ポケモン不思議のダンジョン  Destiny story






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第1部 予知夢
23 懸けようと 懸けなくとも
「...あれ、あそこにあんなものあったか?」

 3つの依頼紙をカバンの外に丁寧に畳んで入れ、ギルドを出てわずか数秒、いつも通る十字路の道の横に何やら穴が空いている。

「最近忙しいから、そこまで見てなかったよ。でも、穴のすぐそばに看板が立てられているから、何かのお店じゃない?

【夢とロマンが溢れる店 パッチールのカフェ】
 看板にはかわいらしい文字でそう書かれてあった。

「カフェ…結構いい場所じゃないか?」
「休憩所っていう場所がトレジャータウンになかったしね。今まで水飲み場でゆっくりしていくぐらいだったのに」

 特に怪しい要素も全くないので、穴の中に作られた階段を俺たちは下っていき、まるで子供がデザインしたような太陽の絵が描かれた扉にたどり着いた。

「中は結構騒ぐから、十字路に迷惑がかからないようにってことじゃない?」
「だとしたら、結構気遣いが良い店長だぞ」

 扉を開けると、明るく広い大部屋に出た。そして目の前に、『ソーナノ』と『ソーナンス』がひょこりと出てきた。

「うわぁ!?」
「驚かしてすいませんナノ。私は『ナノス』というナノ」

 めっちゃ適当な名前である。作者の手抜きぶりを伺うのはやめてさしあげて。そこまで重要キャラじゃないんだもん。

「『ソォォォナンスゥゥ』!!!」
「…今のは自己紹介と捉えていいのか?」
「わからない…」

 ナノスとソォォォナンスゥゥの自己紹介(?)が終わると、奥からクリーム色の体色に赤色のブチ模様がある見たことないポケモンがよろめきながら歩いてきた。

(…あのポケモン、大丈夫なのか?)
(『パッチール』は元々ああいう種族。あれが健全なの)

 どういう理由があってこういう本能が身に付いたのだろうか。カフェでこんなこと考えるのもあれなので、考えないことにした。

「いらっしゃいませ〜!【夢とロマンが溢れる店 パッチールのカフェ】へようこそ〜!てまえ、このカフェのオーナーを務めている、『ジェナ』と申します〜!」

 歩き方に反して意外と明るい性格である。いや、店員は明るくないとダメだろうけど。接客ね接客。

「早速店の紹介に入ります!こちらから左に見えるのがてまえジェナがマスターをしています『パッチールのカフェ』でございます!
 あそこでダンジョン内で拾ったリンゴやグミを使って、てまえジェナが腕を振るって最高級の飲み物を提供します!
 探検前の目覚ましの一杯や、ランチタイムにのんびりと一杯、一日の疲れを取る夜の一杯…」
「…よだれ」
「あっ!大変申し訳ございません!ズズッ。それでは、次の店の紹介をさせていただきます!」
(ふふっ!この店長さん可愛い〜…)
(天然というか…まあ、可愛い…のかな)

 ジェナが何やらセリフの確認をしているのか、後ろを見て紙を見ている。その間に、ナノスとソォォォナンスゥゥが前に出てきた。

「次は、【探検リサイクル店】でございます〜!お2人さん、探検中にこんなことありませんか?」

『ああっ!バッグも倉庫もいっぱいで道具は捨てなくちゃいけないっ!今もどこかでこの道具を必要としている探検家がいるかもしれないというのにっ!!』

 動作までつけての説明。動作と言ってもただオワタのポーズをしてきょろきょろしているだけだが。

「…ということで、手前ども考えました。その要らなくなった道具をリサイクルして、その道具を探検家に提供する!」
「無駄な道具を良い道具と交換できるということか?」
「その通りでございます〜!それでは当店の説明は終わりでございます!どうぞごゆっくりくださ〜い!」

 そう言って3人はぺこりと頭を下げた。

 とりあえず、近くの椅子へ腰かけることにした。

「よいしょ…お、グラン」
「よお。お前らも来てたのか。とりあえずジュースおごって」
「殺すぞ」
「まあ座れって」
「スルーすんな」


 まず話題に持ち上がったのは、やはり最近の仕事のことだ。遠征も近いので、互いの成績などそういうのはかなり気になる。

「最近どーよ?」
「いやー昨日失態やらかしてしまってさー…ペルの依頼失敗してきたんだよ」
「うわっマジで?だからお前ら昨日夕食いなかったのか」

 何気ない会話。こうしてみれば、ギルドの先輩後輩という関係はほぼ皆無に見える。

 昨日の夜もミラノはだいぶ落ち込んでいて喋ろうともしなかったが、今はその失敗を肴にして、ルナやルミと笑っている。
 正直、こいつらと遠征メンバーの座を争いたくない。別に実力が離れているとか、そういうことではなく、なんとなくメンバーが別れたとき、しばらく話ができなくなるというのが少し辛くなる。

「まあ、ここから挽回していくからさ!私今日からもっと頑張っていくよ!」

 ミラノも既に前を向いている。正直、自分の方が後ろ向きなのかもしれない。
 でも、グランやギルドの仲間たちがいなかったら、自分もミラノもずっと失敗を引きずっていたかもしれない。
 
(…行きたいな。こいつらと。遠征)

 グランやジュアたちと笑いあいながら、そう心の中でつぶやいた。

































3日後の朝礼…

 全員起床を確認。沈黙の中、ペルは周りを見渡し、こほんと咳払い。弟子は全員揃ったところで、やがて声をあげた。

「…よし!全員いるな。それでは、待ちに待った遠征メンバーを発表する!!」

 ペルは、いつも以上に張りのある声でそう叫んだ。














 

■筆者メッセージ
ジュア「なんで最後ちょっと凝った?」
アサシオ「…なんかそういう気分だった」
ルナ「別に重要な場面でもないところに手を込んで、もっとましなもの書けないの?」
ジュア「そもそも凝ったのか?駄文生産マシーンがいきがんな調子乗るな○ね」
アサシオ「遠征編頑張ります…」
アサシオ ( 2016/04/10(日) 14:38 )