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『ーーーーーよってこの時期はテンガン山付近は常に悪天候となり雪崩もおきやすい為に
トレーナーの方も一層注意をーーー』
テレビコトブキの巨大なビジョンから流れてくるニュースを方耳に、噴水の淵に腰を掛、大きな黄色リュックサックを背負い手首の腕時計……ではなく『ポケッチ』を操作している少年が一人。
彼の名はコウキ、数年前旅を初め、シンオウ各地を駆け回ったポケモントレーナーである。
もっとも、旅の目的の一つ、シンオウ図鑑の完成は果たしたとはいえ未だ高みと新しい発見を求めシンオウ地方を駆け回ってはいるのだが……。
そんな彼がシンオウ一の大都会、コトブキシティにいる理由はある約束をしているからである。
その約束はーー
???「ごめんなさいコウキ君! 待たせちゃったかな…」
コウキ「ううん、ちょうど今来たところだよ。僕こそ急がせてゴメンね、ヒカリちゃん」
ヒカリちゃんと呼ばれた女性……と呼ぶには若すぎるが、自然とそうよんでしまいそうな品の漂う女の子の名前はそのまま『ヒカリ』、コウキの研究仲間でありポケモン進化学会の権威、ナナカマド博士の助手だ。
ヒカリ「私が無理いって誘ったんだもん、急いで当たり前だわ。そんなことより早く
行きましょ、なんて……」
コウキ「はは、僕も約束楽しみにしてたんだよ、早く行こっか……あ」
二人の約束……それはコトブキの観光であった。テンガン山を隔てた先にある毎年住みたい街ランキング一位に輝くヨスガシティはコンテスト会場もあるためコーディネーターでもある二人はよく訪れるのだが、以外と故郷に近いコトブキシティには訪れないのだ。
そこでヒカリが「今度のコンテストで私が勝ったらコトブキシティに観光に行こう」といい初め、結局『かわいさ部門』で勝ったら為こうして観光に来ているという訳だ。
因みにコンテスト成績は五分五分、お互いが居なければ必ず優勝出来るほどの実力を二人共持っている。
コウキ「喉乾いたでしょ、さっき向こうの屋台でジュースが売ってたから買ってくるね。
ちょっと待ってて」
ヒカリ「本当? ありがとう!」
気をきかせたコウキは少し先の広場でピエロが売っていたジュースを買いに噴水を離れた。
一方ヒカリは手鏡を出して少し乱れた髪を整え始めた。
……お互いこれから起きる事など知らず……
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〜5分後〜
2つジュースを買い噴水の広場に僕が戻ると人が集まり騒がしくなっていた。
ヒカリの姿が見えず辺りを見渡していると集まっている人達の話が聞こえてきた。
市民1「見たか? 種みたいな噴水が光ったかと思ったら女の子が消えちまったぜ」
市民2「見た見た! テレポートでも使ったのか?」
市民3「そのわりには本人は驚いた様子だったけどな……」
嫌な予感がした、そう感じた次の瞬間には口が動いていた。
コウキ「その女の子、どんな服装でしたか?」
市民1「ん? ピンクの上着にスカートだったぞ? ああ、ニット帽も被っていたような……」
間違いない、ヒカリちゃんだ。でもどうして? ヒカリちゃんは確かにテレポートを覚えるポケモンを持っているけどする意味がないし……
コウキ「(まずはポケッチで連絡…………!!?)」
ポケッチでヒカリちゃんと連絡をとろうとした瞬間、視界が閃光に奪われた。辺りを見渡そうにも太陽を見つめているようで目に激痛が走りできない。
しかし暫く目を伏せていると隙間から感じていた光がなくなった。
恐る恐る目を開いてみるとそこは……
コウキ「……森?」
辺り一体木々が高く延び、太陽の光を遮っている。見たことのない木ばかりだからシンオウ地方ではないのかもしれない。それを確かめる為にポケッチで地図のアプリを開くするとそこにははっきり言って驚くことしかできない文表示された。
『カントー地方、トキワの森』
……トキワの森は分からないが、カントー地方は分かる。田舎と呼ばれるシンオウとは違い世界最高峰のポケモンリーグ、セキエイ本部を初め世界的大企業、シルフカンパニー等経済力、政治力、ポケモン学会の知名度共に知らぬものはいないであろうこの国の誇る大地方だ。
しかし何故カントー地方に? ディアルガやパルキア、ギラティナなら出来そうな所業だが、既に全匹僕のモンスターボールの中である。まぁ訳あってボールからは出しているけど僕に牙を剥く事はないだろう。
暫く悩んでいたがポケッチを見てどうでもよくなってしまった。
自暴自棄になったのではない。これを越える衝撃に襲われてしまったからだ。
コウキ「10年……後?」