ポケットモンスターANOTHER - ― 金色の悪魔
記録39. 神々の闘い

「ランス、やっぱりあいつはお前の予想通り…… 」

「ええ。ファイヤー、サンダー、フリーザーのようですね 」

ノイズ、ユメカ、ランスは、炎の神、雷の神、氷の神の融合体レイを背中に、東を目指していた。

「で、ユメカ。さっきの話は本当なんだな 」

「うん。あの三体、いや、レイを止めるには、海の唄とアーシア島の3つの玉が必要よ 」

「わかった……ルギア、目的地はアーシア島だ 」

“了解した ”

「────しかし、私たちだけでやれるかが心配です 」

突如、とても心細そうにランスが言った。

「ああ。でも、やれるかなんて迷ってらんない。やらなきゃならないんだ 」

「そうね 」

「っ失礼しました。ノイズ様 」

「いいって。事実ではあるから 」


記録39. 神々の闘い

「くっ──── 」

「もう終わり? あなたのメガニウムは 」

ロケット団幹部のアテナのポケモンに対して、コトネのメガニウムはことごとく打ち破れてしまった。

「……スイクン。力を貸して 」

“その望みを叶えよう。あなたの気持ちの力に準じて ”

スイクンはそう言うと、戦場へと出た。続いてエンテイとライコウも並ぶ。

「ゼルネアス……あなたもお願い 」

“いいのですかカトレア。あなたへの負担は膨大ですが ”

「この組織に支配されたら本末転倒です 」

“わかりました ”

「いくぞカイリュー 」

『カイリャァア!! 』

「メタグロス! 」

『メェェダァァアアア!! 』

「頼むぞ、ラティアス 」

“ぅぅ……ごくり ”

「ふっ、団員ども、全力を挙げてこの子達を殺しなさい 」

飛びかかってくる敵襲。襲いかかる威圧。
足は震える。今にも逃げ出したい。
それでも────

「私は負けない! 私は……私がヒビキの“帰る場所”になるんだから! スイクン《ぜったいれいど》! エンテイ《フレアドライブ》! ライコウ《ワイルドボルト》! 」

コトネの心が、スイクン達を強くする。

「ゼルネアス《ウッドホーン》! 」

イッシュリーグチャンピオン、カトレア。

「カイリュー《げきりん》だ! 」

ジョウト・カントーリーグチャンピオン、ワタル。

「メタグロス《サイコキネシス》! 」

ホウエンリーグチャンピオン、ダイゴ。

「グライオン《エアスラッシュ》だ! 」

キキョウジム、飛行タイプのジムリーダー、ハヤト。

「ハッサム《シザークロス》! 」

ヒワダジム、虫タイプのジムリーダー、ツクシ。

「ニンフィア《ムーンフォース》やで! 」

コガネジム、フェアリータイプのジムリーダー、アカネ。

「ゲンガー《シャドーパンチ》だ! 」

エンジュジム、ゴーストタイプのジムリーダー、マツバ。

「ハガネちゃん……《アイアンヘッド》です! 」

アサギジム、鋼タイプのジムリーダー、ミカン。

「ニョロボン《きあいパンチ》や!! 」

タンバジム、格闘タイプのジムリーダー、シジマ。

「マンムー《ぜったいれいど》! 」

チョウジジム、氷タイプのジムリーダー、ヤナギ。

「カイリュー《ドラゴンテール》!! 」

フスベジム、ドラゴンタイプのジムリーダー、イブキ。

「ラティアス《りゅうせいぐん》! 」

さらには、元ロケット団幹部のラムダ。
すべて、ヒビキがこの旅の中で出会ってきた人たちである。
私は思う。ここがきっとヒビキの居場所であると。
私は望む。ヒビキがここへ帰ってくることを。
でも言わない。彼は彼の思う通りにしてほしい。
だから────私は────

***

「ノイズ!! 」

「ノイズ様!! 」

アーシア島に着き、炎の宝、雷の宝、氷の宝を手に入れたノイズだったが、その後レイの攻撃で氷漬けになってしまった。

「ノイズ様! しっかりしてください 」

氷塊から返事はない。

「っ……ランスさん、私に案があります 」

するとユメカは、笛を取り出し、海の唄を奏でた。
ルギアは光を放つ。
そして、氷の檻から解き放たれる────!

「っ──────── 」

“礼を言う。私を慰める笛の音に ”

「ありがと……ユメカ 」

幸いレイは今、彼方の空を飛んでいる。

「ねぇノイズ 」

ユメカはノイズに問いかける。

「あなたは、自分が嫌い? 」

「……好きではない 」

前までは、存在価値も無いと思っていた程だ。
ただ、その答えを聞くと、ユメカは強く言った。

「……なら────私を好きになりなさい!! 」

「えっ 」

「そうすれば、私もあなたを好きになります。だから────だから──── 」

その後の言葉を探す。ノイズに一番抱いて欲しい言葉。
口から飛び出す。

「自分を嫌いにならないで!! 」

「っ────────!! 」

「私が、あなたを好きでいるから……あなたの“帰る場所”であり続けるから……生きて 」

「…………ありがとう 」

再びレイがこちらの殺気に気づいた。

「いくぞ!! 」

翔く。
ただ空に。支えてくれる仲間とともに。
後は、アーシア島に3つの宝を納めるだけだ。
レイは後方から攻撃を仕掛ける。

「んがっ!? 」

“っ────!! ”

ルギアの翼が貫かれる。
急降下。されどアーシア島を目指す。
そして、着地とともに宝を納める!!

「今だ! ユメカ! 」

「うん……! 」

────────────────────────

──────────────────

────────────

──────

笛の音と、3つの宝がレイを癒す。
レイは、元の三体へと分かれ、何も言わず飛び去った。

「ルギア……ご苦労 」

“……ああ ”

平穏に浸る。疲労がドッと襲いかかる。

「おーい。ランス、ユメカ。お前らも降りてこいよ 」

「うん分かった。ちょっと踏むねラティオス 」

「は? 」

「ノイズ! 」

ユメカは天から威勢良く飛び降りた。

「ぅえっ!? ちょっ 」

ノイズは動揺しながらも、その落ちてきた女を受け止めた。

「女の子くらい文句言わずに受け止めてよね 」

「女の子が迷いもなくあんな所から飛び降りるかっつーの!? 」

“で、どうするんだ? この後 ”

ラティオスが区切りを入れる。
そう、闘いはまだ続いている。

“生憎私は翼をやられてしまった ”

とルギア。

「……わかった。俺はヒビキと合流するから、ユメカとランス、ルギアとラティオスはコトネ達の援護に回ってくれ 」

「うん! 」

「かしこまりました 」

“死ぬなよ……我がマスター ”

「わかってるって──── 」

ジョウトに着いてからは、一人でヒビキの元へ走る。
が、その途中で、あるモノを見つけてしまった。

「これは────ヒビキの右腕!? 」




月光雅 ( 2015/10/21(水) 00:00 )