第3話 少女の名と別れ
???「…は?」
俺のその言葉に少女は首をかしげると、
???「えっと…それってどういう事?」
と、訝しげに訪ねてきた。瞬間、俺は後悔した。
言うんじゃなかった、と。
だが、もう既に時遅し。残念ながら、俺に時間をさかのぼる能力はない。
…要するに、絶対絶命…と言うところだな。
セイ「あ、いや。そ、その前にお前の名前を教えてくれないか?今会ったばかりで素性の知れない奴に話すのはな…」
俺が頭をフル回転させ、考え付いた方法は、これだった。
とりあえず、話をそらしてどーでもいい会話をだらだらと続け、さっきの事を忘れさせる…うむ。我ながらいい考えだ。…じゃねえや。
問題は、少女がこれに乗ってくれるかどうかだ。…念のため、もう一個作戦考えとくか。
が、少女は俺の話にのったらしく、
???「あ、そうだね。分かった。私の名前はミスト。…そう言えば、君の名前は?」
俺は少女_ミストの言葉を聞いて自分も名乗っていなかったことに気づき、
セイ「あ、スマン。俺の名前はセイだ。…ところで、何でミストはここに?」
俺は作戦が上手く行っていることに少し安堵を覚えながらも、ずっと気になっていたことを尋ねてみた。
ミスト「え?あぁ、…えっとね…私、スヴェート″の一員なんだけど…あれ、どうしたの?そんな顔して」
スヴェート″この言葉を聞いた瞬間俺がどんな顔をしていたのかは分からない。が、きっと「憎しみ」や「憎悪」・「怒り」。色々な表情が入り混じっていることだろう。
スヴェート″その名は「光」や「明かり」を意味する。
この組織は表向きでは、孤児を保護したり、色違いなどの珍しいポケモンを保護したりなど、あくまで平和的なことを行っており、人々からの信頼も厚い。
が、しかし。裏では人間とポケモンの中間に位置する「獣人」を捕まえ、殺す。悪党集団だ。その理由はスヴェート″の創立者曰く、「人間にもポケモンにもなりきれない獣人は国を汚すゴミ」だそうで、そのため獣人が殺される羽目になるのだ。
俺は俯いて歯ぎしりをたてると、
セイ「…そうか。そういうことだったんだな…」
ミスト「…え?セイ、どうしたの?」
セイ「…悪いがミスト。ここでサヨナラだ。…じゃ、元気で」
そう言うと、俺は呼び止めるミストを無視し、その場から離れて行った。