Chapter 11  花の香りに包まれて
01
森を抜けるとそこはガーベラの花畑。
緑、赤、ピンク、白、黄、オレンジの順でガーベラが色ごとに分けられていて、
まるで虹色の絨毯のようだった。
花畑の奥に小さな町があった。そしてさらに奥の方にジムのマークが見えた。

「すっげー!これ全部花か?!」

目を輝かせてゴウキは1人で花畑の中心に向かって走り出した。
ムクも花畑を見て感嘆の溜息を洩らした。
レンは特にリアクションはしておらず、はしゃぐゴウキを見て呆れていた。
ななせも感動して全体を見まわした。

「綺麗…」

はしゃぎたい気持ちもあるが、今はルカの容態も心配なので
ななせ達は町の中心にあるセンターに向かった。

センターでルカを預け終えると、ななせ達は町の散策を始めた。
ジムへ挑むのと、手紙を届けるのは翌日にする事にした。
2組に分かれる事にして、ゴウキとムクは先に町を見て後から花畑へ。
ななせとレンは先に花畑へ行くことに。
はしゃぐゴウキを弟を見るような目でムクは追いかけて行った。
ゴウキとムクを見送ってからななせは目を輝かせてレンに言った。

「ねえねえ!花畑で寝ころんでみようよ!」

「1人で寝てろ」

今すぐ行きたいのかうずうずしているななせにレンは即答で答え
2人は花畑へ向かった。

白のガーベラの花畑にやってきて、ななせはそこで寝転がろうとしたが
もう少し先に進んだところに赤いガーベラが咲いている場所があった。
白のガーベラは黄とピンクの間に咲いている。
赤のガーベラはピンクと緑の間にある。
なぜここにだけ赤のガーベラが…?
奇妙に感じてななせは胸騒ぎがした。
辺りが白のガーベラなだけにそこだけ一際目立った。

「なんかあそこだけ赤い花咲いてるな」

レンも気づいたのか、ななせとレンは赤いガーベラが咲いている場所へと向かった。
赤いガーベラが咲いている場所に見たことがある人物が
うつ伏せになって倒れていた。
白い髪、風になびく2本のアホ毛、汚い茶色のマント。
クリミアシティで別れたボルサリーノだった。

「ボンちゃん!?」

「なんでコイツが…」

二人の声でボルサリーノは目を開いてルビー色の瞳で
身体は起こさずに2人を見上げた。

「あぁ…もう、お昼ご飯かな…?」

寝ぼけているのか目をショボショボさせていた。
ななせは時計を見て答えた。

「どちらかというとおやつの時間かな…」

「じゃあまだ寝れるね…」

「いや寝るならベッドで寝ろ!」

二度寝しようとするボルサリーノにレンは怒鳴ると、
迷惑そうに眉間にしわを寄せてボルサリーノはレンを睨んだ。

「ここは毎週通っているくらい好きな場所なんだよ。
 そっとしておいてほしいな…」

そう言うとボルサリーノはふてぶてしく二度寝を始めた。
レンは舌打ちをして町の方へと向かった。

「帰るぞ!」

「あー、もう!!」

ななせの怒る声なんて気にも留めないで町へ向かうレンの背中を見て
ななせはため息をついた。
一生仲良くなりそうに無いこの雰囲気。
ななせはどうすれば仲良くしてくれるか考えようとしたが、
レンからどんどん距離が離れていくのを思い出して慌てて追いかけようとした。

「ボンちゃん、またね」

眠っているボルサリーノに笑いかけると、
ななせはレンの背中を追いかけるように走り去っていった。

「…うん、またね…」

かすれた声で呟くボルサリーノの声はななせには届かず、
ボルサリーノは目をゆっくりと開いて自分の左手の平に目をやった。
手の平には、赤のガーベラと同じ色をした赤い汁のようなものがついていた痕があった。

「…早く治さないと…早く…」

そう呟くとボルサリーノはまた目を閉じて眠りについた。

水野 翡翠 ( 2019/10/04(金) 21:08 )