第五話 交渉しようよ
食事を終え、ルミエールと別れたマリーは廊下でベベノムと出会った。
べべはにっこりと笑って、一人だったマリーを見て声をかけた。
「一度、ロビーで見かけたっきりだったけど、ようやく会えた!」
「え…っと」
ああ、とべべは言い、困っているマリーを見て、名前を言った。マリーは宜しく、と言い部屋に入ろうとした。
「待ってよ、マリー」
べべが止めると、マリーはドアに手を止めて振り向いた。
「ダメじゃないか…逃げ出したりしちゃあ…」
べべが近づき、耳打ちをすると、マリーは息を止めた。
ドォオオオンという爆音が本部の中で聞こえ、マリーは驚いて倒れてしまう。
べべがいつの間にか持っていた、小さなトランシーバーから声が聞こえる。
『上層部の連中、マリーの仲間を捕まえた。早急にキミもマリーを連れてこい』
「了解」
べべがそういうと、仲間のもう一人が現れ、マリーを連れていく。べべは廊下で別れた。
「久しいね。死んでるかと思ったよ」
「……」
王国を見ると、街は破壊され、瓦礫に埋もれているポケモンたちもちらほら見えた。
フードを被ったポケモンに言われるが、マリーはなにも答えない。唇が震えて、目線をあわせられない。
「マリー!!」
後ろから、ルミエールがやって来た。どうやら、ルミエールだけが無事のようだ。
フードを被ったポケモンの後ろには上層部のポケモンと、団長達が不安な目でこちらを見ていた。
「マリー、交渉しようよ。君が来てくれれば、上層部のポケモン達だけ、返してあげよう。悪い交渉じゃないだろ?」
「っ…い…いく…」
「ま、待てマリー!!」
ルミエールが一歩足を動かしたマリーを腕を掴み止める。
「皆…私が来たから…こんな目に。だから…もう…傷つく姿見たくないの!!」
マリーはそうルミエールに言った。