プロローグ 雷鳴轟く闇夜
最後の記憶がいつだったかは覚えていない。目の前に広がっているのは悪夢だった。
雷鳴轟き、雨が唸る夜。俺の隣にいる友人の悲鳴は雷鳴よりも強く、俺の耳に、そして心に突き刺さった。
目的を果たすために、ここに2人でやってきた。だが、ここにきて刺客。思いもよらない襲撃。警戒せずに入り込んだ俺が馬鹿だったようだ。
どうした俺。友人が死にかけている。どうした俺。何故見つめてることしかできない。どうする俺。奴が止めを刺しに来ているのだぞ。奴が右手に黒い塊を抱えて。どうする俺。どうす――
反射的に体が一撃の軌道へと動いた。俺は死んだ。そう確信した。でも、お前なら世界を変えられる。未来のために、俺はお前に命を懸けた。もう後悔はない。
意識が遠のく中、俺は闇の中を堕ちていった。