記録18. 光らずの灯台
アサギシティについたヒビキとコトネは、とある有名店を訪れていた。
「いぃらっしゃい!!」
「ヤドンうどんを2つ!」
「はいよ!おい!ヤドンうどん2つだぞ!」
「分かりました店長!」
ヤドンうどんは有名店「アサギうどん」の顔である。ヤドンの尻尾から取れる出汁はうどんとマッチングして、絶妙な味を引き出すらしい。
ちなみに、尻尾はまた生えるので心配ない。
店内には「どないやねんヤドン」という歌が流れている。(本当にあります!)
「へいお待ちぃ!」
実際に食べてみると、言葉に出来ぬ美味しさだった!
「ごちそうさまでした。」
ちなみに、ノイズはあの後「お前を抜くには、お前と一緒に旅をするわけにはいかない 」といい、再び一人旅へ。カトレアとユメカは「また用事があるので失礼させていただきます 」と、アサギの街のはずれにあるバトルフロンティア建設予定地に向かった。
ヤドンうどんを食べ終わるとヒビキはすぐにジムへ向かおうとした。
しかしコトネは「今日はアサギを見て回ろうよ 」というので、そうする事にした。
*
「ほらヒビキも見れば?」
「うん。綺麗だな 」
観光は一通り終わった。夕焼けを映すアサギの海を、二人で眺めているところだ。
ヒビキがこのようなところに来るのは、初めてかもしれない。
「ありがとね。ヒビキ 」
「え? 」
コトネは海を見たまま言う。
「博士の助手をしたままいたら。こんな楽しいことがあるなんてわからなかったもの 」
「………── 」
「博士の助手もいいんだけれど。こんな世界を知ることはできなかった。……貴方に出逢って私は変われた気がする 」
そのコトネの言葉を、ヒビキは軽く笑い飛ばす。そしてから今度はヒビキが言った。
「感謝したいのはこっちの方だよ。ありがと……コトネ。俺がここまで成長できたのは、半分コトネのお陰だよ 」
「ありがと。でも半分と言うあたりがまだロマンチストにかけてるわね。ヒビキは 」
「必要か? それ 」
「私的にはね 」
少し間をおいてコトネは言った。
「帰ろう? ヒビキ 」
その声にヒビキはしっかり答えた。
「ああ! 」
*翌日
「ジムリーダーが不在!? 」
ジムに行くとリーダーはいなかった。ガイドーさんに聞くと、アサギの灯台に行ったらしい。
「行きますか? 」
「うん 」
灯台にはアサギのトレーナー達もいたが、ヒビキにとってはどうということもなかった。
そして、難なく最上階まで登ったのだが──
「っ! あなた達は? 」
「ヒビキです 」
「コトネと言います 」
そこにいたのはジムリーダーミカンだ。ミカンの後ろにはデンリュウがいる。
「デンリュウ……? 」
「アカリちゃん……昨日から具合が悪いの 」
「治す方法はないんですか? 」
コトネが聞いた。
「タンバにある“万能薬”なら多分……。でも、デンリュウをおいて行くわけには── 」
「──いけ、ヘラクロス 」
ミカンの話を聞いて、ヒビキは黙ってはいられなかった。
「ヒビキさん? 」
「ミカンさんはここに居て。僕たちがとって来きます 」
「い、いいの? 」
「……同じ、ポケモンを愛する者ですから 」
「私も行きます! 」
ヒビキとコトネはその眼でミカンに訴えた。
「……分かりました。任せましたよ 」
「ああ、任された! 」
アサギの灯台から、ヒビキ達は急いで飛び立った。
*タンバシティ
「到着。薬屋はどこだ? 」
「ヒビキこっち! 」
コトネは薬屋を指差した。ヒビキ達はその方へと向かおうとする。
しかしその瞬間、薬屋から怪盗Xが出てきた。
「こいつさえあれば…… 」
「………──」
ヒビキは立ち止まる。怪盗Xはヒビキに気づいた。
「ヒビキ!? 」
「…………──」
「…………──」
沈黙が続いた。
「逃げないの? 」
「えっ? 」
ヒビキの放った言葉に、怪盗Xは刹那戸惑う。
「見逃す。いや、見逃す程悪いことしていないでしょ 」
それを聞いて怪盗は微笑した。
「ふっ、借りを作ったな 」
「例には及ばない……こちらと似た事情だろう? 」
「ほう、ということはお前もか 」
「とにかく、ジョーイさんに見つかる前に逃げて 」
「はいはい、分かりました 」
怪盗Xは【ドンカラス】を繰り出し、空へと飛んでいった。
その後、ヒビキ達は薬屋で万能薬を貰った。
アサギの灯台に戻り、ミカンにそれを渡す。何故ヒビキが与えてはいけないのかと聞くと──「ごめんなさい。アカリちゃん、私にしかなついてなくて……」ということらしい。
「ミカンさん、デンリュウの容体が良くなったら、バトルしてください 」
「わかりました。準備が整い次第連絡します 」
早速ヒビキ達はポケモンセンターに戻り、ポケモン達を鍛える事にした。
*アサギジム
「石が彼を呼んでいる。このヘラクロスナイトが…… 」
ミカンは一つの石を見て言う。
「金色 ヒビキ……。ダイゴさん、貴方の予想は当たりそうですよ 」