特殊格闘 限定組み手
説明しよう!特殊格闘限定組み手とは!
近接戦闘における格闘タイプの意義をあえて撤廃し、特殊攻撃いわゆる「とくこう」に特化した格闘タイプの戦いを追求した戦いの事である!
別名、シュート・ファイティング・バトル!別名SFB!(特に意味のない略称)
今日もこの名もなき荒野(ロケ地:ホドモエ採石所)で、とくこうを追求したポケモン達が空を切る!
「そんな攻撃じゃ、僕には勝てないよ!」
だが今回の勝負は圧倒的だった。
クールな雄叫びをあげるのは、特殊格闘ポケモンの中では随一の強さを誇るケルディオ―かくごのすがた!
彼の放つ、しんぴのつるぎの前になすすべもなく倒れていく特殊格闘ポケモン達。
やはり生まれながらの特殊格闘攻撃の持ち主には勝てないのだろうか!すべては才能なのだろうか!
「ふっ!新参者がいい気にならない事だな!とぉっ!」
「だ、誰だ!」
そこへ!どこからか用意された高台から飛び上がったのは、はどうポケモンのルカリオだった!
「あまり調子に乗らない事だなケルディオ。質のいい専用技とステイタスを持っているのは自分だけだと思い上がったのが君の敗因だ!くらえ!はどうだん!」
ルカリオの無駄に磨きのかかった三回転空中捻りのあと繰り出された、はどうだんは、上空からの落下スピードも重なってか、その速度を何倍にも増していく!
「はどうだんは絶対命中の技!どこまでも貴様を追いかけるぞ!」
「ふっ、それは負け試合をするヤツの台詞だよ!」
「な、なんだと!」
ケルディオはそう応えると、額の剣ではどうだんを、カキーンジャストミート!
「必ず当たる弾なんて、打ちごろ以外の何者でもないよ!」
「し、しまった!うわー!」
ドカーン!
空中で身動きのとれないルカリオをはどうだんが直撃!
そのままモクモクと煙を上げ、ばったりと地に伏してしまった。
「ふっ、専用技だって?それは自分だけが使えるようになった技を持ってから言う言葉だよ。格闘タイプが弱点の癖に格闘タイプを名乗るなんて、ちゃんちゃらおかしいね!」
勝者は敗者がいかに深く傷をえぐる事を言おうと許されるのだ。
なんと非情な世界だろうか!
「ならこの攻撃はどうかな!」
「うわっ!」
突然!ケルディオの目の前にするどい蹴りが飛んでくる!
それにより発生した衝撃により、つちぼこりが舞う!
だがルカリオは相変わらず寝転がっている。すなわち、これは別のポケモンによる攻撃なのだ!
「だ、誰だ!どこから打ってくる!」
「ふふふ、攻撃が見えまい。さぁ次は避けられるかな!」
再びケルディオを襲う一撃!彼は見た、自ら横っ飛びに逃げた瞬間に、その場所をえぐった伸びた足のようなものを!
「あっ!あの足は!サワムラー!ずるいぞ!足を伸ばすなんて」
「貴様は知らないようだが、私の足は、初代ポケモンカード時代はベンチ攻撃も可能だったのだ!これは立派な遠距離攻撃なのだ!ナンバリングタイトルのゲームの仕様に惑わされ、表現の自由を見失った貴様がわるい!」
「ぐっ!なんておとなげない攻撃なんだ!だが、えいっ!」
サワムラーの隙を突き、ケルディオは伸びた足に、しんぴのつるぎの一撃をお見舞いした!
「うわっ!バランスがとれない!ぎゃー!」
そのまま本体ごとケルディオの眼前の地面に激突!あっというまにきぜつしてしまった!
「話も足も、もう少し短くする事だね!」
次々と襲い掛かる敵をなぎ倒すケルディオ!
もはやとくこう特化の格闘ポケモンで、彼に勝てる者はいないのか!
そこへ!虫の息のルカリオの声が響いた!
「おい審判!今のはインファイトじゃないのか!」
「そうだそうだ!俺がナットレイなら、今頃ケルディオにダメージが入ってるところだ!ゴツゴツメットをもってこい!」
続けて抗議する倒れたサワムラー。
ああっと!ここで審議が入るようです!
長考しています長考しています。
どうやら……ああ!異議は認められません!
むしろ直接攻撃との判断が下ったのは、サワムラーのほうだ!
「なんだと!は、離せー!化石の秘密連盟に抗議してやるー!くそー!サワムラー専用の遠距離攻撃が実装されるまで覚えておけー!」
「ふっ、あしながの中古おじさんは紙製のダメージカウンターでもかじってる事だね!」
またも捨て台詞のケルディオ!
だがそこへ、覚えのないくちぶえの音が木霊する!
「ぴーぴぴぴーぴーぴー。」
「な、なんだこの高音は!くさぶえはルール違反だよ!」
ゆっくりとケルディオに向かって歩いてくるのは、おおきな足をした、顔に赤いヒモのような布を巻いたポケモンだった。
「ふっ、わかいの。よく覚えておけ。化石の秘密時代のダメカンは、ガラス製だ。」
「ガラス製!?そんなのホビーショップでも売られてるじゃないか!でたらめはよせ!」
「あんないいものじゃないさ。形もバラバラ、ふぞろいで、大きかったり小さかったりの真っ赤なカウンターだった。そもそもカードダスで登場した紙製のダメージカウンターが、現在のアクリルカウンターにある、10表記の走りとなったと言っても過言では……。」
「誰だか知らないけど、おしゃべりは、そこまでだよ!」
何の構えもない謎のポケモンに、ケルディオの容赦のないしんぴのつるぎが飛ぶ!
「所詮ふるいポケモンのわざなんて、何の役にも立たないのさ!くらえ!しんぴのつるぎ!」
「ぬっ!」
ガキン!とそのケルディオのエネルギーによって延長された角の一撃を、額だけで受け止めるポケモン!その衝撃のせいか、その額に巻かれた布が徐々に破れ、中から赤きV字型の角が姿を現した!
「ふっ……タスキを頭に巻いてはいけないというルールはないからな。」
「あかいV字型の角だと!?ばかな!ビクティニ以外でそんな角を持っているポケモンがいるなんて!」
「君はさっき、古いポケモンのわざに価値などないと言ったが、だが古いわざにも、新しいものを語り継ぐ事は出来るのだよ。」
「こ、これは!」
ケルディオのしんぴのつるぎ、そのエネルギーの刃を受け止めた角が、なんとそのエネルギーを吸収するかのごとく、同じ色に輝いていた!
「こ、これは、Vジェネレート!?」
「自らの力で倒れるがいい!しんぴのつるぎ・V!」
V型の角から放たれた巨大なエネルギーの一撃が、ケルディオへ一撃を見舞った!
地に倒れ、思わず呻くケルディオ。そして近づいていくポケモンは、その巨大な足のせいか、どのポケモンよりも大きく見えた。
「ば、ばかな。僕の技を使えるなんて……あ、あなたは一体!」
「我が名はバシャーモ。そしてVは、バシャーモのVだ。覚えておけ。」
圧倒される、思わず意識を失うケルディオ。バシャーモは手に持っていたハーモニカを口に銜えると、風の中に去っていった。
圧倒的な勝利。
特殊格闘限定組み手の勝者は、突如現れたポケモン、バシャーモにあがった。
倒れているルカリオはそこで、バシャーモはBじゃないのか!?と、思ったが、圧倒的な勝利に免じて、口にはしなかった。
運ばれた控え室でテレビ映像を録画していたサワムラーは、このビデオを額にVの大先輩であるカモネギに報告するか否か悩んでいたが、やはりやめることにした。
戦いは終わった!ポケモン達は傷つき、倒れ、そして立ち上がる!
機会があれば、特殊格闘限定組み手でまたあおう!
シーユーアゲイン!