Chapter 4  特訓
05


太陽達と別れて、
ななせとレンはクリミアシティの宿に泊まった。


消灯して5分が経つが、
ななせは太陽とのバトルが忘れられなかった。


ベッドで寝ている
ななせはずっと天上を眺めていた。


「・・・あのよ。」


ソファーでななせに背を向けて寝ているレンが
口を開いた。


「起きてたんだ。」


ななせはレンを見て言うと、
レンは体制を仰向けにして
「まぁな。」と答えた。


「お前がオレを仲間にしようと
 誘ってた時に言った台詞覚えてるか・・・?」


「・・・?」


ななせは考えたが思いつかなかった。


「何か癇に障るような事、
 私言った・・・?」


「あぁ、言ったな。」


レンが即答で返してきたため、
ななせは焦ってもう一度考えたが
何て言ったかすらも思い出せなかった。


「私の台詞のどこが癇に障った?!」


ななせは勢いよく起き上がって
目をつぶってソファーで仰向けで寝ている
レンを見て言った。


「『私何でもする。
 8つのジムに勝てって言うなら勝つし、
 サリバンをこてんぱんにしろって言うならするよ』」


レンはそういうと目を開けて
目線をななせに向けた。


「おかしな部分ある・・・?」


ななせは何度もその台詞を
脳内で繰り返した。


レンは深いため息をついて
また目を閉じた。


「お前は何で『サリバン』が悪いって事を
 知っているんだ?」


気づいたななせは
驚いて声が出そうになったが手で口を覆った。


レンはポケットから1枚のチラシを
取り出して、ななせに向かって投げた。


ななせはチラシを受け取って読んだ。


チラシにはこう書かれてあった。



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チラシには写真や可愛らしい絵などの
装飾などが施されており、
怪しさなんてこれっぽっちも感じなかった。


ななせは目線をレンに向けると
レンは体を仰向けからななせに背を向けた
体制に変えた。


「これがサリバンのチラシだ。

 どう感じた?」


「・・・良いと思う。」


ななせは正直に感想を述べた。


レンはななせに背を向けながら話した。


「どこでサリバンの悪い評判を聞いたのか
 知らねぇが、お前の気にする事じゃねえし、

 たとえ、サリバンを倒すって思ったとしても、
 今のお前じゃ絶対に勝てない。」


馬鹿にされた気がして
ななせはカチンときたが、
レンに「もう寝ろ。」と言われ
ななせはベッドに寝転がった。


そして、目を瞑り眠りについた。




その晩、ななせは妙な夢を見た。


視界がぼやけてよく見えないが、
寝ているななせの傍で
黒くて長い髪の誰かが
すすり泣いているのが分かった。


ななせは泣いている人の顔が
認識出来ず、誰だか
分からなかった。


「泣かないで。」


ななせはその人の頬に右手を添えると
その人はななせの顔に涙を
ポタポタと落としながら小さくうなづいて
ななせの右手を握った。


「・・・君は・・・が守ってみせるから・・・」


「え・・・?」


その人の声は小さすぎてよく聞こえなかったが
どこかなつかしい声だった。


「あなたは誰?」


ななせがその人に質問したと同時に
ななせは夢から覚めた。


「よぅ。」


視界には、夢で泣いていた人がいた場所に
レンが頬杖をついてななせを見ていた。


「随分うなされてたけど
 大丈夫か?」


レンは頬杖をつくのをやめて
ソファーに座った。


ななせはベッドから起き上がって
右手を見た。


「変な夢を見たの・・・」


レンはウォータークーラーから
紙コップに水を注ぎながら
「あっそ」と素っ気ない返事をした。


ななせは夢に出てきた人が誰なのか、
知り合いの顔を全員思い出してみたが
誰にも当てはまらなかった。


ななせの知り合いで
黒くて長い髪をした人は1人もいないのだ。


「一体誰なんだろう・・・」


ななせが夢の中であの人に触れられた右手を
ボーっと見つめていると、
レンが新品の紙コップを
ななせの頭に乗せて言った。


「いい加減起きろ。」


「起きてるよ!!」


ななせは頭に乗ってある紙コップを
取って、レンの顔に向けて投げた。


レンは紙コップを顔面に直撃する前に
掴むと、そのままゴミ箱に投げ捨て言った。


「今日はジムに挑戦するぞ。」


「え?・・・あっ!!」


ななせはベッドから降りると
脱ぎ散らかしていた自分の服を踏んで
滑ってしりもちをついた。


「女子なんだし、自分の服の管理ぐらいしとけよ。」


レンは呆れてため息つきながら
一足先に部屋から出た。


「・・・はい。」


ななせはしりもちついた部分を
さすりながら、脱ぎ散らかした服を
拾い集めた。




水野 翡翠 ( 2014/05/05(月) 16:58 )