ポケットモンスターANOTHER








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STAGE1. GOLDEN MIND
記録25. 悪の対象

「怪盗X……貴様は── 」
ノイズはその瞬間に、答えを得てしまった。もしかしたら得ぬ方が良かったかもしれない……彼の正体を。

記録25. 悪の対象

「君は誰だい? 」
チャンピオンワタルは、怪盗Xに問いかけた。
「誰でもいい。今はあのギャラドスが優先……だろ? 」
「──そうだな 」
「トゲキッス〈エアスラッシュ〉! 」
一筋の風がギャラドスを切り裂く!
「ギュラララァ!! 」
「効いていない!? 」
攻撃を食らってもギャラドスは威勢のいいままだった。
「バタフリー〈ぎんいろのかぜ〉! 」
「キングドラ〈りゅうのはどう〉! 」
「ムシャーナ〈サイコキネシス〉! 」
3つの力がギャラドスを貫く
「ギュラァっ!!!! 」
どうやらダメージが入ったようだ。
「複数攻撃ならなんとかなりそうだな。いくぞ、ヒビキ君、ノイズ君 」
「「はい! 」」
「じゃあ私も── 」
ワタル、ヒビキ、ノイズ、怪盗Xは前に出る。
「カイリュー〈かみなり〉! 」
「ゲンガー〈シャドーボール〉! 」
「トゲキッス〈じんつうりき〉! 」
「ブリガロン〈ハードプラント〉! ゾロアーク〈幻影“水刀”〉」
5つの攻撃がギャラドスを襲う。
「ギャゥアアアア!! 」
ギャラドスにダメージが入る。それを見たワタルは言う。
「みんな下がって── 」
チャンピオンワタルはみんなを後ろに引かせると、自分はさらに前に出た。
「──The dragon of the servant for me.
It becomes my sword. and help me now.
I am afraid of nothing.
I receive all.
Therefore accept you.
To the power and the distance of the despair.
promise that you ride together with me. 」
ワタルは低い声で唱える。そして目を開けて叫んだ。
「change...“Wrath mode”! 」
その瞬間、ワタルのカイリューが光を放った。赤と青の混ざる神々しい光。Wrath mode。つまり──
「……逆鱗モード 」
「あれがチャンピオンの実力…… 」
「カイリュー〈ドラゴンダイブ〉! 」
赤と青を纏う竜は赤いギャラドスに向かって光の如く飛んでいった。
一本の赤青の矢がギャラドスを貫いた。
「ギュラララァ!!! 」
「カイリュー、そのまま── 」
「──待て!! 」
攻撃を続行しようとするワタルを怪盗Xは止めた。
「完全に倒してしまうと、今度は機械の波動が逆流して、よりギャラドスに不可がかかるかもしれない 」
「機械を取ってから倒せと? 」
「「俺たちでやります! 」」
「ダメだ、危険すぎる! 」
「大丈夫だチャンピオン……奴らはここでは死なない 」
「その根拠は? 」
「……強いて言うなら予言かな 」
「ギャラドス…… 」
「ギュラララララ!!! 」
「ゲンガー〈れいとうパンチ〉で湖を凍らせてくれ 」
「正面から生身で行く気か!? 無茶な 」
「いや、正解だ。ポケモンを使って近寄れば、ギャラドスはより警戒するからな 」
「ギャラドス…… 」
ギャラドスの〈アクアテール〉!
「ヒビキ!! 」
ヒビキは気絶寸前でアクアテールを受け止めた。
「ギャラドス……安心しろ。俺たちが助けてやるから。ノイズ! 」
「ああっ! 」
ヒビキがギャラドスをなだめている間にノイズはギャラドスに取り付けてあるポケモン強制強化装置に近づいた。
ギャラドスはノイズを振り払う。ノイズはギャラドスの背後の水の中に落ちた。急いで泳ぎ、顔を水面より上に出す。
「この位置からなら……トゲキッス〈はどうだん〉だ! 」
ノイズはその場でトゲキッスを繰り出し、装置を壊させた。
「ギュラララララ!! ……… 」
装置が外れるとギャラドスは倒れた。
「ギャラドス!! 」
みんなは駆け寄る。赤いギャラドスは瀕死状態になっただけで、死に至る事はない。
「ワタルさん……どうしましょう 」
「精神もすぐに安定するわけではないだろう。私が面倒をみよう 」
ワタルはギャラドスをモンスターボールの中へと戻した。
「ふっ、これで一件落着だな。そうだヒビキ。ポケギアの番号を交換してくれないか? って壊れている!? 」
ノイズはポケギアを取り出すが、見事に壊れていた。
「さっき水の中に落ちたからだな。電池は生きているか? 」
怪盗Xは問うた。
「ん? ああ 」
「なら俺のを使え、名前はノイズに変えておく。それと、ヒビキとコトネ、カトレアとユメカは登録済みだ 」
怪盗Xの投げつけたポケギアをノイズは受け取った。
「!? 」
ヒビキは驚く。ポケギアの番号など、ヒビキは教えていない。
「やはり、お前は── 」
ノイズがそれを言いかけたところを、怪盗Xは止める。
「今は言うな。その時じゃない 」
「……わかった 」
「ロケット団、絶対に倒すぞ! ノイズ 」
「ああ 」
わかりきった事だった。だが言っておかねばならない気がした。互いの意思の強調として。


■筆者メッセージ
うーん。納得いかない。だが更新ペースが!
この章の一期はあと三話となります。皆さんどうかお付き合いください。
月光雅 ( 2015/08/07(金) 22:33 )