第四話 パートナー
マリーとルミエールは任務を終え、食堂へ足を運ぶ。食堂の窓を見ると、外は薄暗くなっており、ランプだけがぼんやりと街を照らしていた。食堂は広く、奥が見えないほどだった。騎士本部はかなりのポケモンがいるようだった。
「なあなあ!お前達が盗賊倒したんだって!?」
マリー達の正面へ飛ぶようにやって来た、ワニノコが言うとマリーは答えた。
「え…ええ。そうだけど…」
食事を取りつつ、二人はワニノコを見つめる。
「スゲーよ!おれたちも強くならなきゃなぁ…」
「?…貴方はパートナーは居るの?」
マリーはおれたち、と言っているが、側に居ない事が気になり、ワニノコに聞いた。
「居たけど…行方不明になっちゃって。おれも探してるんだけど…」
「…ご、ごめんなさい…!」
居なくなった事を、知ったマリーはとっさに謝る。
「大丈夫。おれが話した事だから。俺のチームの団長も探してくれてはいるけど、何せまだブロンズランクだから…」
たははと、笑いワニノコは食事を先に終えた。食器を食事を作る、おばちゃんのガルーラ達に渡し、二人に手を振りその場を後にした。二人も食事を終え、初任務の疲れを取るため、マリーはルミエールと別れ、ベッドへ入り、眠りについた。
一方、ルミエールはベッドに入るもなかなか寝付けないでいた。
(マリーのあの力…何だったんだろう…父さんも、団長も気にしていなかったようにも思える…)
首を左右に動かし、忘れるようにした。
(明日も早い。もう寝よう)
そう言い聞かせ、ルミエールは目を瞑った。
「っ…!?」
マリーは目を覚ました。壁にかけてある時計を見ると、午前4時を指していた。
「はぁ…はぁ…」
息を切らす。寝汗も酷く、ぐっしょりと気持ち悪い程体に汗がまとわり付いていた。部屋の電気を付け、シャワーを浴びる為、浴室へ向かう。
「…もう、嫌」
小さく呟き、暖かいお湯を頭から浴びる。
あんな悪夢、いっその後と忘れてしまいたい。任務や、彼と話していると、そんなことは忘れている。が、いざ一人になると、思い出してしまう。そんな夢だった。
キュっと蛇口を捻り、お湯を止める。体を拭き、さっぱりした。
時刻は午後5時。時間は早いが、同じフロアにいるワニノコに会いに行こうと、マリーは自身の部屋を出て行く。
「いる…?ワニノコ」
「ん…?どうしたんだ、マリー。こんな時間に」
部屋にたどり着いたマリーはドアをノックすると、ガチャリと中から音がしワニノコが出てきた。
「昨日の事…もっと良く知りたくて…」
「チコリータのこと?いいよ。中に入っておいで」
そう言うと、ワニノコは頷き、部屋へと入れてもらった。
「そういや、名前言ってなかったかな?おれはドロップ。チコリータの名前はフロル。」
ドロップは写真をマリーに見せ自身の名前と、幼馴染みの名前を言った。
「おれは幼馴染みのフロルと一緒にこの騎士に入ったんだ。元々、ここの出身じゃなくて」
「そうなんだ。どこから来たの?」
マリーは椅子に座り、ドロップは自身のベッドに座り、話す。
「海を渡って来たんだ。こことは違う、別の大陸の国の出身なんだ。おれも…アイツも」
「その、国はどういうとこ?」
そう尋ねると、ドロップはう〜ん、と考え始め、その質問に答えた。
「そうだな…ここにも負けない騎士団が昔にあったんだ。今は…分からない」
「……そっか」
ドロップはフロルの事を話す。
「フロルが居なくなったのは、五ヶ月前」
「五ヶ月前…」
「リフェリア王国から東にある、小さな村があるんだけど、そこで居なくなった。そういえば、昨日君が退治した村の盗賊たちもそこ、出身だったような…?」
ドロップは考え込み、マリーに言った。
「昨日、君が捕まえた、盗賊達から何かフロルについて聞いてないかな?」
「…ごめんなさい…何も聞いてないの」
ドロップは期待していたのか、聞いていないと言われると、しょんぼりした顔をして落ち込む。
チカチカと光が差し込み、窓を見ると、気づけば太陽が空高く昇っていた。
「もう6時…朝食、食べなきゃ。ドロップも一緒にどう?」
マリーが言うと、ドロップも立ち上がり、ルミエールを起こして三人で朝食を食べるため、食堂へ向かった。
朝食を済ませ、ドロップとは別れ、ルミエールと共に、任務を二、三日こなし、ノーマルランクからブロンズランクへと騎士バッジの色が変化した。同期となったドロップと、ルミエールと共にお祝いした。
そして、数日後。