01
小鳥と別れたななせは、
次の街 クリミアシティに向かって歩いていた。
小鳥に言われた不良の団体のアジトには
あまり関わりたくなくて素通りしてしまった。
「クリミアシティにはジムがあるけど・・・
私にはまだ仲間の異能者を連れてないから・・・」
深いため息をついて歩きながら見ていた
地図をななせはバッグにしまった。
「関係の無い街かもしれない・・・」
うつむいてため息を何度もつきながら歩いていると
何かにぶつかった。
「あ、すいません・・・」
見上げると大きな体格にとても不機嫌そうな表情で
ななせを見下げる男が2人立っていた。
「痛ってぇなぁ・・・お嬢ちゃん・・・」
口調や見た目からして2人組みの男は不良だった。
「あ・・・あの・・・ごめんなさい・・・」
ななせは足がすくんでその場を動けなかった。
ななせが怯えているのに気づいた1人の不良が、
笑顔でななせに近づいた。
「ちょうどいい所にいたなぁ、お嬢ちゃん。
見たところ・・・トレーナーか何かかな?」
ななせはバッグを抱え、少し退いた。
「あの、私・・・次の街に行きたいだけなんです・・・」
ななせは勇気を振り絞って小さな声で言った。
2人組みの男はお互いの顔を見合して、
ニヤリと笑った。
「じゃあ、オレ達を倒すんだな?」
「は??」
ななせは驚いて男の顔を見上げると、
2人組みの男達の背後にドカンっと雷が落ちた。
ななせは短い悲鳴を上げて、その場にしゃがみ込んだ。
「な・・・何・・・?!」
恐る恐る雷が落ちた方を見ると、
金髪にオールバックの髪型をした青年が
しかめっ面をしながらななせを見下していた。
青年は噛んでるガムを膨らしながら
ななせに近づいた。
「・・・お前、次の街に行くのか・・・?」
2人組みの男は青年に向かって深く頭を下げて、
声を張り上げて言った。
「頭領! こいつトレーナーです!」
「見りゃ分かる。」
青年の機嫌はさらに悪くなり、地面にガムを吐き捨てた。
「アナザー地方最強の不良軍団、
イカヅチの頭領 レンだ。
次の街に行きたきゃオレ達を倒せ。」
ななせは生唾をゴクリと飲み込み、
自分より頭3つ分身長の高いレンを見上げた。
「あ、私はあなたと戦う義理はありません・・・!」
ななせを見下しながら、レンは眉を寄せた。
「オレがお前をテストしてやるってんだよ・・・」
レンの体に電気がパリッとはしった。
ふつふつと怒りが込み上がっているのが分かった。
「じ、じゃあ・・・っ!」
ななせはレンに顔に人差し指を指差した。
「私が・・・その理不尽なルールを
取り消してみせる・・・っ!」
やる気に満ちた目をしたななせを見たレンはフッと鼻で笑った。
「・・・いいだろう、オレは今むしゃくしゃしてんだ。
全力でかかって来い。」