the movie 〜Broken heart〜
「はぁ…」
マンションのベランダで、蒼く照り付ける悲しい月を見つめて、小さくため息を付いた。
「付き合おう…君が好きなんだ!」
「実は、私も…貴方が好き」
学校の、秘密の部屋で突然呼び出されいきなり、告白されたのが、始まりだった。
恋人になってからは、彼と一緒に色んな所へと行き、楽しんだ。
ホワイトクリスマス。街ではカップルや子供のケーキを買う大人達が街にたくさん見かけた。
恋人になってから2ヶ月、ある日の日曜日、雪が降る夜の街にて彼と彼女を見つけた。
彼と
その人は見つめ合い、互いに楽しそうな顔をして手を繋いでいた。
カツーンという何かが足元に高い音を立てて落ちた。
「あの…大丈夫ですか?」
通行人が気がつき、声をかけてくれた。
「あ、大丈夫です…ありがとうございます…ご心配お掛けしてすみません」
落としたスマホを拾ってくれた男性にお礼をいい、走ってその場を後にした。家に帰り、玄関のドアをガチャリとしめ、リビングへと歩き始めた。それから一時間、ベランダで晴れた空を見つめていた。
一時間ぶりに手に持っていたスマホの画面を見つめた。液晶が割れ、彼と私がにこやかに笑う。テーマパークを背景に笑っていた。
彼の目と言葉で引き寄せられた恋。
黙ったまま、私は思った。
あなたの想い、狂った時間で気がつくのが遅かったみたい。
と。割れた液晶の画面を見つめ、受話器のマークを押して、彼に電話をかけた。
「もしもし」
『どうした?』
きっと彼女と共に、いるのではないのか。そういう不安もあった。
「ごめんなさい」
涙を流して、震えた声で彼に電話越しで言った。どうして、今になって涙が出るのか。その人と彼を見つけて、笑っている二人を見つけた時に、泣いていればいいはず、なのに。
『……今日、知ったんだな』
「うん…」
『……』
「私の事はいいの。貴方は、
その人を幸せにしてあげて」
そう、いい私は電話を切った。
優しさ、気遣いを置いて、歩んで行くんだよね、
その人と。
私は、彼への愛が深まって行くばかり。本当に好きだったから。
でも、貴方はもうここにはいない。
『ニャ〜……』
後ろを振り向くと、窓の前でご主人を心配しているチョロネコが、待っていた。
「ああ、チョロネコ。今行くからね」
そういい私は、窓を開け、室内へと入っていった。