ポケモン不思議のダンジョン  Destiny story






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第1部 予知夢
15 温泉
 そういや、と、俺は振り向いた。と同時に彼女も「そういえばさー」と俺に問いかける。俺と彼女の考えることは一緒だった。

「ペルが朝言っていたこと、あれ、本当なのかな…」
「…本当じゃないか。実際に目撃例があるんだからな」

 キザキの森の時が止まってしまっていたという事件。特に俺はそんなこと気にならなかった。それはルナもジュアも同じだった。
 
 ギャラクシーとお喋りを済ませた後、ジュアが珍しく『部屋に忘れ物をした』と言い、付き添いで俺たちも地下2階へと戻った。そのとき、ペルは手に持っていた資料に目を配りながら、嬉しそうに鼻歌を歌うところを見て、ギルドでも特に気にするような問題ではないということは認識できた。
 忘れ物は2個のリンゴ。部屋の片隅へ転がっていた。
 
 今日の依頼の場所は、少し離れた洞窟だ。『あの道具があの洞窟にあるんです』的な内容で、別に急ぐような依頼でもないし、朝もまだ早かったので、目的地までゆっくりと歩いていた。

「…今まで伝説とか幻とか、半分冗談半分大真面目で語られてきたことが実際に現実にあったとはなぁ」
「現にその場所の時は止まっている。俺はそんなの昔話かなんかと思っていたが、この出来事によってその昔話が実話であることが証明されたな」
「幻とまで言われたほどの目撃情報の無さ。そう考えると、首謀者は並大抵のポケモンではないわね」
「…そうだな」

 グランが何故か下を俯いた。




〜☆〜



「…終わりか」
「ふう〜…合計8フロア…でも、意外と長く感じたよ…」
「どーかん…」

 7階の大部屋でアメタマ3匹に鉢合わせして大変な目に合った。爆裂の種と電撃とミラノの体当たりで何とかごり押しで突破することができた。
 8階は特に何の問題もなく突破できたことに感謝する。誰に?安○にさ☆

「お前は何を言ってるんだ」
「誰に言ってるの」
「どこからか天の声が聞こえたんだ」
「…?」

 
 8階を抜け、しばらく歩いていると、行き止まりの場所に出た。おそらくここがこのダンジョンの最奥部なのだろう。しかし…

「うわぁ〜〜!!すごいキレイ〜〜!!」
「うおっ…すげえなここ…」

 そこは、地面やら壁やら天井やら、あらゆるところに赤、青、緑などのきれいな宝石が埋まっている夢の世界のような場所だった。
 ミラノはもうそれはそれは楽しそうで。やっと探検隊の求めるものを見れて、とても嬉しそうだった。俺もこんな光景は初めてで、口では冷静にふるまっているが、心の中ではミラノに負けないくらいはしゃいでいた。

「ねえねえ!ここの宝石持って帰ろうよ!!」
「そうだな。大きさも…ん?」

 ふと目に入ったのが、一番奥にあるピンクの巨大な宝石。おそらく自分の肩までの高さはあるだろう。ミラノもそれに気づき、さらに目を輝かせ、その宝石に飛びついた。

「これ持って帰ったら…みんなビックリするんじゃない!?」
「…でも大きすぎるな。…頑張るか」

 その宝石は岩と岩の間にうまい具合に挟まっていた。俺に任せろと言わんばかりに肩を2、3回グルグルと回して、その宝石を引き抜こうとした。

「ぬぉぉぉ…!!!」
「…どうお?」
「…だめだ。全然びくともしない」
「私がやってみるよ」

 無理だとは思ったが、一応任せてみた。でも、案の定びくともしない。

(…しっかし、ホントびくともしないよな…)

 そう思ったとき、ふいにめまいが起こった。

(くっ…!また…!)

 



 再び意識が戻った時、ミラノはそこにおらず、入れ替わったように滝の前で見た影がそこに居た。
 影も俺たちと同じように宝石を引き抜こうとする。が、抜けない。
 すると、何を思ったのか、影は宝石を押してみた。

 どういう原理なのかは知らないが、急に地響きが起き、右から巨大な水流が流れ、影はそのまま流された。

 そこで映像は終わり、現実へと帰った。

(…い、今のは…)
「あ、そうだ!」

 まさかと思い、声をかけたが…

「ミラノ絶対に」
「えいっ☆」カチッ
「押すな…よ…」

 時すでに遅し。見えた夢と同じように、地響きが起こった。俺はこれからわが身に降りかかる災難を知っていたので、咄嗟にミラノを担いだ。

「へえっ!?」

 俺の肩に担がれ、頬が紅潮する。しかし、今はそれどころではないのだ。

「ここから逃げるぞ!!」
「えっ!?ななななんで!?まだ宝石たくさんとってnキャアアア!!?」
「ぬおおおおおおあああああ!!」


 懸命の走りも、報われず。俺たちはいとも簡単に水流に飲まれた。







「ん…」
「あっ起きましたー!」
「なんだろう気持ちいい…」

 目が覚めると、何故か体が温かかった。嗚呼。ここは天国か。ということはミラノも…南無阿弥陀仏。
 そう心の中で嘆いていると、ここが温泉ということに気付いた。そのとき、自分の目の前に『コータス』がのっそのっそと現れた。

「ここは温泉じゃ」
「お、おんせん…?」
「おぬし達、急に上から降ってきたからたまげたわい。さぞ疲れただろう。ここでゆっくり疲れを取っていきなされ」
「ありがとう!そうするよ!」

 ミラノは既に起きていた。温泉の効果なのか、疲れなどはとっくに吹き飛び、とても気持ち良かった。

















 













 



 

■筆者メッセージ
最後適当ですいません。
アサシオ ( 2016/03/22(火) 21:14 )