大長編ポケットモンスター「逆転編」

小説トップ
大長編ポケットモンスター「逆転編」
第3話「初バトル」
「うーん、思ったより長いな」
ワカバタウンの西に伸びる29番道路。ダルマはそこをワニノコと一緒に歩いていた。この辺りは道路と言ってもほとんど整備されておらず、耳を澄ませば野生ポケモンの鳴き声がいくらでも聞ける。南には海があるのだが、乱立する木々に遮られ、とても見えたものではない。
「この道、こんなに長かったか?地図で見る限り1時間で着くはずなのに」
ダルマは首をかしげながら歩く。それに合わせてワニノコも首を傾けた。既に日は高く、暑さがじわじわと2人を苦しめる。
その時である。突然茂みから1人の少年が飛び出してきた。ツヤのある黒い防止とオレンジ色の半袖が特徴的だ。
「おいそこのトレーナー、俺とバトルだ!」
「バトル?良いけど、始めたばかりだから弱いぞ?」
「いや、その方がかえって都合が良い」
少年は、うっすら汗をかいているダルマを前に目を輝かせた。そしてモンスターボールを手に取った。
「行け、コラッタ!」
少年のモンスターボールからは、紫の身体に先が丸まったしっぽを持つポケモン、コラッタが現れた。コラッタは早くも威嚇をしている。
「よし、初バトルだ。ワニノコ!」
ダルマもモンスターボールを投げ、中からワニノコが出てきた。周りの木々は揺れ、風は草むらを撫でる。
「いくぜ!コラッタ、体当たりだ!」
少年の指示を受け、コラッタはワニノコに向かって突っ込んできた。
「うお、ワニノコ避けるんだ!」
ワニノコはギリギリのところで避けたが、かるく触れたのでバランスが崩れた。
「今だ、電光石火!」
コラッタは素早くワニノコの方を向き直すと、先程の倍以上のスピードで飛んできた。まるで彗星のようだ。この速さには対応できず、ワニノコは蹴散らされてしまった。
「ワニノコ!」
ダルマの叫びに反応して何とか立ち上がったワニノコは、しっぽを振り、牙を剥いた。
「よし、いけるな。今度はこっちの番だ、睨み付けろ!」
ワニノコは目を大きく開き、コラッタに視線を投げ掛けた。その威圧感でコラッタがほんの少し後退りした。
「今だ、ひっかく攻撃!」
この隙を逃さず、ワニノコはコラッタに迫った。コラッタは再び後退りするも、逃げ切れない。そしてワニノコは釣り針のように鋭い爪でコラッタを引き裂いた。コラッタは土煙をあげながら吹き飛ばされた。
「よし、良いぞワニノコ!」
強力な一撃に、ダルマは手応えを感じた。ワニノコもはしゃいでいる。
「……まだまだ!コラッタ、起死回生だ!」
なんと、勝負あったと思われたコラッタが、急にワニノコの目の前に飛び出した。そしてそのまま体重をかけてワニノコへ飛び掛かった。ワニノコは攻撃の勢いで若木に激突した。ぐったりとしているが、まだ動けそうだ。
「くそ、まだ動けたか」
ダルマは少し息を荒げながら呟いた。しかし、息つく暇は無い。
「中々しぶといな。こうなりゃトドメの必殺前歯だ!」
少年は体を前のめりにしながら叫んだ。コラッタは突風のようにワニノコに迫ってきた。
「……今だ、水鉄砲!」
コラッタがワニノコに手が届く距離まで近づいた時、ワニノコはその大きなあごから水の弾丸を放った。その激流のような一発を受けたコラッタは、ワニノコにトドメを刺すことができなかった。
「何ぃ!?」
少年は口をあんぐりと開けながらコラッタをモンスターボールに戻した。対して向こうではダルマが腰を下ろしてワニノコを撫でている。
「ワニノコ、ありがとうな。さっきの一発は凄かったぞ」
ワニノコは頭や首を撫でられて力が抜けたのか、地面に座り込んだ。ダルマはその姿を見るとゆっくり立ち上がり、少年の所に近づいた。
「ありがとう、良いバトルだったよ。えーと…」
「ゴロウだ。お前は?」
「俺はダルマ。今日旅立ったばかりだよ」
ダルマが帽子を取ると、ゴロウ少年は突然こう切り出した。
「何だ、俺と同じじゃないか。なら一緒に行こうぜ、旅は道連れっていうしな!」
「な、なんでそうなるんだよ!」
「気にしない気にしない、それじゃ行くぞ!」
ゴロウの言葉に抵抗をやめたダルマは、元気に進む彼の後を歩くのであった。



あつあつおでん ( 2011/10/28(金) 11:35 )