大長編ポケットモンスター「逆転編」

小説トップ
大長編ポケットモンスター「逆転編」
第20話「卵が孵った!」

「ダルマ様、起きてください!」

「んー……、なんだよこんな時間に」

「ダルマ様のタマゴが……!」

 まだ太陽も寝ている真夜中、ユミはダルマを叩き起こした。ダルマは布団の中で丸くなっていたが、ユミが激しく叩きつけるので、頭だけ出した。

「!……これはもしかしたら」

「はい、きっともうすぐ……」

 ダルマは一気に目が覚めた。彼の眼前には、ひっくり返りそうなほど揺れるタマゴがあった。タマゴのてっぺんには少しひびが入っており、中で何かが動いているのがわかる。

「い、いよいよだ。すぅーはぁー、げほっげほっ」

 ダルマは深呼吸をしようとしたが、逆にむせてしまった。その間に、タマゴの殻が徐々に割れていき、中のポケモンが姿を現した。

「う、生まれたぞ!」

 ダルマは思わず声をあげた。生まれたばかりのポケモンは、鳥ポケモンである。ヒレのついた黄色い足に、全体的に落ち葉のような色の体、V字型のつながり眉毛が特徴的だ。しかし、最も目立つのは左脇に抱えた植物の茎である。驚くことに、この茎はタマゴの中にあったにもかかわらず、とても若々しい。

「このポケモンは確か……」

「カモネギですわ。絶滅の危機にあるという、とても珍しいポケモンです」

「そうそう、俺でも知ってるぞ。けどなぜ絶滅しそうなんだ?」

「それは……確か、『色々とお得だから』乱獲されたそうですよ」

「な、なるほどねえ、なんとなくわかるな。こいつを見てると、何だかすごく腹が減ってきたし」

 ダルマは自分の腹をさすりながらカモネギを眺めた。すると、急にカモネギはけたたましく叫び、茎でダルマの頭を叩きだした。

「ぐおっ、な、何をする!」

「もしかして、食べられると思ったのでは?よしよし、私達はあなたに危害を加えるつもりは……」

 全て言い切らないうちに、カモネギはユミをも攻撃した。その刹那、ユミがカモネギの首根っこを掴み、カモネギの動きを止めた。それを見たダルマは、そそくさとユミから離れた。

「おいおい、雑魚はおとなしくすっこんでな。目障りなんだよ!」

 こう言うと、先程と形相を一変させたユミはカモネギを投げ捨てた。カモネギは他の人の布団に直撃し、中からうめき声が漏れた。

「なんなんだよ、うるせえなあ」

「……夜中に他人の家で騒ぐとは関心せんの」

 口を押さえてゴロウは大あくびを、ガンテツは着流しを整えながら、ダルマとユミに話しかけた。

「……すまんゴロウ、ガンテツさん」

「す、すみません」













「ダルマ、それは一体なんだ?」

「これか。これは気合いのタスキだ」

 翌日。ダルマ達一行はガンテツ、ミツバを加えてヒワダジムへと向かっていた。ダルマの右手には、帯には短いがそれなりに長い布がある。その布へ、ゴロウが突っ込みを入れた。

「気合いのタスキたぁ、随分立派なもの持ってやがる。作ったのか?」

 ダルマの持つタスキに興味を持ったのか、サトウキビも尋ねてきた。

「ええ。ゴロウの話だと、ヒワダジムは3対3。こちらは3匹いるけど、カモネギは生まれたばかり。というわけで、カモネギを戦力にするために徹夜して作りました」

「なるほど。だが、カモネギはがむしゃらのようなタスキと相性の良い技を覚えないぞ。そこら辺はどうなんだ?」

「それなら心配無用。ちゃんと作戦は練ってますから」

「あ、着きましたよ!」

 ガンテツの家から歩くこと10分、ダルマ達はヒワダジムへと到着した。ジムは全面ガラス張りで、中にはジャングルのごとく木々が生い茂っている。

「よし、それじゃあ入ろう」

 ダルマはジムの扉を引くと、中に入っていった。

「うわ、なんだこりゃ。思った以上にうっそうとしているな。誰だよ、こんなジムのリーダーは」

 入った早々ダルマがぶつぶつこぼしていると、どこからか声が聞こえてきた。

「誰だよと聞かれたら!答えてあげるが世の情け!」

「世界の破壊を防ぐため、世界の平和を守るため」

「愛と真実の悪を貫く!ラブリーチャーミィな敵役!」

「おいおい、勘弁してくれよ……」

「とうっ!」

 名乗り口上が一旦止まると、ダルマの目の前に、茂みから紫の髪の若者が現れた。

「ムサシ!コジロウ!」

「銀河をかけるロケット団の2人には!ホワイトホール、白い明日が待ってるぜ!にゃーんてな!」

「……ジムの場所間違えたか」

 名乗り口上が終わっても、その場は凍り付いたままだった。ダルマは一言漏らすのが精一杯で、他の皆は視線を泳がせたり、互いに顔を見合わせたりしていた。

「ようこそヒワダジムへ!僕はジムリーダーのツクシ、よろしく」

「え……えええぇぇぇぇ!あんたは昨日の!」

「ダルマ様、ご存知なのですか?」

「ああ、昨日海岸でバトルした。おそろしく強いストライクを使ってきた」

「あ、ダルマ君おはよう。やっぱり来たね」

 驚くダルマを気にすることなく、紫髪の若者ツクシは気軽に挨拶をした。彼は皆に対して説明を始めた。

「さて、このジムは3対3のシングルバトルのルールでバトルをしています。今回の挑戦者はどなたですか?」

「挑戦者か、それはこの俺だ!」

 ダルマが勇ましく手を上げた。ツクシは一瞬目を丸くしたが、すぐに瞳に火をつけた。

「挑戦者はダルマ君か。昨日とは大分変わったみたいだね。顔に書いてあるよ」

「そりゃもうめちゃくちゃ変わったよ。今からその成果、見せてやるぜ!」



・次回予告

ヒワダジムのジム戦、壁となったのはやはりあのポケモンであった。なんとか攻撃しようにも、ある技のせいで中々当たらない。果たして勝負の行方は!?次回第21話「リベンジマッチ!対決ヒワダジム」、ダルマの明日はどっちだ!





あつあつおでん ( 2011/10/31(月) 09:21 )