大長編ポケットモンスター「逆転編」

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大長編ポケットモンスター「逆転編」
第1話「ニュースから始まる物語」
「な、何だこりゃ!?」
ある日の夕方、ジョウト地方ワカバタウンの少年ダルマは椅子から転げ落ちた。彼はすぐさま起き上がると、背中をさすりながらテレビにかじりついた。
「では、今回は参加可能な人数が増えるのですね?」
「そうです。今回のポケモンリーグセキエイ大会は、参加可能な人数を従来の128人から倍の256人に増やします」
テレビ画面の向こう側では、メモをしている記者らしき人達に1人の男が話している。赤く、天に向かった髪と、黒マントに黒スーツという黒尽くしの衣装が印象的だ。
「では、増加決定の経緯を教えて下さい」
「わかりました。今までポケモンリーグは狭き門で、やる前から諦める人もたくさんいました。今回の決定はそのような人がいないポケモンリーグを目指すための措置なのです」
「今回の決定による変化はどのように予測されますか?」
「そうですね、1つ目は今まで挑戦したことがない人がチャレンジすることによって、新たな才能を見つけだすでしょう。2つ目はトレーナーが活発に動くことによって町同士の交流が活発化します」
黒尽くしの男からの言葉に、記者達は思わず声を漏らしたり、メモに殴り書きをしていた。ペンの音がテレビ越しに聞こえてくる。「では、これで発表を終了します」
黒尽くしの男は一礼をすると、そそくさとその場を後にした。その映像を見終わったダルマはテレビの電源を切った。すると画面から映像がゆっくりと消えていった。
「これはもしかしたら行けるかもしれない」
ダルマは焦る気持ちを押さえつつ、自分の部屋から出て階段を駆け下りた。目指す場所はリビングだ。
「父さん聞いてくれ! 俺旅に出ることにしたよ!」 ダルマは自分の父に向かって話し掛けた。父はすぐさま振り向き、尋ねた。
「旅だと? この間まで行きたくないと……ははぁ、さっきの番組か」
「そうだよ。ポケモンリーグが開催される。しかも今回は本選に参加できる可能性が高いんだ。こんなチャンス滅多に無いよ!」
一気にまくしたてるダルマをやんわりと止めた父は、窓から暗い空に浮かぶ雲を眺めながら話した。
「それはお前の決めたことだ、好きにしなさい。だがお前は俺の息子だけあって、野心が途中で消え失せるからなあ」
「大丈夫だよ父さん。今回は最後までやりとげる! 安心して待っててよ」
「……そこまで言うならもう何も言わん! 自分の決めたことを貫け!」
「ありがとう父さん!」
ダルマは笑顔で荷物の準備を始めた。その間ずっと笑っていたのは言うまでもない。




翌朝。すっかり荷物の準備を整えたダルマは、リュックサックを背負うと、家の外に出た。
「準備できたか」
腕を組んでいる父に、ダルマは軽く答えた。
「大丈夫だよ。……あ」
「どうした?」
「……ポケモン貰わなきゃ」


その朝、町中を走る親子が見かけられたのはここだけの話である。

あつあつおでん ( 2011/10/27(木) 22:16 )