the movie 〜 Kaito Fantomu sheep〜 前編
「それようの報酬は用意してやる。奴の所にあるメガストーンを奪え」
フラダリカフェにて行われた秘密の会話。黒い仮面を付けた少女は一枚の顔写真と、取ってきて欲しいメガストーンの名前と写真を渡され、答えた。
「了解。今日の夜7時から開始する」
研究者は犯行を行う時間を聞いた。黒い仮面を付けた少女は、研究者との会話を終わると、機材が沢山ある部屋から出た。
「さて…予告状を作成しましょ、モココ」
仮面を付けたまま赤い手袋をはめた手でモココが入っているボールをポケットから取りだしモココに言うと、彼は頷いた。まっすぐ見える部屋へと、黒いロングコートを
靡かせ向かった。部屋は殺風景で机とベッドしか無かった。机に置かれているのは予告状のカードとペンのみ。椅子に座り、黒いペンをペンケースから取りだし、予告状カードを手元に起き、書き始めた。
今夜、午後7時にメガストーンを頂きに参上します。 怪盗 ファントムシープ より
50枚ほど同じものを書き、時間をちらりとみる。午後4時。ざっと一時間ほど書いていたらしい。予告状の束を持ち、ポケモン達をボールから出した。モココ以外を。
「いーい?みんな。いつものように、ね」
予告状の束をそれぞれ10枚づつ、ポケモンに渡し準備をした。しばらく待っていると、ポケモン達が戻ってきた。時間は午後6時50分時。ちょうど良いじゃないか。ポケモン達もニヤニヤしている。一番最初にメガストーンを研究している場所にひっそりと予告状を起き、各場所のミアレシティにばらまいたのはいつものこと。警察もいつもと同じように厳重に警戒し、研究所も警戒している。もちろん、公安もいるはずだ。
フラダリラボからフラダリカフェにいくと、ここらいったいはフレア団が何故かいた。警察はここを調べないのだろうかと、疑問に思ったが、表向きは研究所と同じかと、納得をした。カフェの窓から華麗にジャンプし、ミアレシティ民間の屋根から屋根と飛び移り、研究所の窓を壊して侵入した。
「久しぶりだね…怪盗シープ!!」
博士の前に立って居たのは、旅を終えたカルムとセレナだった。シープにいい放ったのは、カルム。セレナは悲しい顔をしてこちらを見つめて、質問した。
「まさかフラダリカフェから出てくるなんて…ねぇ、どうして怪盗行為をするの?」
「…答える義理はない」
これもまた、時間稼ぎにすぎない。こうして話してる合間にも警察がやって来ているのだから。完全に後ろも、右も囲まれた。だが、メガストーンがどこにあるのか、分かっている。だからこれは作戦。
「動くな!!」
警察が拳銃を持って、威嚇射撃をした。床に拳銃を発泡したため、煙と共に、床に穴が開いた。
「ふっ……」
手を警察に出して挑発をした。来いよ。捕まえられるなら、と言わんばかりの余裕の笑みと、人差し指をクイクイと動かして。警察がその挑発にまんまと引っ掛かり、ポケモンを出して突っ込んできた。裾に隠していた、煙幕玉を使い部屋一杯に白い煙幕が広がり、なにも見えない。パリンという音とバリンという二重の音が聞こえるが警察は大慌てでもみくちゃになっている。シープは脱出し、一階のドアから勢いよく、宙をまったシープをふわっと救うようにファイアローがシープを背中に乗せ、空を飛びセキタイタウンへと飛んでいった。警察はパトカーを走らせるも人が多く、走れずクラクションを鳴らしている音が遠くでも聞こえた。小さいマイクを取りだし、昼頃に依頼をしてきた者に連絡を入れた。
「研究者さん、もうあの場所からほとんど奪ったわ。拠点を写して、セキタイタウンへ」
耳から聞こえて来た昼の声。雑音も多少混じってはいるが、聞こえた。
『了…解し…た!…こ…と…』
「コイツ…はぁ…」
一瞬キレかけたが、ため息を付いて腕の合間にいるモココに目をやった。耳に付けているトランシーバーがないぞうされている物を取り、モココが手に持っている、メガストーンを受け取った。
「これが…写真にあった、メガストーン…ガブリアスナイト」
目を通して、きらり輝くガブリアスナイトを人差し指と親指で覗くように見つめふっと、笑った。メガストーンを握り、ポケットに入れ、モココの頭を撫でた。
「良く出来ました。さ、セキタイタウンはもうすぐよ」
気を引き締めろと、言わんばかりのように、自身にも言い聞かせ、ポケモンたちにも言った。