第一話 草原での出会い
昨日の嵐が嘘だったかのように空は快晴、気温も春らしく暖かい。
場所はキザキの森跡から南東に約7km。
この草原では虫ポケモンや草ポケモンがのびのびと生活している。
そこに2匹のポケモンが足を踏み入れた。
???「いやー、今日の天気はいいねー。ポカポカして気持ちいい。」
???「油断してたら襲われるわよ。ここはもう不思議のダンジョンだから危険なのよソン。」
ソンと言われたのは動物に例えるならモモンガにそっくりで、体が白と黒と黄色をしてるポケモンだ。
ソン「わかってるよ。でもここら辺のポケモンは俺にとって得意なタイプばっかだから大丈夫だって。」
ソンが余裕をかまして言った。
???「ソンにとっては得意なタイプだけど私にとっては相性が悪いもん。虫嫌いだし。」
ソン「大丈夫だって。いくらお前と相性悪くてもやられないって。」
???「でも・・・・」
ソン「ったくぅ。リズはびびりだなぁ。」
リズと言われたポケモン。見た目は犬ようで体は全身水色をしており、首にはエリマキのようなものがある。
リズ「私はソンと違って楽天家じゃないもん。」
ソン「まぁそれはおいといて。進んでいこう。」
ソンがそう言うと2匹は草原の奥へと進んでいった。
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ここはどこだろうか。何故自分はここにいるのだろうか。
周りに草原が広がっている中、一匹のポケモンが目覚めた。
気分が悪い。頭が痛い。全身が痛い。そしてここはどこなのだろうか。自分はいったい誰なんだろうか。
それだけが思い出せない。
自分の近くにキャタピーやナゾノクサがいる。ポケモンの種族名や特徴はわかるのに、それだけが思い出せない。
???「俺は誰なんだ・・・・」
少年はそう呟いて空を見上げた
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ソン「電気ショック」
リズ「あわ!」
「「ピキー」」バタッ
ソン「ふぅ。敵の数が増えてきたな。」
リズ「だから言ったでしょ。油断しちゃだめって。」
ソン「へーい。わかりましたよー。」
ソンがテキトーにそういった。
ソン「ん?あのポケモンは。」
ソンがあるポケモンを見つけた。そしてその後すぐにリズもそのポケモンを見つけた。
リズ「あのポケモンは・・ここら辺じゃあまり見ないね………」
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空は一面青い。何もわからないからしばらくこうしていようか。
???「…………………………」
ピクッ
少年は黙り込んでいると近くに何者かの気配を感じた。
???(だれだろう。こんな所に。)
少年はくるりと後ろを振り替える。
そしてそこにはリズとソンが居た。
リズ「あの〜。」
リズがそう話しかける。少年は「誰?」と思いつつも返事をする。
???「なんですか?」
そう返した。するとソンが
ソン「どうやら正常なポケモンのようだな。どうしたんだお前、こんな何もない所で。」
「正常」どういう事かは少年は知ってる。そう、不思議のダンジョンにいるポケモン達は自我を保っていない。まるで、殺戮マシーンのように……
???「何でここにいるかはわからない。」
その言葉に二人は首をかしげた。
ソン「じゃあお前はどこのだれだ?」
どこのだれかそれもわからない。というよりそれだけわからない。
???「それも……わからない…」
少年はそう答えた。
リズ「もしかして、記憶喪失?」
???「……そうかもしれない。」
ソン「雷にでも当たったのかな?」
???「わからない。」
リズ「んーとじゃあ何か持ってない?」
自分は今何かを持っているだろうか?今自分の手元には何もない。
少年は辺りをキョロキョロ見回した。すると、ある物を見つけた。それは彼のタオルだった。
???「タオルならあったけど……これがどうしたの?」
そう聞くとリズが自慢気に
リズ「このタオルにあなたの名前が書いてあるかもしれないと思ってね。」
そういい彼女はタオルに書いてある名前を探した。表には無かったが、裏返した面の右端に書かれていた。
リズ「えっとあなたの名前は……フ…リ…ズ…?」
フリズ……そう聞いた途端に何か頭に引っ掛かるようなものを感じた。
そして思い出した。
そう、自分の名前はフリズなのだ
「思い出した!俺の名前はフリズ。合っている。」
リズ「でっしょー。さすが私。冴えてるぅ〜。」
そういい、上機嫌なリズとは逆で機嫌が悪そうなエモンガが隣にいた。
ソン「へん。たった一回で調子に乗るなよ。」
ソン「なぁ、フリズはこれからどうしていくのか?」
これからどうしていくか、か……どうしようか。行く場所も無い。
ソン「すること無いなら俺らと一緒に探険隊になろうぜ。」
リズ「ちょっと、いきなり何頼んでるのよ。」
探険隊………別になりたいって訳でもなく、なりたくないって訳でもない。
ソン「なぁいいだろ?俺達は幼馴染みだけど探険隊は最近になってなろうって決めたからまだ登録してない。今ならまだ間に合うし、何よりいろんな場所に行くからお前の記憶を取り戻すきっかけになる場所へ行ける可能性も出てくるんだぜ?」
フリズ「記憶を……取り戻す。」
半ば諦めていたことをフリズは粒やいた。
ソン「やっぱ駄目かなぁ……」
探険隊になり記憶を取り戻す。これは俺の為でもあり、二人の為にもなる。
フリズの心に迷いは無かった。
フリズ「その話のった!俺はお前らの探険隊に入る。」
二人の前でそう宣言した。