ポケモン不思議のダンジョン  Destiny story






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第3部 新たな世界
42 200000ポケ





【緊急事態発生 弟子以外の侵入を固く禁ずる ギルド親方・ファルヤ】

 


 ギルド入り口のテントにはこう書かれた立て看板があった。年季が入ってる。かなり前から使い回しているものだと思われる。

「よほど大変なことだろうな。関係者以外は立ち入り禁止なのか…」

 何が起きたのかはまだ想像はつかない。想像しながらはしごを下りていくと、弟子たちは意外にも地下一階のおたずねものポスター前に集合していた。集合なら、地下2階でするものだが。

「ねぇみんな!何があったの?」
「ああミラノたち。時の歯車が、また盗まれたのだ…」

 答えたのはペル。しかし、かなり顔色が悪い。

「どこの時の歯車だ?まさか」

 俺がそう聞いたら、ペルは答えなかった。下を俯き、冷や汗をかいて答えようとしない。
 
 霧の湖の時の歯車。そう代わりに答えたのはサフラ。やはりというか、ペルの表情を見る限り大体は察していたが。

「ちょっと待ってよ。霧の湖に時の歯車があることは私たちギルドの中での秘密だったよね?なのに、なんで他のポケモンが時の歯車を…」

 俺も同じことを考えた。なぜそいつは時の歯車が霧の湖にあることを知っていたのか。俺らが開拓するまでは霧に包まれ、湖が本当にあるのかどうかも怪しかった場所が、いとも簡単に踏破されたのだ。
 次に声をあげたのはイーブルだった。

「時の歯車が霧の湖にあることなんて今初めて知りました。そもそも今回の遠征は何の成果も得られなかったはずでは…?」
「ごめんねイーブルさん。訳があって口止めされていたんだよ」

 申し訳なさそうに答えるのはファルヤ。

 しかし、だからといって何故お尋ね者ポスターの前に集合したのか。その疑問が頭に浮かんだが、ペルの次の一言でその疑問はすぐに解決した。

「だが、番人であるユクシーの証言から、犯人の素性がわかってきた。ポスターを見るのだ」


【種族 ジュプトル】
【氏姓 不明】
【特徴 左目に傷あり】
【懸賞金 200000P】


 に、200000ポケだと!?仮に捕まえれば9割没収されようが20000ポケは俺たちの手に…って、そんなこと考えてる場合じゃない。

「こいつが…時の歯車を盗み続けるポケモンなのね…」
「うう…顔だけで充分おっかない雰囲気出ているでゲス…」

 トカゲっぽい種族上目つき悪いのは仕方ないのだが、横見ろ横。巨漢の幽霊のような容姿を見て何も思わないのかてめぇら。
 ペルによれば、ついさっき一斉に指名手配されたそうだ。それを伝えるため、ポスターを配るためにカバンを持ったペリッパーがたくさん飛んでいたらしい。
 おっと何やら地震が…じしん?

「うううううう…」

 俯き震えるファルヤ親方。その震えに同調するかのように部屋全体が揺れ始めた。ファルヤの震えが徐々に大きくなっていき、それに伴って部屋の揺れも大きくなっていく。どういうシステム。
 確か俺の記憶ではここから始まるのは_______

「たぁぁぁああああああ!!!」

 予測可能回避不可能。騒音爆音超え衝撃波が放たれた。人生でもっとも長く感じた10秒。ファルヤなりの気合の入れ方なんだろうが…ここまで周りを巻き込むのもまた珍しい。
 こんな爆音聞くのいつ以来だっけ…たしか探検隊結成の時。

「プクリンのギルドの名に懸けて、ジュプトルを絶対捕まえるよっ!ペル!」
「は、はいぃ!…えー、これより、全ての仕事をジュプトル捕獲にシフトする!凶悪犯・ジュプトルを捕まえるため、みな全力を尽くしてくれ!」

 ペルとファルヤの号令により、みんなが乗っていく。言われなくても、という感じ。イーブルもジュプトル捕獲に全面協力という形になる。それは非常に心強い。
 しかし、とにかく腹が減った。というバビルの声により、とりあえず今日は飯食って寝るということになった。









「…あれ?召集の時グランたちいた?」
「いたわドアホ。…まぁ、何も目立つ言動はとらなかったしな」
「最近登場少ないからちょーと焦ってきてごふっ」
「ちょっと黙ろうか小娘♪」
(…こわぁ)

 ルナの裏の黒さを見た男3人衆であった。


アサシオ ( 2018/08/26(日) 22:29 )