03
「な・・・何のつもりだよ・・・」
驚いたレンはななせを見上げた。
「本当・・・私、何してんだろ・・・」
ななせは振り向いてレンを見た。
「震えが止まらなくて・・・
怖くて逃げたいのに・・・
あなたを助けなきゃって思ったら・・・
体が勝手に動いたの・・・」
ななせがアハハと苦笑いとすると、
レンは一度俯いてすぐに顔を上げ、
フッと笑った。
「とんだお人好しバカだな、お前。」
そう言ってレンはゆっくりと立ち上がった。
「なっ! お人好しバカって・・・!」
かちんときたななせを無視して
レンはななせの横に立った。
「オイ、バトル経験あるか?」
「えっと・・・ない・・・」
レンは1度深いため息をついて口を開いた。
「じゃあ説明してやるから・・・」
「私が説明して差し上げましょう。」
レンの説明を遮るように
ななせ達の反対側に立っている
グリードがにこやかな笑顔で説明し始めた。
「バトルとは、異能者を連れたトレーナー2人が
自分の手持ち最大6人を使って、
どちらかのトレーナーの手持ち全員が
戦闘不能になるまで戦わす事です。
ちなみに、ダブルバトルの場合だと
またルールが違ってくるんですけどね。
分かりましたか?」
すると、グリードは持っていたティーカップを
1人の大男に預けて、
少し目を開いてななせを見た。
「まさか・・・この私とバトルをするつもりですか・・・?」
グリードの表情には笑顔は消えていて、
殺気が放たれていた。
ななせはレンを庇って声を張り上げた。
「これ以上、異能者をそのダークボールで
捕まえるっていうなら私がここで止めてみせる・・・!」
そう言うとななせはレンの肩を掴んで、
「ねっ?!」
と 自信満々の表情でレンと顔を見合わせた。
だが、レンの顔は呆れた表情でななせを見ていた。
「お前、バカ?」
「へ?」
予想外な返事が返ってきてななせは唖然とした。
「あいつはマダム・サリバンの幹部だぞ?!
その辺にいるトレーナーとは違うんだぞ・・・!
それにオレは今大怪我負ってんのっ!
見て分かんね?!」
ななせに向かって怒鳴り散らすレンを見て
グリードは笑顔で見ていた。
「そこの金髪の君、随分と私の事を
ご存知ですねぇ・・・」
グリードは不気味に笑うと帽子を少し深くかぶった。
レンはグリードを横目で睨んで鼻で笑った。
「ハッ! お前を知らない異能者は
この地方には存在しねぇと思うぜ?」
グリードはにこやかな笑顔でレンを見た。
「これは失礼。 私ってそんなに有名人だったんですね〜。」
そしてグリードはクスッと笑って、帽子で目を隠した。
「どうやら私は君をサリバン様の所へ
連れて行かなくてはならないようだ・・・」
そう呟くと、グリードはステッキで地面を2回叩いた。
すると、ティーカップを持っていない方の大男が
グリードを庇うように前に出た。
状況を把握出来てないななせは
何をどうしたらいいのか分からず
あたふたしていると、
「来る・・・!」
レンの声が聞こえ、
自分の隣で何かが通り過ぎたのが分かった。
通り過ぎた方を見ると、
レンが大男に押し潰されそうになっていた。
「と、頭領さん・・・!」
「ぐ・・・・ぐぐ・・・!」
レンは必死に押し潰そうと覆う大男の腕を
持ち上げて耐えていた。
グリードがななせにゆっくり近づき、
帽子を少し持ち上げ目を少し開いて
ななせを見下した。
「死ぬ気でお手合わせ願いますね・・・?」
ななせは悔しそうな表情で
グリードを見た。