
レンはななせを置いて先に建物の中に入った。


「あっ! 待ってよ!」


ななせは慌てて地面に広げていた
荷物をバッグにしまって立ち上がると
バッグから小さな手帳が地面に落ちた。


ななせは手帳が落ちた事に
気づかず走ってレンの後を追いかけるように
建物の中に入った。


ななせが建物の中に入り、
建物の自動ドアが閉まったと同時に
誰かがななせの手帳を拾った。


黒くて長い髪をした
暗い雰囲気の青年が
ルビーのような真っ赤な瞳で
ななせの落としていった手帳を見た。


「・・・。」


青年は自動ドアをチラリと見ると
手帳を持って建物を通り過ぎた。


ジムの中に入ったななせは
とても大きな屋内プールに感心していた。


大人や子供、老人など色々な人々が
プールを泳いでいた。


「ジムリーダーってどこにいるのかな?」


ななせはプールの水を眺めている
レンに話しかけた。


「オレに聞くな。」


ななせとレンは驚いて
笛の音がした方を見た。


すると、18歳ぐらいの
競泳水着を着た女の子が2人に近寄ってきた。


女の子は長い金髪にふわっとした髪をしていて
茶色の瞳でななせとレンを見た。


「プールに入るなら、
 まず水着に着替えてシャワー浴びてからですよ。」


レンは素っ気ない返事をして
プールの水に触れようと
プール中から笛の音が鳴り響いた。
可愛い容姿とは裏腹に
真顔で丁寧な口調というクールな性格をしていた。


「あ、私達・・・」


ななせが「ジム戦を受けに来ただけなんです」と
言おうとしたのを、レンは止めた。


「わりわり、オレ達プール初めてで
 マナーとか知らないから色々教えてくれよ。

 あと、水着貸しくれ。」


レンは女の子を見て話すと
女の子は軽いため息をついて
顔色一つ変えずに淡々と話した。


「いいでしょう。

 水着はレンタルなんでお金が
 かかりますが、それでも構いませんか?」


レンはななせのバッグから
財布を取って女の子に渡した。


「金ならある。」


「それは私のお金!!」


財布を取られてふつふつと怒りが込み上がってきた
ななせはレンの腰に思いっきり頭突きをした。


「がっ!!!」


ななせの頭突きで、前に押し出されたレンは
足を滑らせプールに落ちてしまった。


「・・・プールに入る前に水着に着替えて
 シャワー浴びてください・・・」


そう言って笛を鳴らした
女の子の瞳は死んだ魚のような目をしていた。

レンとななせはこの後
女の子に謝罪をして2人でプール掃除をした。


水野 翡翠 ( 2014/05/07(水) 17:14 )