第三話 ギルド入門!ライバルは突然に
俺はギルドマスターの部屋に入り、まず部屋を見回した。ギルドマスターの部屋だからといってそこまで広いというわけでもないようだ。部屋の中には最新式パソコンや携帯電話などがある。
携帯電話は3年程前に開発されたものだが、まだセレブやどっかの会社の社長ぐらいしか買えないくらい高価なものだ。
最新式パソコンというものは、物をパソコンに付属している転送装置に物を置くと、転送先に物が届くという超ハイテクな機械だ。最近開発されたもので、市場には出されてはいないが、ポケモン探険隊協会が各有名ギルドに無料で設置しているらしい。
奥には茶色の体毛をしており、尻尾が大きく特徴的なビーダルとサソリのような尻尾と、カニの様な爪、立派な羽があるグライオンという種族のポケモンがこちらを見ている。
「ビッパのギルド」と言うくらいだからビーダルがギルドマスターだろう…グライオンの方は副マスターとか次期ギルドマスター候補とかそんなポジションか?……………いやいくらなんでも次期候補はないかな。
ってこんな事考えてる場合じゃないな。ってか俺が考えてる間にソンがちゃっかり話してるし。
ビーダル「はい。登録でゴスね。メンバーは誰でゴスか?」
グライオン「おーい。入り口にいるブイゼルもこっちにこい!」
呼ばれたようだ。フリズは駆け足でビーダルの元に行った。
ビーダル「ん〜と、じゃあこの紙に名前を書くでゴス。」
ゴス?口癖みたいなものか?はは、おもしろいな。
フリズがそんな事を考えている時、ソンは紙に3匹の名前を書いていた。
ソン「えーと、ソン様とリズとフリズ…………っと。」
ソンが紙をビーダルに提出しようとしたその時、
リズ「もー、そんな汚い字じゃだめでしょ!」
すかさずリズがソンが書いた紙を取り上げ、書き直し始めた。
見てみるとリズの字はソンとは比べものにならないほど綺麗だった。
というよりはソンの字があまりにも汚かった。
ソン「ちぇっ。」
リズ「はい。これでオーケーです。」
ビーダル「ありがとでゴス。ちなみに、チームのリーダーはだれでゴスか?」
リーダー?誰がやるんだろうか。まぁ積極的なリズかソンがやるだろう。自分はめんどいし。
ソン「はいはいはーい。俺がやりまーす。」
リズ「何言ってんの?あんたみたいなおっちょこちょいができるわけないじゃん。」
ソン「なんだとー。お前みたいなひびりで物忘れ激しいやつこそ向いてねぇよ。」
リズ「なんですって。それを言うならソンも失敗ばかりしてるでしょ!」
それから2匹の喧嘩は3分ほど続いた。グライオンの顔を見ればわかるが、かなり痺れを切らしているようだ。
フリズはこのまま喧嘩が続いて、どちらかが諦めるだろう……と思っていた。………が、しかし。
ビーダル「あの〜。」
ビーダルのその声により、ソンとリズの動きが止まる。
ビーダル「そんなに両方ともに悪い点があるらしいなら、ここにいるもう一匹、フリズにすればいいんじゃないんでゴスか?」
まずいまずいまずい。なに変な事言ってんだよこの狸!リーダー?絶対やだよ。俺は責任を負うとか嫌いなんだよ。……しかもさっきまで喧嘩してたそこの2匹!妙に納得したような顔はやめろ!
ソン「確かに。マスターの言う通りかもな。」
リズ「右に同じく。」
ビーダル「じゃあ決定ゴスね。」
フリズ「はぁ?」
俺はそう言った。しかし前にいる四匹には聞こえていないらしく、盛り上がりまくっている。ふざけるな!
ビーダル「じゃあ異論はないということで決定でゴスね。」
異論めっちゃあるんですけど。……………でもまぁいいか。何か面白そうになってきたし。後、俺は軽い性格なのさ。
フリズ「オーケーだ。後、ビーダルさんの名前はなんですか?」
フリズは言いにくそうに敬語を使ってきいた。
ビーダル「あっしの名前は『タヌ・ビアラ』というでゴス。」
フリズ「へ〜い。了解しましたー。」
グライオン「………」
ん?なんかお隣のグライオンが俺をものすごく睨んでいるのだが、どうしたんだ?いけない言葉遣いをしてしまったか?…………多分そうだな。
ビーダル「あっ、こっちのグライオンの名前は『シザーリ』でゴス。寂しがりやだから仲良くしてやってほしいでゴス。」
ビアラがそう言うと、シザーリの顔が一気に赤くなった。
ビアラ「じゃあ最後にチーム名を決めてもらうでゴス。」
ソン「チーム名かぁ全然考えてなかったなぁ。」
ソンが笑ってそう言う。
リズ「右に同じく。」
フリズ「じゃあ俺が決めていいか?」
俺がそう言った瞬間にソンとリズの顔が明るくなり。ソンはキラキラした目でフリズを見ている。
ソン「お、何か案があるのか?」
フリズ「まぁな。俺達のチーム名は『アイシオン』でどうか?」
リズ「アイシオン?何でそれがいいの?」
フリズ「いや〜。俺のタオルがあるだろ?そのタオルのはしっこに俺の名前が書いてあったけど、反対側の隅に小さく書いてあったんだ。アイシオンってね………しかも何か惹かれるんだよな。何故だかはわからないけど………まぁこんな理由で俺はこれがいいけど。ダメかな?」
それから沈黙が続き、リズが口を開いた。
リズ「私もそれでいいかな。アイシオンって響きいいし。」
ソン「左に同じく。」
ビアラ「じゃあ、決定でゴスね。」
フリズ「あぁ、それで頼む。」
『チームアイシオン』か……………
これから始まるんだな……
ビアラ「登録したでゴス。じゃあ次は部屋に案内するで」
ビアラが「するでゴス。」の「ゴ」を言おうとしたときに、
「「「「「失礼します。」」」」」
何者かの声が複数聞こえてきたのだった。
ソン「誰だ?」
確かに誰だろう…この5匹は……
ちなみにどんなポケモンかと言うと、一番先頭にいるポケモンがニューラ、二番目は4匹が横に並んでいるが、右からヒノアラシ、エレブー、キルリアと………んーだれだ。一番左のやつ。えーと………ロゼリア?かな。
ニューラ「僕達はこのギルドに入門しにきました。」
フリズ「え…」
リズ「ええええええええええええええええええええー。」
いやいやリズは驚きすぎだろ。まぁ確かに俺達が入門した直後に入門志願に来るとは珍しいパターンだな。
エレブー「あ?なんでそんなにびっくりしてんだよ?俺らがどうしようと俺らの勝手だろ。」
このエレブー…かなり不良っぽいな。
リズ「いや……その…私達いま入門したばっか…」
リズは少しびびりながら言った。
ヒノアラシ「それがどうしたんですか?」
リズ「あ、いや。何でもないれす。」
リズ……噛んでるぞ。びびりすぎたって。
シザリ「入門だな。把握した。じゃあチームアイシオンは部屋に案内する。ついてこい!」
フリズ「へ〜い。」
そう言い、俺達はビアラの部屋から出ていった。
ー*ー*ー*ー*ー*ー*二階*ー*ー*ーー*ー*ー*ー
シザリ「ここがお前らの部屋だ。好きに使うがいい。」
リズ「あ、ありがとうございますっ!」
フリズ「ここが俺達の部屋かぁ。」
俺達が案内された部屋。三人には充分すぎるスペースがあり、ご丁寧な事に藁のベッドも用意されてる。ありがたい。
リズ「新入りなのに充分な広さだね。」
フリズ「そうだな。…………ん?
他の部屋から声が聞こえてくるな。」
リズ「そうだね。多分私達と一緒でこのギルドに所属してるポケモンの声だと思う。私達よりいる時間が長いから先輩だね。」
先輩か…少し緊張するな。
そういや思ったんだが記憶喪失になると性格って変わるのかな?
俺がそんな事を考えているとソンが何かを閃いたようだ。
ソン「さっきの五匹組いただろ?あいつらもギルド入門するとか言ってたじゃんかー。それって俺らより少し後に入ることになるから、もしかして俺達の後輩ってことになるのかな?」
フリズ「かもな。」
その言葉にリズはとても驚き
リズ「えーじゃあここにい入った瞬間に後輩ができた……と。」
そして、上機嫌だった。
ソン「そういうことになるな。」
フリズ「それよりさ〜。急に眠くなってきたから俺はもう寝るわ。おやすみー。」
リズ「そうだね。私もそろそろ眠くなってきたかも。ということでおやすみー。」
ソン「あぁ、おやすみ。」
そして三匹は眠りについた。
明日から始まる生活に期待を抱いて…