大長編ポケットモンスター「逆転編」

小説トップ
大長編ポケットモンスター「逆転編」
第80話「ポケモンリーグ6回戦第1試合前編」

「ポケモンリーグは6回戦まで進みました。今日は12日目。トレーナー達は次々と姿を消し、残るはたったの8人です。今大会は大番狂わせや予想外の選手の活躍が目立ち、大変盛り上がっています。さあ、そろそろ試合が始まります。世間的には準々決勝、ポケモンリーグ的には6回戦、選手入場!」

「さて、今日も戦いぬくぞ」

 ダルマは今日もスタジアムに乗り込んだ。日に日に大きくなる歓声とカメラのフラッシュにも、もはや物怖じする気配は微塵も感じられない。

「ようやく会えましたね、ダルマ様」

「ユミじゃないか! まさかここまで勝ち残るなんてびっくりだよ」

 ダルマは対戦相手を見て思わず興奮したようである。無理もない、彼に立ちはだかるのはずっと旅をしてきたユミなのだから。彼女は穏やかな口調で受け答えした。

「ふふ、私はダルマ様のライバルですからね。そう簡単に負けてしまっては、ダルマ様に顔向けできません」

「……今も顔を背けているみたいだけど?」

 ダルマはさりげなく指摘した。彼の言う通り、ユミは少し目線がふらついている。彼女は一瞬飛び上がったものの、何事もなかったかのように流した。

「そ、そんなことありません。それより早く試合を始めましょう」

「……まあ良いか。審判さん、お願いします」

 腑に落ちない表情ながら、ダルマはボールを手に取った。その動きを確認した審判はいつものように試合開始を告げる。

「これより、ポケモンリーグ本選6回戦第1試合を始めます。対戦者はダルマ、ユミ。使用ポケモンは最大6匹。以上、始め!」

「ゆけ、キマワリ!」

「いきますよ、ガブリアス!」

 ダルマとユミ、ライバルの2人による対決が幕を開けた。ダルマはキマワリ、ユミは黒ずんだ青色のポケモンが先発である。その色に、観客席から驚嘆の声が漏れた。

「ダルマ選手はキマワリ、ユミ選手はガブリアスで始まりました6回戦第1試合。ガブリアスとはまた強力なポケモンですね、しかも色違いだ!」

「ガブリアスって、もしかしてフカマルのか」

 ダルマは図鑑を開いた。ガブリアスはガバイトの進化形で、現在最も強いポケモンの1匹である。高い素早さ、攻撃、耐久を兼ね備え、技も強力なものばかり。真正面はもちろん、交代からでも軽く2、3匹は倒してしまう。倒すなら早いにこしたことはない。

「なるほど、ドラゴンタイプだけど草タイプは効くのか。よし、まずはリーフストームだ!」

「ガブリアス、つるぎのまいです!」

先手はガブリアスだ。ガブリアスは悠々と戦いの舞いを披露した。一方キマワリは、懐から若草色の石を取り出し、噛み砕く。それから嵐に尖った葉っぱを乗せて飛ばした。その威力はいつもより明らかに強く、ガブリアスに深々と葉っぱが突き刺さる。だが、ほうほうの体ながらガブリアスは耐えきった。

「キマワリ、初手からジュエルリーフストームを決めてきました。しかしガブリアスは硬い、なんとか首の皮1枚でつながりました」

「おいおい嘘だろ、素で耐えるなんて」

 ダルマは息を呑んだ。その姿を前にして、ユミは自信満々に指示を出す。

「……これが私の実力ですわ。ガブリアス、げきりん!」

「やばっ、戻れキマワリ、オーダイル!」

 ダルマはキマワリを引っ込め、オーダイルを繰り出した。他方、ガブリアスは頭から湯気を放ちながら滅茶苦茶に暴れだした。つるぎのまいで強化されていることもあり、オーダイルは苦渋に顔を歪ませる。だが、ぎりぎりのところで踏みとどまった。ダルマはここぞとばかりに叫ぶ。

「げきりんの途中なら逃げられない、アクアジェットでとどめだ!」

 オーダイルは全身に水をまとい、突撃した。激流の如き砲弾はガブリアスを蹴散らし、沈めた。

「ガブリアス戦闘不能、オーダイルの勝ち!」

「よし、これで1歩リードだ」

「さすがダルマ様、そう易々とは勝たせてくれませんね。では2匹目、メガニウム!」

 ユミはガブリアスをボールに戻すと、次のポケモンを送り出した。出てきたのは、首周りに花びらがあるポケモンだ。そのポケモンが呼吸をする度、辺りの空気が清々しいものになる。

「メガニウムか。オーダイルよりちょっとだけ速いんだよな、あの姿で」

 ダルマは図鑑をチェックした。メガニウムはベイリーフの進化形である。その吐息には枯れた植物を蘇らせる力がある。能力はHP、防御、特防が高く、耐久型がよく使われる。草タイプだがかなり硬いので色々厄介だ。

「先制技が使えるオーダイルはまだ使い道がある。よし、戻れオーダイル、キュウコン!」

「隙あり、ひかりのかべ!」

 ダルマはオーダイルを戻し、キュウコンを投入。スタジアム上空の雲が瞬く間に消えて晴れ上がった。その間にメガニウムは薄い赤紫の壁を張った。

「キュウコン登場、スタジアムは日差しが強くなったあ! ダルマ選手、ユミ選手、共に場を整えてきました」

「へへ、晴れていたら苦しいでしょ。さあ、大文字で焼き払え!」

「……この時を待ってましたよ。メガニウム戻って、バンギラス!」

 キュウコンが大の字の炎を撃とうとした、まさにその時。ユミは素早くメガニウムを回収し、別のポケモンに交代した。2メートル程の高さに若緑の鎧を装備し、頭にハチマキを巻き、非常に威圧感のあるポケモンである。しかもそのポケモンが唸ると、たちどころに天気が砂嵐になったではないか。晴れの恩恵を得られないキュウコンの大文字は、そのポケモンに傷1つをつけるのがやっとだった。

「な、なんだと! 天気が砂嵐に……しかも全然効いてないじゃないか!」

 ダルマは図鑑を覗き込んだ。バンギラスはサナギラスの進化形で、能力が非常に高い。素早さこそ低いものの、持ち前の耐久でそれをカバー。特性のすなおこしは天気を砂嵐にするというもの。砂嵐状態だと岩タイプの特防が上昇する。バンギラスは岩、悪タイプ故に、素の耐久もあるためとても硬い。しかし弱点も多い。相性がはっきりしているポケモンである。

「ふふっ、早くセキエイ高原に着いたので、シロガネ山で捕まえておいたんです。これで私の勝ちは決まりですね」

「それはどうかな。また場に出せば良いだけのこと。戻れキュウ……」

「逃がしませんよ、おいうち!」

 ダルマはキュウコンを別のポケモンと入れ替えようとした。バンギラスはそれを狙っておいうちを仕掛ける。不意の1発を受け、キュウコンは気絶してしまった。

「キュウコン戦闘不能、バンギラスの勝ち!」

「おっと、ダルマ選手は要のキュウコンを早々と失ってしまいました。ここからどのように戦うのでしょうか」

「や、やられた……。うかつだった、こんな隠し玉がいたなんて。まずはこいつをなんとかしないとな……」

 ダルマは頭をかきむしりながら次のポケモンを場に出すのであった。



・次回予告

ユミのハイスペックなポケモンに押され、中々自分の流れを掴めないダルマ。果たして彼は勝利を手にできるのか。次回、第81話「ポケモンリーグ6回戦第1試合後編」。ダルマの明日はどっちだっ。



・あつあ通信vol.61

今日は登場人物のポケモンの紹介をしてみます。メインの3人で唯一シンオウのポケモンを持っているユミ。彼女のガブリアスは陽気HP172攻撃44防御4特防36素早252振りです。この振り方はHPが205になることから205ガブリアスと呼ばれます。耐久は、特化ヘラクロス@拘り鉢巻のインファイトと、無補正全振りサンダーのめざぱ氷を確定で耐えます。実際はもう少し効率の良い201ガブリアスもあるのですが、身代わりが地球投げを耐えるのでこちらも中々人気。剣の舞を確実に使うのが狙いとなっています。さすが現状最強ポケモン、やることが違う。
ダメージ計算は、レベル50、6V、ガブリアス陽気205ガブリアス調整、キマワリ@草ジュエル臆病特攻素早振り、オーダイル意地っ張りHP攻撃振り、メガニウム穏やかHP特防振り、キュウコン臆病特攻素早振り、バンギラス@意地っ張りHP252攻撃220特防36振り。バンギラスの調整は、メジャーな「拘りメガネ臆病ラティオスの竜星群を半減込みで2回耐える」ものです。これで交代しなくても追い討ちでHP4振りラティオスを砂嵐で超高乱数1発にできます。で、キマワリのジュエルリーフストームをガブリアスは確定で耐えます。ガブリアスの剣舞逆鱗はオーダイルを中乱数1発、半分くらいの確率で耐えます。そこからの激流アクアジェットでキマワリの与えたダメージを合わせて確定で倒せます。キュウコンの大文字は壁と砂嵐のあるバンギラスにはたった14〜16ダメージ、乱数13〜15発という超耐久。そして交代際追い討ちで砂嵐なしでもキュウコンを確定1発。バンギラス強すぎる。まさに相手を選ぶポケモンですね。

あつあ通信vol.61、編者あつあつおでん



あつあつおでん ( 2011/11/09(水) 12:44 )