大長編ポケットモンスター「逆転編」

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大長編ポケットモンスター「逆転編」
第76話「ポケモンリーグ4回戦第1試合後編」

「ジョバンニ選手の2匹目はオクタン、ダルマ選手はキュウコンとなりました。そして日差しが一気に強くなった!」

「オクタンか……色々使いそうだな」

 ダルマは図鑑を開いた。ジョバンニの2匹目は、7本の足と茹であがった赤いボディが特徴的なオクタンである。オクタンはテッポウオの進化形で、攻撃と特攻が高めだ。水タイプだが、ドラゴン、格闘、ゴースト以外のタイプの技を覚えられる。そのため水タイプでも屈指の攻撃範囲を持つので注意が必要だ。

「ふふふふふ、私のトリックルームパーティに翻弄されるといいでーす。ロックブラスト!」

「く、速い!」

 歪んだスタジアムの中、先手を取ったのはオクタンだ。なんと、口から岩を発射してきたのである。あまりの奇襲にキュウコンは全く対応できない。1発、2発、3発、4発。ここで攻撃は止まった。キュウコンはまだ戦えそうだが、出て早々虫の息である。

「ほー、耐えてきましたか。しかし耐えただけでは勝てませんよー」

「言われなくてもわかってますよ。キュウコン、ソーラービームだ!」

 キュウコンは意地を見せた。ひとたび雄叫びをあげると、天から光の束が降り注ぐ。それはオクタンを飲み込み、そのまま焼き尽くした。光が消えると、オクタンの丸焼きが完成していた。

「オクタン戦闘不能、キュウコンの勝ち!」

「ぬうう……これは予想以上にまずいですねー。しかし私は勝ちまーす、リングマ!」

 ジョバンニはオクタンを戻すと、3匹目を繰り出した。出てきたのは、腹部にわっかが描かれているポケモンである。

「ジョバンニ選手、3匹目はリングマです。これが最後のポケモンになってしまいました」

「リングマか、最後にふさわしい強敵だな」

 ダルマは図鑑をチェックした。リングマはヒメグマの進化形で、ノーマルタイプで3本の指に入る攻撃を持つ。特性はどちらも状態異常に関するもので、相手の補助技読みで交代したり、補助技の制限を期待できる。

「まずはとどめでーす、アームハンマー!」

 先に動いたのはリングマだ。素早くキュウコンに接近し、丸太のような腕を振り下ろす。ほうほうの体であるキュウコンを仕留めるには十分な威力、たまらずキュウコンは気絶した。

「キュウコン戦闘不能、リングマの勝ち!」

「くそー、さすがに甘くはいかないか。……よし、久々の出番だ。しくじるなよスピアー!」

 ダルマはキュウコンを引っ込めると、最後のボールを握り締める。そしてそのまま送り出した。3匹目はスピアーだ。肩には気合いのタスキがかかっている。

「ダルマ選手の最後の1匹はスピアーです。果たして勝利の女神はどちらに微笑むのでしょうか?」

 実況の言葉を受け、スタジアムは一段と静まり返る。そんな中、ジョバンニが動いた。

「勝負はいただきでーす、すてみタックル!」

 リングマはスピアーめがけ、なりふり構わずタックルした。スピアーは脂汗を噴出するものの、気合いのタスキでことなきを得る。ここで反撃のチャンスが生まれた。

「なんの、がむしゃらで反撃だ!」

 スピアーは、両腕の針でやたらめったらに突きまくった。瞬く間にリングマの体が蜂の巣になっていく。しかしリングマはまだ動けそうである。

「おや、スタジアムの歪みが……」

 実況が思わず漏らした。スタジアムを支配していた歪みが、跡形もなく消え去ったのだ。ダルマは力強く最後の指示を出す。

「これで終わりだ、シザークロス!」

「のおおおおおおお!」

 スピアーは右腕の針でリングマを切り裂いた。トリックルームの効力が切れた今、先手を取ることはできない。リングマは膝をつき、地響きをあげながら地に伏せた。

「……リングマ戦闘不能、スピアーの勝ち! よって勝者、ダルマ選手!」

「やったぜ、4回戦突破だ!」

「ダルマ選手、4回戦も勝利を手にしました。5回戦にも期待がかかります」

 ダルマはガッツポーズを取った。スタジアム全体から歓声とフラッシュが巻き起こる。そこに、ジョバンニが近寄ってきた。

「いやあ、やりますねーダルマ君。私に勝ったのはあなたが2人目ですよー」

「ありがとうございますジョバンニさん。まあ今回はタスキがあったから実力とは言い難いですけどね」

「のんのんのん、それは違いまーす。道具を誰に持たせるか、与えられた状況をいかに用いるかはトレーナーの腕の見せ所。あなたはただ胸を張っていれば良いのですよ、私みたいに」

「はあ。しかしジョバンニさん程やるのは遠慮しときます」

「ほっほっほっ、そうですかー。……今日の勝負、彼と戦っているみたいでした。負けはしましたが、非常にすがすがしい気分でーす」

「ジョバンニさん……」

 ダルマはそれ以上の言葉が出なかった。いつもはピエロのようなジョバンニが、この時は風格漂う男に見えたからである。

「では、私はそろそろキキョウに帰りまーす。ダルマ君、頑張ってくださいねー」

 ジョバンニはダルマにこう言い残すと、高速スピンしながらスタジアムを後にした。ダルマは言葉が出ないので、礼をするのであった。



・次回予告

5回戦を迎えたダルマ。彼の相手は「超えなければならない人」であった。ダルマはどのような戦いを繰り広げるのか。次回、第77話「ポケモンリーグ5回戦第1試合前編」。ダルマの明日はどっちだっ。



・あつあ通信vol.57

気合いのタスキの便利さが痛感できる小説になってきた気がします。RSE時代に同じパーティを使ったらまずこうはいかないでしょう。

にしても、次回からいよいよフルバトル。構成に悩まされる……。

ダメージ計算はレベル50、6V、オクタン冷静攻撃特攻振り、キュウコン臆病特攻素早振り、リングマ勇敢HP攻撃振り、スピアー@タスキ陽気攻撃素早振り。オクタンのロックブラスト4発をキュウコンは中乱数で耐え、返しのソーラービームで最高乱数を引けば1発。リングマのアームハンマーでキュウコンは瀕死。スピアーのがむしゃらと虫の知らせシザークロスでリングマはダウン。


あつあ通信vol.57、編者あつあつおでん



あつあつおでん ( 2011/11/09(水) 12:41 )