Chapter 4  特訓
04
太陽は膝の上で目を閉じて寝ている
リオンの頭を撫でながら、
ななせに話した。


「ななせは何でトレーナーになったんだ?」


その言葉を聞いたななせは
うつむいて話し出した。


「信じてもらえないかもしれないけど・・・
 私、5年間の記憶が無いの・・・」


太陽は驚く表情を見せず、
ななせの話を黙って聞いた。


「チャンピオンになって、5年間の記憶を
 取り戻すために最初はトレーナーに
 なったけど・・・

 今は、レン君と頂点(てっぺん)目指すって
 約束したんだ。」


ななせが太陽を見て微笑むと、
太陽は暗くなってきた空を見上げた。


「いいな、何か目標があるってよ。

 オレはリオンが異能者として生きるのが
 幸せかもしれないって考えて
 これといった目標もなく、故郷を出たから
 そういう夢がある奴って憧れるよ。」


太陽はニカッと笑って指をパチンと鳴らすと、
リオンは目を覚まして体を起こした。


「指を鳴らすのに何か意味があるの?」


ななせは立ち上がる太陽を見ながら
レンの肩を軽く叩いた。


寝ていたレンは目を覚まして
体を起こした。


「オレとリオンだけにしか伝わらない
 合図みたいなもんさ。

 お互い言葉を通じないけど、
 心まで通じない事はないからな!

 2ヶ月かけて考えた!」


そういうと太陽を大きく伸びをした。


「ななせはチャンピオン目指すって事は、
 ジムに挑戦するって事だよな?」


太陽は伸ばしていた両手を下ろしながら
ななせを見て言った。


「そのつもりだけど・・・」


ななせはきょとんとして答えると、
太陽は隣にいるリオンと目が合うと、
ニカッと笑った。


「じゃあオレ達もジムに挑戦するか!
 な、リオン!」


リオンは尻尾を軽く振って太陽を見上げた。


「ななせ!

 オレとお前はこれからは“ライバル”だ。」


太陽は、ななせを真っ直ぐ見て
左手を差し出した。


「・・・ライバル・・・」


ななせは太陽の左手を見ながら
新しい友達が出来た事、
『ライバル』と言ってくれた事の嬉しさが
込み上がってくるのが分かった。


太陽の左手を眺めているななせの背中を
レンは軽く叩いた。


ななせは驚いてレンを見ると、
レンはななせを見てフッと笑った。


ななせはもう一度太陽を見て、
太陽の左手を握り、笑顔で言った。


「うん!

 よろしく、太陽くん・・・!」


ななせと太陽が握手したと同時に
眩しいくらいの原素が星空に舞い上がった。




■筆者メッセージ
「NANASE」には出してないライバルの太陽くんを出しました
水野 翡翠 ( 2014/05/03(土) 12:15 )