第6話
「サカキ様はまだ、お戻りにならないんですか?」
「らしいですぜ」
残り幹部二人が話していた。社長は毒と血を流して倒れている。
「おや。カルミア王国のお方じゃないですか…生き残っていたようだ」
顎に手を当ててフィーリアをアポロは見つめる。
「あんたが…っ!!」
「へへっ…国を壊した理由が知りたいか?いいぜ、ここで死ぬんだ。教えてやるよ」
ラムダがニヤニヤしながら言った。
「サカキ様がお戻りになられる為に、各地方の伝説、幻のポケモンを捕まえるために…あの国にはいい資料がございましたのでね…バレると不味いので、貴女の国とご両親を殺しました」
「何匹いるか、知ってるか?伝説、幻のポケモン」
ラムダがフィーリアに言ったがフィーリアは聞いていない。
「その…為だけに…私の思いでも、大切な人も奪ったのかあああああっ!!!!」
怒り、いや憎悪を出して、叫んだ。
隠しきれない、感情を剥き出しにして。
「絶対に許さない!お前だけは!」
「そうか」
ラムダが言うと、フィーリアは二人に言う。
「ムカつくんだよ。人の思い出や大事なもの奪っておいて、平然としてるのが。いけ!!リザードン!!」
「エネコロロ!!支援するぞ!」
彼の声も怒りの滲んだ声になっていた。
「はっ…人質んなって、勝手に感情輸入してるバカが。トキワで捨てておいて正解だったが、情報与えすぎは良くないぜぇ!したっぱさんよ〜!」
ラムダもアーゴヨンを出して、リザードンの攻撃を防ぐ。
「っ!リザードン!フレアドライブ!」
アーゴヨンの攻撃を食らうが、リザードンは怯まず、そのままアーゴヨンへと炎を纏い、黒い体をした彼は突っ込んで行った。
「エネコロロ!しねんのずつき!!」
エネコロロも特攻する。アーゴヨンは手も足も出ず、ラムダ自身も驚いている。自分の命をお構い無いしだと。
「…ミュウ、ミュウツー!いでよ!」
今までこの戦いを見ていたアポロが動き出した。
ミュウとミュウツー。どちらもカントー地方のポケモンである。
「へっ、行くぞ、サンダー!フリーザー!ファイヤー」
自分達もポケモンを出し、戦った。長期の戦いで指示を出すのも疲れる。
「まだ、だ…まだ、終わっちゃいない」
かれこれ20体異常の伝説のポケモンや幻のポケモンと戦っている。シルフカンパニーの施設も破壊ぎみでいつ、崩壊しても可笑しくない。
「ゼラオラ!!」
「リザードン!!!」
他の手持ちポケモンも、床に倒れこんでいる。彼も。ラムダはポケモンに叩きつけられピクリとも動いていない。
アポロもサカキ様の為に。戦った。
最後の一撃を食らわすとアポロは壁を突き抜け、地面へと叩きつけられる音が聞こえた。
ぐらぐらと揺れるシルフカンパニー。自身のポケモンをボールに戻し、ボロボロのリザードンの背中に乗り、彼を連れ、崩壊ギリギリのシルフカンパニーを脱出した。間一髪でシルフカンパニーの崩壊に巻き込まれずにすんだ。
トキワシティで治療を受け、気が付けば、シルフカンパニー崩壊から1ヶ月が立っていた。
そして1ヶ月後、崩壊した国へとフィーリアと彼は向かっていた。